見出し画像

飛行機嫌いになった訳。

初搭乗は、高校生の時だった。

友達と教員と数名で愛媛県に向かった。
行きは快晴で、無事を感謝した。
帰りは搭乗すら待たされるほどの大雨&雷&風。
上空も酷い揺れだった。

高度を上げてからも揺れ続け、たまに
スッと落ちるあの嫌な感覚が続いていた。

隣の席の友達はシートベルトを締め直し、
祈り始めた。

「神様仏様キリスト様、どうかもう一度
 留守番している 猫に 会わせてください」

制服着た高校生が、一心不乱に手を合わせる姿は、
周りにはどう見えたか知らないが
私達は 祈り続けた。

「機長より ご搭乗の皆様に ご案内を申し上げます。
この飛行機は只今、非常に天候の悪いところを通過中でございます。
万が一 飛行機に落雷がございましても、
安全です。どうぞご安心ください。」

友達の祈りのレベルが上がった。
MAXだ。あらゆる神に祈っている。
私も参戦する勢いだ。
なす術がないのだ、祈る以外に。

今思えば、「大丈夫だよ」と肩のひとつでも叩いてやりたくなるが、その時の必死さは今でも忘れない。

二度と飛行機には乗るものかと心に決めたのに、
なんの因果か分からないが 12時間以上のフライトもしばしば経験することになるとは、祈り倒していたあの頃の自分は、知る由もない。


安心していいぞ、そのうち離陸したのも
知らないくらい、熟睡できるようになるんだから。