ロブスタ種のコーヒー、実はそんなに気候変動への耐性ない説。

元記事:Robusta Coffee Not as Robust Against Rising Temperatures, Research Shows - Daily Coffee News [Nick Brown | June 22, 2020]


最近の研究で、ロブスタ種(カネフォラ種、Coffea canephora)は一般的に考えられているほど丈夫ではない―――特に気候変動による気温の上昇に対して耐性がないかもしれないことがわかってきた。

 東南アジアにある約800のコーヒー農園における10 年以上もの収量観測データを基にした研究によると、ロブスタ種の気温上昇への耐性はコーヒー業界において過大評価されていることが示されており、ある温度を超えると収量が激減する傾向があることがわかった。 この研究は、グローバル・チェンジ・バイオロジー誌(Global Change Biology)において3月に発表された。より高値で取引されているアラビカ種は、既に世界中で気候条件の変化による存亡の危機に直面していることを考えると、これは世界のコーヒー産業に大きな警鐘を鳴らすものである。


筆者は概要欄において「今回の結果は、これまで考えられていたよりもずっとロブスタ種のコーヒーが気温変化の影響を受けやすいことを示している。気候変動による気温の上昇でロブスタ種のコーヒーの生産力が大幅に低下すれば、数十億ドル規模のコーヒー産業と数百万人の農家の生計を脅かす可能性がある。」と記した。 この研究は国際生物多様性連盟、国際熱帯農業センター(CIAT)、南クイーンズランド大学、世界的なコーヒー仲買企業である ECOM が共同で実施し、ベトナムとインドネシアのロブスタ種のコーヒー農園に焦点を当てたもので、外部からの資金提供はなかったと著者は述べている。

研究者らによると、ロブスタ種のコーヒーの生産に最適な年間平均気温は20.5℃であり、現在の推定値よりも1.5~9℃低いという。分析によって、年間平均気温が20.5℃を1℃超えるごとにロブスタ種コーヒーの生産量が14%減少することがわかった。「気温の上昇に伴い、アラビカ種コーヒーからロブスタ種コーヒーに植え替えるなどして気候変動に生産量を適応させようとしているが、現在行っているそのいくつかの選択肢の実行可能性を再評価する必要がある」と、研究の主著者である南クイーンズランド大学のジャロッド・キャス氏は述べた。

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地球温暖化とコーヒーの話がセットになった時、必ずと言っていいほど出てくるのが「アラビカ種よりロブスタ種のほうが収量も多いし、病害虫に強いし、気温の変化にも強いから、アラビカ種のコーヒーをロブスタ種に植え替えればよいのでは」という説…なのではないかと思いますが(個人の感想です)今回の研究でこの「気温の変化に強い」の部分が否定されました。

これは結構衝撃なんじゃないでしょうか…?!今までの通説では、最適な年間平均気温がアラビカ種で18~22℃程度、ロブスタ種で22~28℃程度と言われてきましたし、もはやそれがコーヒー業界では常識のように捉えられてきました。

しかし、気温の上昇は避けられないからといってアラビカ種からロブスタ種に植え替えたところで結局大したプラスにはならず、根本的原因である地球温暖化の方をどうにかしない限りロブスタ種もアラビカ種と同じ運命を辿る、ということが研究結果として発表されてしまったわけです。都合よく解決…というわけには、いかないものですね…。地球温暖化という壮大すぎる敵にどうやって挑めばよいのか、コーヒー業界からどのような取り組みが現状あって・未来に進めていくべきなのか、記事や研究があれば今後紹介していきたいと思います。

junko