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映画「寝ても覚めても」に流れる奇妙な空気の正体

※ネタバレあります。

私はあの報道をきっかけに、ただの興味本位で映画を再生したのだが、この映画には終始漂う奇妙な空気感があった。

この映画に漂っている奇妙な空気感。
これがなんなのかわからず、もう今日で10回程度この映画を見ている。

主演二人の演技にも、表情や感情にも他の出演者とも違う何かの違和感がずっと漂っている映画だった。

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結論、この映画は気持ち悪いくらいリアリティがあるからなんだと思う。

・麦を衝動的に追いかけた朝子の性格も。

・映画のストーリーに関係のない日常会話のセリフも。

・ストーリーに対して必然性のない、病気になった岡崎の日常も。

そして極め付けは、
・映画の外まで飛び出してしまった、出演者の二人の気持ちも。

気持ちが悪いくらいにリアルな、断片的な日常が、映画の中で繰り広げられ、「対岸の火事」であったはずの日常に、いつの間にか投げ込まれる危うさがこの映画にはある。

朝子の性格について
大阪で麦が行方不明になってから、友人にも何も言わずに東京に出てきた。思い立ったら行動してしまう、危うさ。
亮平とも幸せな将来が見えてきたのに、麦の登場で全てを捨てて麦と失踪してしまう危うさ。
このふらふらした危うい性格や、もったりとした喋り方にグッと魅き寄せられてしまう。

映画の終盤に迎えば向かいほど、朝子の不安定な言動が常軌を逸してくる。これら朝子のセリフは、彼女にとっては全て正しい。
共感はできないが理解できる。

夜明けのシーンについて
不貞行為も闇に隠されるという安心感が夜にはあると思う。
しかし夜は明け、夢は覚める。
東北あたりで朝を迎え、まだ薄暗い明け方に海で麦と別れるシーン。
この時の居心地は最悪だ。

ちなみに、音楽についてだが、
例えば、麦を追いかけて行った朝子が深夜バスで戻るシーン。
80年代のドキュメンタリーで流れるようなチープな不穏な曲が流れる。
この音楽も、私は心地悪かった。

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不安定な偶然を、余す事なく映画に収める。

この映画のキャスティングから、セリフ、音楽。

計算だとしたら作り手は本当に天才だと思った。

どこまでが計算で、どこまでが偶然なのか、、きいてみたい。

おしまい

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