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日本語でどうぞ。


アジア圏の、とある国に住んでいた時、
日本人の旅行者に、現地語で駅を聞かれた。

そう、自分は現地人と間違われたのだ。
(ちょっと待って、何となくキズついたんですけど…)


せめて英語で聞いてほしかったなぁ…
なんで現地語なの?
そして文法はめちゃくちゃで、なに言ってんのか
判らないです…。
(イヤ、同じ日本人なので判りますけどね…)

どうも夕方から始まるディナーショーに行くらしい。
待ち合わせの駅が印刷された、某有名旅行会社の
マーク入りパンフレットを持っている。

1人旅行者の様だ。

残念ですが、このスカイトレインではなく、逆方向に乗ってください。
そして途中で乗り換えてもう一つ先の駅ですよ。

連れて行って差し上げたいのですが、自分は夕飯の買い物を済ませた身でして、保冷バックが肩に重く食い込んでいますので、口頭の説明で御勘弁を…

えぇ、日本人ですよ、日本語でどうぞ。


なぜか彼女はコチラの身の上に興味を持ち、
なぜこの国に住んでいるのか、何年住んでいるのか、家は近いのかと、質問してくるではないか。

おっと、コレは新手の個人情報盗みの手口か?と疑い出した時、自分が乗るべき列車が来た。

どうぞお気をつけて旅をお続け下さいね、貴方が乗るべき列車は、逆方向ですよ。
途中で乗り換えて、もう一つ先で降りてくださいね。
それから、改札口で挟まれない様に荷物は自分の後ろ側に回して持って歩くんですよ!
メッチャ痛いですから!


短時間に精一杯の情報を伝えたつもりだったが、
彼女は無事にディナーショーに合流できただろうか。

1人でここまで来れる人なのだ。
現地語で話しかける勇気のある人なのだ。
きっと大丈夫だったろう。

欧米人に英語で道や駅を聞かれてもさほどショックは受けない。
ローカルと区別がつかないかもな…と思えるからだ。
しかしさすがに日本人旅行者に現地語で聞かれるとちょっとキズつく…そんなに現地に馴染んで見えるんだ…日本から持ってきた服着てるんだけどな…
メイクが日本っぽくないのかな…
日焼け、し過ぎてるよなぁ、やっぱり…
なんかショック…

一時帰国までに、メイク動画見て勉強しとこ…。








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