受験薬学:はじめに
これまでの人生の中、僕は一貫して勉強嫌いで、特に暗記科目がからっきしだめだった。だから何とか潜り込んだ薬学部でも成績はほとんど底辺で、合格した薬剤師国家試験の点数もボーダーギリギリのものだった。
確か225点が合格点で僕は自己採点が230点とかだった。ちなみに、それまでの間にいくつも受けてきた国家試験模試で合格点を取ったことは一度もない。
その第99回の薬剤師国家試験を受けていて思ったことがある。それはやけに難しく、普通の勉強では辿りつかないような内容の設問があるなということだ。底辺成績者の“普通の勉強”がどれほどのものかは置いておこう。
僕はそれをこう解釈した。これは“たまたま知ってる知識”がどれだけあるかを問う設問なのではないだろうか。つまり、積極的な態度で実習や学生生活に臨んでいれば得られる、そこだけやけに詳しくなったような知識のムラだ。それは気に入った先輩から聞いた雑学めいた知識でもいいし、患者と接するために付け焼刃的にその場で仕入れた知識でもいい。
とにかく、自分にあるベースの知識では処理できない事柄にぶち当たったために特別得られた知識がどれだけあるかを問いたいのではないだろうか。
この僕の解釈が正しいかどうかは知らないが、就職して薬剤師になった僕は、実習生と接する際にこうした“たまたま知ってる知識”を少しでも与えられるように心がけてきた。
そしてこの“たまたま知ってる知識”は日ごろの薬剤師業務でも結構役に立つものである。場合によってはある種の信頼やリスペクトを得るきっかけになることもあるし、話題の種になったりもする。
今では薬学部実習生と触れ合う機会はほぼゼロになってしまったのだけれど、ひょっとしたらどこかの誰かにたまたま拾ってもらえることもあるかもしれないので、受験生時代にお勉強した内容のうち、自己流のものをいくつか書いておくことにしようと思う。あるいは薬剤師人生の中で面白いと思った知識やエピソードなんかを。
なにぶん僕は暗記科目が大嫌いで、しかし薬剤師国家試験の勉強内容はというと暗記に次ぐ暗記だったからである。それをなんとか潜り抜けられたのは僕が暗記嫌いでもなんとかなる勉強の仕方をしていたからであり、中にはそれが役に立つひともいることだろう。
だからこの場で覚えやすい語呂を紹介することはないし、理論的なお勉強を書き連ねるつもりもない。
僕は暗記嫌いの理屈好きなので、するのは主に理屈や理論に無理やりこじつけた暗記である。どこかの何かとこじつける、あるいはそれを面白いと思うことなしの暗記というのは僕にはとても難しい。
もし今後の記事を気に入ってくれるひとが出てきて質問や「これやって」的な希望をコメントされることがあれば、できる範囲で対応しようと思う。
とりあえず最初に書くのはアメジニウムについて。実際こいつの錠剤を調剤業務中に見ていて何か書こうと思い至った薬剤である。
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