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「春、お前ってやつはさぁ」


春が始まった

東北の春はいつもマイペースにのんびりやってくるものだ。
ある日はほのぼのとした、まさに春うらら。
春霞のなか、のどかに縁側にでも座ってみる。
ある日は暖かさを吹き飛ばすような春一番。
新芽も、桜も、やる気も全て吹き飛ばされてしまう。
ある日は冬に逆戻りするかのような、冷たい雨が降りしきる。
そんな日には、石油ストーブを焚き、上で温めた白湯を飲み、来たる春に備える。
ただひたすらに熱く、じりじりと焼き尽くされるような夏とは違い、
山々が色とりどりに燃え、徐々に色あせていく秋とは違い、
ただの白一辺倒の冬とは違い、
春は何かと忙しい。
空模様も、景色も、せわしなく移ろっていく。


新年度が始まった

春に始まるのがもう一つ。
そう、一年の登竜門「新年度」ってやつである。
こいつがなかなかに、こにくたらしいやつで。
新年度に向けた準備は正味1週間もないのに、1年を乗り切るためにはものすごく大事な時期だったりする。
この新年度ってやつを無事に乗り切ると、老若男女疲れ果て、いわゆる「五月病」なんてやつにもなりかねない。
ましてや、春のこの不安定さ。
不安定になるのは自分の心だけでも十分なのに。
何が楽しくてこの新年度を乗り気ななきゃならんのだ。
新年度ってやつを某アメリカみたいに9月にすればよいものを、と何度考えたことか。
しかし、そうなると今の日本の社会的制度を根幹彼変えていく必要がある。
そして、仮に9月から新年度が始まったとして、きっと私はそれに対しても文句たらたらなのだろう。
どこまでいっても自分本位のわがまま星人だ。

アレルギーを発症した

私は花粉症もちである。
鼻水、くしゃみ、顔のかゆみ、鼻づまりに鼻血。
数えだしたらきりがない。
顔面大パニックである。
特にこの春は顔の治安が悪すぎた。
鼻づまりで何度も夜に目が覚め、鼻がつまり鼻をかむと鼻血が出る。
顔がかゆく、マスクが当たると余計にひどくなる。が、マスクをしないとさらに顔がかゆくなる。
神様、どうして花粉症なんで作ったのですか。
神様、どうしてアレルギーなんて作ったのですか。
今年の春は、特にひどすぎた。
もうこんな思いはまっぴらごめんである。

「春、お前ってやつはさぁ」

蓋を開けてみるとろくでもないような春ではあるが、
春には桜が咲く。
山は笑う。
花々が咲き始める。
畑や田んぼが生き生きとする。
新しい人との出会いがある。
新しい自分にも気がつくことができる。
なんやかんやでいやな季節ではないのだろう。
だが、一筋縄でこの季節を楽しむことができないは事実である。

「春、お前ってやつはさぁ」

今年はなんだか大変だったから、来年はお手柔らかに頼むよ。

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