熾烈な競争と強固な組織。『ストロベリーナイト』を読んで

今更ながら、誉田哲也さんの小説『ストロベリーナイト』を読んだ。(本の紹介じゃないです)

本作は警視庁捜査一課の女警部補、姫川玲子が主人公の物語で、1度目は竹内結子さん主演で、2度目は二階堂ふみさん主演で、ドラマ化もされている超人気作である。

感じたこと

小説を読んで本の紹介をしたいわけじゃなくて、自分が読んで感じたこと・自分の仕事や生活に落とし込んで考えたことを書き残しておくという趣旨なので、
まだ読んでいない方にとってはネタバレになるのでご注意を!
既読である方にとっては、共感もあるかもしれないし、いや違うやろ もあるかもしれない。

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◇組織内部での熾烈な競争関係

玲子はノンキャリアであるにもかかわらず、様々な試験に対する猛勉強と、その類稀なる直感力(これが大きい)で事件を解決するなどして、30歳前に警部補までのし上がった優秀な刑事である。

警察組織は僕のような一般サラリーマンが働く企業とは、完全に異なるものと考えていた。
だが、主人公玲子と、その周辺を固める個性豊かなキャラクター達の関係性を見ていると、そう遠い世界ではない気がしてくる。

刑事は所詮一匹狼

ただ内部の競争意識という観点では、一般企業より(少なくとも自分の働く会社より)圧倒的に熾烈であると感じた。

上昇志向の人間が多く、そして事件解決というゴールを目指し組織で働くものの、最終的な手柄を自分が立てるためには?という観点では個々で戦っている部分もある。
協力しながらも、それぞれに独自の情報網、外部との関係を築き、時に上手く出し抜き、出し抜かれということがあるようだ。もちろん全ての人ではないに決まっているが。

このような競争を見ていて感じるのは、自分の職場での競争意識のなんとぬるいことか、、という点である。まぁ、内部競争が熾烈であればあるほど、余計なストレスが高まってしまうため、それは全ての人にとって望まれることではないだろう。
しかしながら、自分自身はもう少し競争意識を持ったほうがいいのでは?そう思わずにはいられない。
この物語に出てくる人間たちのことを考えれば、僕が置かれている環境は、より少ない努力で上を目指せるよな?そう思わずにはいられない。
警察でなくとも、超大企業ではここまで厳しい戦いがあるというのならば、
そこまで厳しくない職場で働く僕は、せめてその中ではやるべきことをやって上を目指すべきでは?ってか、いけるだろ!!
この本を読んで、そんなある意味熱い気持ちを思い出したのは確かだ。

◇組織の強固さ

とはいえ、自分の昇進のことだけを考え、全体の和を破壊して、ゴールを見失っている人は愚かだし、そんな人生は下らない。(と僕は思ってる)

大事なのはここでの戦いもありながら、全体としてはしっかりと団結して機能することである。
この物語の中でもとても印象的な場面がいくつかある。
同じ警察官の仲間の窮地に対しての組織の強固さは半端ではない。普段一匹狼の集まりと表現していても、ベースの仲間意識の強さはとてつもないのである。
特に、主人公玲子が学生時代に関わった事件(被害を受けた事件)での婦人警官の殉死と、裁判での一幕…警察官たちの仲間を想う気持ち、、ここは本当に読んでいて鳥肌が立った。この場面については多くは書かない。是非皆さんに読んでほしい。

ここ一番の状況での組織の強固さ。目的意識の共有力。学ぶべきことがとても多い。物語はフィクションだが。

いろいろ書かせてもらったが、
まずこういう細かいこと抜きで読み物としてとっても面白い。
誉田哲也さんの、姫川玲子シリーズは他にも何冊かあるので、それらも是非読みたいと思う。

ストロベリーナイト 誉田哲也著(Amazon)

今週もいい読書できてるなあ。


じゅうしい。40歳に戻るまで3141日。




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