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交渉力は、向上する。原則その1:論理的思考力

コミュニケーションが苦手でも、社会人である以上、交渉はついて回ります。まして、新規事業を立ち上げるなんて時は、交渉の連続です。

社外の会社と業務提携の話をまとめていく時、自社のサービスを買ってもらうべく営業する時...社外とだけではありません。社内でも交渉は発生します。社内のエンジニアリングのトップに、新サービスのためのサイト開発を依頼する時、スピード最優先で進めるべきプロジェクトの協力を他部署に仰ぐ時等々。

新規事業立ち上げにあたり、交渉の前面に自ら立ち、試行錯誤してみて気付いたことがあります。交渉は天性のカンでうまくこなす人もいますが、そうでない人にとっては学べるスキルでもあります。そして交渉が苦手な人でも、ポイントを学んで実践することで、少しずつでも交渉力がついてくるもののようです。

交渉の原則

『交渉学入門』(田村次朗・一色正彦・隅田浩司著  日本経済新聞出版社)によれば、交渉の原則は以下の3つです。

交渉の原則
1. 論理的思考
2. 事前準備
3. 創造的選択肢

論理的思考や事前準備は当然と思われる方も多いかもしれません。私も当然やっているつもりでしたが、できていないなと感じる場面に何度も出くわしました。上記原則の1つ1つについて、自分への自戒を込めて書いていきたいと思います。

論理的思考

まず、相手に何かをしてもらいたい、あるいは何かをやめてもらいたい時に、交渉は発生します。そのような交渉での論理的思考とは、以下のような形を取って相手に投げかけられます。

「XXXをお願いしたい、なぜなら〇〇〇だから。そして、XXXしていただくと、△△△の観点であなたにもメリットがあるから」

要求には必ず理由がセットになっていなければなりません。ですが、相手がはっきりと理由を語らないこともあります。その時、私はすぐ、たぶんこうかな?と理由を推測して自分を納得させてしまうことがあるのですが、これはよくないです。相手が出してきた要求なので、それは相手がきちんと理由を説明する責任があります。

ポイント1:理由と根拠をセットで

そして、理由だけでなく、その根拠もセットで添えられているか確認する必要があります。

「スピード優先のプロジェクトだから、この機能を今月中に仕上げてほしい」

上記の要求には、「スピード優先のプロジェクトだから」という理由がついています。しかし、なぜスピード優先のプロジェクトなのか、その根拠がついていません。他にもスピード優先のプロジェクトなんてたくさんあるのです。

この機能が完成すると、少なくともN人の顧客にそれを紹介できる。そして、今月中に仕上がると、顧客の予算消化のタイミングに合わせることができ、今四半期の売上目標達成に貢献すると期待されるー。例えば、このような具体的な数字の入った事実とそれに基づく論理展開が、根拠にあたります。自分が相手に要望を出す時、理由に合わせて根拠まできちんと語れるように、準備することが重要です。

ポイント2:相手にとってのメリットを語る

理由と根拠を語ることができたとしても、それが自分一人よがりのものになっており、相手にとってメリットが全く感じられないとしたらどうでしょう。相手にとってメリットがない要求や提案を、相手が受け入れるわけありません。

「XXXをお願いしたい、なぜなら△△△の観点であなたにもメリットがあるから」は、相手のことをよく知らないとなかなか出てこないフレーズです。このフレーズを説得力のある形で作るには、相手を取り巻く環境や、相手が置かれている立場を理解する必要があります。このためには、事前の準備(調査をしたり、交渉に入る前の面談で相手のことをよく知るようにしたり)が重要になります。

次回は「事前準備」について書こうと思います。

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