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ポーションミルクを見ると

我が家のポーションミルクの賞味期限が、ギリギリに近づいてきた。
夏はアイスコーヒーを飲むために牛乳を使うので、ポーションミルクは全然使わなくなるのだが、夏前に残っていた在庫の賞味期限がもうすぐそこにきてしまっている。
一応、休日などゆっくりしたい時はホットも飲んでいたのだけれど、消費が全然間に合わなかったのだ。
私の小さい頃など、お盆も過ぎれば徐々に気温も下がって過ごしやすくなってきたのに、今や九月は夏に認定してもいいくらいに暑い。なんとも秋が遠ざかってしまったものだ。
仕方がないので、会社に少し持って行って休憩中のコーヒーに入れて飲んでいる。

このポーションミルクを見ていると、ホテルのフロントの仕事をしていた時に軽朝食のレストラン業務を行っていた事を思い出す。
なんでフロントがレストランを?と感じる方もいるだろうが、基本的に私が在籍していた期間は常に人手不足で、正式なレストランスタッフとしてパートさんがいるわけもなく、夜勤のフロントと日勤のフロントで交代しながらレストランも回していた。
日勤はレストランの閉まる十時までパンや飲み物の補充とお客様対応、その後は片付けをお昼くらいまでやるのが仕事だった。

そこまで難しい事をするわけではないし、後片付けは黙々と一人で作業できるので、私は結構好きな業務だった。週末や連休などお客さんの多い日は大変だったけれど。
結構な量のトレイやコップが使われるのにも関わらず当時は手洗いで、満室の日などはかなり大変だった。
給湯器も終わっていたので、五分ぐらい使うとお湯が出なくなり水になってしまう。
冬場は手がかじかみながら必死にトレイを洗って、寒さに凍えるのが常だった。
年末年始の激混みのシーズンなんかは、夜勤スタッフと交代した時点でトレイやコップが山のように積み重なっていた事もしばしばある。
あまりに大量でお昼まで片付けが終わらなかったが、さすがにフロントの業務もほったらかしにはできないので、一度フロントに戻って日中の仕事を終わらせてフロント内が落ち着いてきたら再度夕方くらいにレストランに片づけに向かっていた。
日もすっかり暮れた中、年末年始のお休みを満喫しているお客さんたちを想像しながら、冷たい手を震わせてトレイを洗う時間は、なんとも切なかったものだ。

この環境があまりにもひどいと本部もようやく気が付いたみたいで、私がその店舗から異動になった後、しばらくして食洗器が導入された。
後にヘルプでまたレストラン業務に入った際、あまりの快適さにえらく感動したものだ。

大変な思い出だったが、たまに味見で食べてみたバターロールと玄米パンが非常に美味だったのがせめてもの救いだ。
今年の夏もホテルは混み合った事だろう。また山のように積み上げられたトレイと共にちょっと切ない夏の思い出が生み出されたに違いない。

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