見出し画像

褒める、をどーする? 【語る教育×心理学①】

 学級経営、日々の指導に、ちょっとしたコツがあるよと後輩に指導するようになれてきたここ数年。みなさん、特に、 “教育学部で習ったなぁ”、 “教採試験で勉強したな”、という『心理学』が生きてくる場面が多々ありませんか。
 そう感じるようになってきてから、本を買って読み漁るようになり、より実務がうまくいくよう(な気がする…)になってきました。

 今日は、児童・生徒を『褒める』場面について考えてみたいと思います。

1.ウィンザー効果

 近年のSNSの進化は、便利を産んだ反面、すごく怖いものです。
 ある学校での出来事や我々の指導、生徒の日常が噂話となり、真偽も分からない話に勝手に尾ヒレが付き、思いもよらないスピードで膨らんで、拡散されていきます。私も何度も怖い思いをしています。

 これは、人間は直接聞いた話よりも、第三者から伝わってきてきた話の方をより信じやすい、という心理的な傾向によるものなのです。この効果を『ウィンザー効果』と言います。マーケティング・ビジネスでも活用され、「口コミ効果」として、大きく注目されているものです。

 中学校勤務時代、女子指導に泣かされた私。いろんな子がいました。
 わざと先生や他の友達に逆らってくる、天邪鬼でひねくれガールのAさん。良いことをして褒めたい時はすごく褒めてあげました。ただ、すごく嫌そうな顔をする。それが日常でした。信頼してもらえていなかったのもあるでしょう。直接声をかけてあげることを大事にしながらも、そんな時は、Aさんと仲の良いBさんやCさんに、Aさんへの称賛の声を投げかけるようにしました。
 このウィンザー効果、赤の他人の話だとしても説得力が上がるのですが、話をされる相手への信用が高いほど効果が高まります。小学校。一日中友達と同じクラス。学級というコミュニティー以外に所属することがほとんどない。だからこその心理効果でしょうし、それが戦略の1つになるのだと思います。

2.モノで釣るってどうなの?論⇆【褒めたことの可視化、みんなで目標を目指す】という意味づけ

 モノなどを与えて、望ましい行動をするように働きかける方法は、『トークンエコノミー』というシステムの名前がついています。
 モノで釣ったら、そのモノがないと行動しなくなるのでは?と考える先生もいらっしゃると思うのですが、やる意味づけをしっかりし、最終的に『良いことができた、誰か/クラスのためになることをした(=先生が褒めたこと)を可視化する』『みんなが良い行動をできるようになる。そのために声を掛け合う』そこに向かって物を与えているとしたら、どうでしょうか。

 良いことができたこと、誰かに褒めてもらえたことは、その子の心には残るかもしれません。ただ、目に見えない。形に残らない。支援学級を担任していると、それが可視化されておらず、実感が湧かないので、自己肯定感ややる気につながらない子どもが少なからずいます。そう思っています。

 頑張りを見える化する。それを個人のものにするのではなく、みんなで見えるようにして(クラス?学年?での『見える化』)達成できたことを讃えあう。そして、皆で一定量貯められたら、席替えやお楽しみ会、大きなご褒美としてクラス全体で恩恵を享受する、という考えでいけたら良いでしょうか。
 よくあるものだと、【トークン=シール】となるでしょうか。個人が持ち帰って喜んでしまうものになる、他の子は「関係ない」「あいつだけいいなぁ」となり、何もしなくなる、はいけないので、場合によっては物をおはじきにするのか、ビー玉にするのか。学級に掲示して見える化できるといいですね。
 最近は、学級内通貨という取り組みをする先生も多いように思います。私も取り組んでみたい実践の1つです。

参考: 係活動などでお金がもらえる!?「学級内通貨」のお話

 ご褒美でおはじき?を与える時、無機質に渡すのではなく、満面の笑み、暖かい眼差しの先生が渡してあげたいですね。
 このトークンエコノミー、しっかりとしたABA(応用行動分析:Applied Behavior Analysis)という分野の考えの一つです。

 心理学を勉強することで、それを1つの技、戦略として扱っていけ、予防的な生徒指導・学級経営ができます。ただ、心理学に固執するのではダメで、根底は児童生徒理解をしてからの心理戦略の数々ですよね。

 みなさんも、大学時代の心理学の教科書、教採の勉強してた本を読み返してみませんか。語りましょう。

                         2期 よう先生


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?