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【著書】『物理の解法フレーム』上下巻


◆はじめに

 私(著者:笠原邦彦)は,かつて業界最大手の予備校(駿台予備学校)で物理講師をしていました.その際,「ちゃんと勉強しているつもりなのに,実践的な演習となると急に解けなくなる」という悩みを抱える受験生を数多く見てきました.その一因は,頭の中の引き出しにしまわれている基礎的な知識・スキルが整理されておらず,適切な場面でそれらを引き出せないことにあります.そのような場合でも,知識・スキルを俯瞰的に確認しつつ適切に整理することを意識した講義により,受験生の得点力を伸ばすことができることを経験的に知りました(その定評により,授業満足度アンケートは全国トップで,講習会では締切が続発しました).本書は,そのエッセンスを凝縮したものです.

 極端な例ですが,問題集を何周も何周も解いてほぼ暗記してしまっているほどなのに模試の偏差値が30台という生徒が,私のたった4日間の夏期講習を受けたあと,みるみる物理を好きになり,物理が得点源に変わったということがありました.まじめに勉強しているのに試験で点数が取れない人は,センス(=生まれつきの才能)がないわけでなく,単に知識の整理の仕方が適切でなかっただけということがよくあります.

 本書を手にしてもらいたいのは,特に次のような方々です.

  • ちゃんと勉強しているつもりなのに,実践的な演習となると解けない方.

  • 見たことがある問題は解けるのに,はじめて見る問題だとどうしたらよいかわからなくなる方.

  • 物理は自分に合わないのではないかと思いかけている方.

  • 初見の問題に対処するための思考力を身に付けたい方.

 本書では,「解法」の観点から知識・スキルを整理・体系化することによる得点力の向上を企図して書かれています.またその結果として,自立・自律した学習ができるようになり,単に物理という教科の枠にとどまらない普通的な「学び方」自体を学ぶことができるように願っています.

 読者の方々からは,次のような感想が寄せられています.

  • 知識が整理された.

  • 入試問題へのアプローチの仕方が凝縮されている.

  • 受験において最適な解法を教えてくれる.

  • 問題を解く際のアルゴリズムを言語化することに成功している.

※ 『物理の解法フレーム』は,[力学・熱力学編]と[電磁気・波動・原子物理編]の2分冊となっています.本記事では,これらを上巻・下巻と呼ぶことにします.

◆本書の特徴

対象読者

 本書は,高校物理の各単元をいったんは学習したことのある方を対象に,各単元の内容を問題の解法という観点から整理し直すものです.物理に限らず,勉強には次のような段階があります.

  1.  必要な知識・考え方などの「道具」を1つずつ身につけていく段階

  2.  新しい問題に対して,「道具」を使いこなして対処していく段階

 本書の役割は,①の段階でいったん学んだ断片的な知識を,②の段階で使いやすいように整理・体系化することです.それにより,本書は,基礎的な学習はある程度済んでいるのに試験の得点が伸び悩んでいる人の得点力を飛躍させるはずです.

※ 例えば,「運動の時間追跡」(位置や速度を時刻の関数として求める)という観点では,等加速度運動と単振動はまとめて扱われるべきで,本書はそのように思考パターンに忠実に扱っています(しかし,高校等での普段の学習においてそのような取り扱いをすることは難しいでしょう).
※ 本書は初学者向けではありませんが,教科書やそれに準ずる参考書等と併用して学ぶことにより,初学者でも取り組めるようには配慮してあります.
※ 本書では,使う公式などをきちんと説明してあるので,理解しきれていなかった部分があってももちろん大丈夫です.

予備校講師の経験を活かした内容

 何千何万という難関大受験生の前で講義を行ってきた経験をもとに,受験生の得点力を伸ばす方法が凝縮されています.特に,初見の問題でも解法を判断できる感覚=センスが体得できるはずです.

整理・体系化

 本書は,高校物理で学んできた知識・スキルを問題の解法という観点から整理・体系化し,新しい問題に対処できる力を育むことを目的としています.これにより,理論の全体像を把握することができ,試験での得点力が飛躍的に向上することが期待できます.

解法フレームの活用

 各単元の「解法フレーム」(=思考の枠組み)に基づいて考え方が整理されており,例題や演習を通じてその内容に親しみ,定着させることができます.例題は,「解法フレーム」が自然に理解できるよう穴埋め形式にしてあります.それに対し,演習はより実践的な形式にしてあります.

簡潔な文章と脚注のバランス

 本文や問題文は簡潔なものにしてあり,余計な労力をとられずに,物理の学力を磨くことに専念できます.一方で,細かいことや発展的内容に興味がある方向けの脚注を充実させてあります.また,問題数も必要最小限に絞っているため,過去問演習や他教科の勉強ための時間を圧迫しません.

普遍的な学び方の習得

 本書で紹介されている知識・スキルの整理・体系化の手法は,物理に限らずあらゆる学びにおいて普遍的であり,読者は「学び方」自体を学ぶことになるはずです.

◆上下巻のまえがき・目次

◆紹介動画

 下巻の発売を記念して,2021年1月30日に行ったライヴ配信のアーカイヴです.上下巻に登場する全43フレームを一気に紹介します!各フレームあたり平均2分でテキパキと要点を説明する感じで,書籍をまだお持ちでない方にも伝わるようにお話ししています.

◆問題解説動画

 例題・演習の解説動画です.出来る限りシンプルにお話ししています.現在のところ下巻(電磁気・波動・原子物理)の分野のみになっています.2023年度中を目標に上巻(力学・熱力学)の分野も作成予定です.

【電磁気】

【波動】

【原子物理】

◆頁サンプル

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◆訂正一覧

上巻[力学・熱力学編]

p.31

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p.59

p.85

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p.86

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以上の誤植は,2刷以降では修正されています.
以下は,2刷でも直っていないものですm(_ _)m

もくじ

p.30

p.38

p.119

p.121



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