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子どもらしい生徒がお好みで?

「先生 先生 先生〜っ!」

言葉を『お母さん』に置き換えたら、聞いている方が場違いで恥ずかしいくらい、陽気に教師にまとわりつく子どもがいた。

自分も子どもだったが。

教師は苦笑いしつつも満更ではなさそうで、
精一杯の迷惑顔を作りながら対応している。

上手くやってるじゃないか、お互いに。

無邪気な生徒、それを受け止めつつ均等に・平等に私は教師として気を配っていますよと言う気配が
教室に充満していて息苦しい。

自分は抑揚のない声で、後ろ姿の教師に声をかけた。
振りかえった顔は、先程と随分と違うじゃないか。


ねぇ先生、先生はさ、子どもらしい生徒が
好きなんでしょ?

面倒にならない程度に頼ってくる、可愛らしい
屈託のない笑顔の子どもが、お気に召すんだよね。
分かってるよ。

対等にものを言いそうな自分(私)と話す時の声は、
幾分渋めな
バーのママみたいだったよ。