私は『悟りオバケ』の子。
手のかからない、聞き分けのいい子供だったと、周りの大人にも言われながら大きくなった。
教師にもウケがよく 教室に数人いるいわゆる
『仲間に入れなかった子』の世話役を任されることも度々あった。
いつからこんな自分が出来上がったのか。
周りを不穏な空気にしたくないと 幼心に
強烈に思う何かがあったのかもしれないが
覚えていない。
でも、いつのまにか
自分の感情を伝えたり外に出すよりも
周りの気配を察知して吸収・中和し、合わせる方が得意になってしまった。
人の心が読めすぎる 悟りオバケの子。
自分の感情で ものを言わなくてはいけないと
気がついたのは、つい最近。
三十年以上近くにいた身内も驚いたことだろう。
『貴方らしくないこと言って、どうしたの…』
これからですよ、始まりは。
知らなかっただけです、今までは。
「大丈夫だよ」の口癖はもうやめにした。
「しらないね」を感情こめずに言えるように。