見出し画像

*言の葉trip*恩讐の彼方を巡る

恩讐の彼方
温風至 忘れ潮

*……………………………*

小説「恩讐の彼方に」は
菊池寛の名作として
広く知られております

「恩讐(おんしゅう)」とは
情けと恨み 相反する正反対の
意味を合わせ持つ言の葉で

様々な感情を 乗り越えた先の
境地というような意味合いで
使われることがございます

そして もうひとつの言の葉は

*忘れ潮(わすれじお)*

砂浜に取り残された
水たまりのことで

寄せては返す波が
砂浜に置き忘れたかのように
できる潮の水たまりを
忘れ潮と申します

この中を゙のぞいてみますと
小魚 ヒトデ カニ 貝
などがいたりして

小さな海をみつけたようで
海を独り占めといった
感じでしょうか

最後の言の葉は
*温風至(あつかぜいたる)*

二十四節気「小暑」の初侯で
温風とは南風のことをいい
温風が吹いて蒸し暑い日が
増えてくる頃のことを申します

まさに今頃のことかと存じます

*………………………………*

6月 NHKラジオ「朗読の世界」で
菊池寛「恩讐の彼方に」を
檀ふみさんの朗読で聞きました

私は この言の葉を
市川猿翁さんが
浜木綿子さんへ語るところを
テレビで見たことをきっかけに

この重厚感のある言の葉を
いつも頭のすみっこに
置いていたのですが

(小説は読んでおりませんでした)

さらにさかのぼり 今年5月の頃か
とある番組に由紀さおりさんが
出演され おすすめの小説として
菊池寛の「藤十郎の恋」を
紹介されました

(こちらも檀ふみさんの朗読で
聞くことができました)

そして先日 
旧優生保護法「違憲」の
ニュースを目にいたしました

その時 頭のすみっこにあった
この言の葉「恩讐の彼方に」が
漂うように 湧き立つように
頭の中に 起き上がりました

言の葉は不思議です
言の葉が言の葉を引き寄せて
なにかを伝えようとする
そんな時を感じることがあります

難しいことは わからないのです

ただ 「正しい」とは何か
正しさは 時代により表裏一体 

正しさが 人生を揺さぶり
正しさが 悲しみを植付け
正しさが 傷みを育てる

正しさが…正しさでないことを
受け入れるまで
いくつかの時代が必要だった…

正しさとは…

正しさという
言の葉が サワサワと
音を立てながら
今も揺れています

*………………………………*

温風至りて…

遠き昔に置いてきた
忘れ物を
探してみるよに
のぞきこむは 忘れ潮

恩讐の彼方へ 

ともに出かけてみませんか?
小さな 自分だけの海へ
探しものをみつける旅

それは言の葉巡りの旅…

ご案内はわたくし
ありのママこと
ありママでございました

本日もご利用まことに
ありがとうございました

またお会いできますことを
心よりお待ち致しております

*…………………………*

参考資料

山下景子先生著
美しい暦のことば
美人の日本語

ふうちゃん様のイラスト

読売新聞「論点スペシャル」 より


素敵な1日を☘  深謝







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?