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授業てらす アンバサダー 納見梢先生 インタビュー!!

はじめに

 今回、北本市立北本小学校の納見 梢先生にインタビューをさせていただきました。授業てらすメンバー「ジャック」こと新井陽佑です。
 私は、現在、授業てらすの企画「フォーマンセル」で、音楽を学ばせていただいております(フォーマンセルは4人1組ですが、今回、私のために納見先生が特別に参加してくださいました。なのでツーマンセルです)。
 私自身、音楽に対して非常に苦手意識があり、子供たちに対しても楽しい授業ができていませんでした。しかし、フォーマンセルで納見先生に学ばせていただく中で、今まで全く分からなかった音楽の授業の作り方や、評価の仕方、また子供たちへの声掛けなどたくさんのことを考えました。そして、私も少しずつ音楽の授業の楽しさに気づくことができました。
 そして、今回、納見先生にインタビューをさせていただきました。納見先生の音楽に対する思いや、子供たちとの関わり方など非常に学びが多い時間となりました。ぜひ、最後までお読みいただければと思います。

納見先生の自己紹介

ジャック:本日は、インタビュー、よろしくお願いします。

納見先生:お願いします。

ジャック:まず、納見先生の自己紹介をお願いします。

納見先生
:はい、北本市立北小学校に勤務している納見梢です。 昨年度までは埼玉大学教育学部附属小学校に勤務しておりました。今は音楽を中心に指導しているところです。プライベートでは、現在、ヒョウモントカゲモドキっていうペットを飼ってます。

ジャック
:ええ~。ヒョウモントカゲモドキって、何ですか。トカゲですか。

納見先生
:トカゲモドキなので、トカゲじゃないんですよ。ヤモリの仲間です。名前は、「こうめ」って言います。この子を飼い始めた時に「小梅太夫」にハマっていたので「こうめ」にしました。

ジャック
:とても綺麗ですね。動物はお好きですか。

納見先生
:爬虫類が好きです。

ジャック
:そうなんですね。意外な一面です。

音楽を専門にされたきっかけ

ジャック:音楽を専門にされたきっかけはなんでしょうか。

納見先生:一番のきっかけは、大学の専門が音楽だったことです。

 なぜ、大学の専門で音楽を選んだかというと、入試の際に教育学部の中で一番受かりそうだと思ったからです。結構不純な動機です。元々、小学校の教員になれるなら何でもいいと思っていて、特定の教科には興味がなかったです。なので、大学を卒業して教員採用試験受かってからは、しばらく担任として学級経営を一生懸命やっていました。

 ですが、附属小学校に転勤することになって、音楽の教員免許を持ってたことがきっかけで音楽を中心に研究することになりました。

 その後、 音楽の授業を研究する中で、全国には素敵な音楽の実践をしてる方々がいるんだなということを知ることができました。音楽の授業ってすごいんだぞということを、全国の先生に教えてもらったという感じです。附属小学校に赴任するまでは、まさか自分が音楽の先生になるとは全く思ってなかったですし、なりたいっていうのも思っていませんでした。けれども、いろいろな歯車が噛み合って今は音楽の先生をやっています。

ジャック
:大学の時、音楽ではなく別の教科の専攻に合格していたら、今みたいに音楽を専門にやることはなかったということですか?

納見先生
:はい、なかったと思います。

ジャック
:ちなみに、大学までに音楽にどのように関わってきましたか。例えば、部活で吹奏楽部だったとか。

納見先生
:ピアノは、6歳頃からずっとやっていましたが、ピアノ以外の楽器は特にやっていませんでした。部活は、中学校は卓球部でしたし、高校は特に何もやってなかったです。大学の専門は音楽なのですが、演奏ではなくて音楽史などの研究をしてました。なので、「音楽の先生っていうとピアノがすごいうまいんでしょ」とか「歌がすごい上手なんでしょ」って言われちゃうんですけど、そうでもないですという感じです。

ジャック
:てっきり、音楽一筋でやってこられたと思っていたのですが、卓球部だったことなど意外でした。

音楽の授業で大切にしていること

ジャック:音楽を学んでいく中で、その魅力に気づいたと思うのですが、音楽の授業で大切にしてることはありますか。

納見先生大切にしてることは大きく三つあって、

 1つ目は、楽しいことです。

 2つ目は、レッスンではなく、学びになること。

 3つ目は、1人1人に寄り添うっていうことです。

 1つ目の楽しいことですが、「楽しい」ということには二つの要素があると思っています。一つ目は、遊びの要素。二つ目は学びの要素。

 音楽って、とにかく、活動自体が楽しいっていうことがあると思います。いわゆるちょっと遊びっぽい部分です。その部分がないといけないなって思っています。 理論ばっかりガチガチにやる訳ではない。

 でも、その一方で何を学んでるのかってことは、忘れてはいけないなって思います。よく「活動あって学びなし」って言われますが、やはり、資質能力に沿って、どんな力が今、身についてるのかということは、忘れないでいたいなって思います。自分ができるようになったりわかるようになったり、自分の考えが認められたりするというのは、子供にとって楽しいことだって私は思ってるので、その両方を含んだ楽しいっていうことを大切にしてます。

ジャック
:なるほど。遊びだけで終わらない。もちろん楽しいのも大切だけれども、それだけで終わらないってことですね。

納見先生
:その通りです。次に、2つ目のレッスンではなく、学びになることについて話しますね。

 子供たちに今まで受けた音楽の授業で何をしてきたか聞くと、リコーダー吹いたか歌を歌ったか、その2択を言うんですよね。でも、自分が教えた子たちがそうじゃないといいなって思います。音楽は教えたら、簡単な部分もあるんですよね。「こうやってやりましょうね」って言ったら簡単な部分。

 でも、そうではなくて、どうやったらいいかを考えるとか、こうやったら面白いよと気付くとか、学びに転換していくっていうことを大事にしてます。

ジャック
: 気づかせるということですかね。

納見先生
:そうですね。もちろん教師は、曲を見てどんな曲かっていうのは分かっているのだけれども、あたかも子供が見つけ出したみたいな。そういうことが、やはり楽しいと思うのですよね、子供にとっては。

ジャック
:子ども自身が発見した、そうさせることが楽しさに繋がるということですね。では、最後の「1人1人に寄り添う」ことについてはいかがですか。

納見先生
:音楽は好き嫌いとか、得意苦手っていうのが出やすい教科かなと思っています。

 ついつい、合唱の時などクラス全体で「歌がうまくなったね」と言って終わってしまいがちです。

 しかし、クラス全体の歌う技能が高まったとして、Aさんはどうだったのかな。Bさんはどうだったのかなって、一人一人を見てあげたいということです。例えば、AさんもBさんも歌が苦手って思ってるとして、Aさんはもしかしたら声の出し方に課題があるかもしれない。Bさんは音程の取り方に課題があるかもしれない。というふうに、1人1人に何が足りてないのかというところは見てあげたいなって思ってます。

ジャック
:なるほど、1人1人に合わせて指導も変わってきますよね。ちなみに、1人1人に寄り添うために納見先生がしていることってありますか。

納見先生
:音楽の授業のノウハウというものも、もちろんあるのですが、私は現在、担任ではないので、空き時間のようなフリータイムが多いです。朝の会の時間や、お昼休みなどです。その時に、常に校内をフラフラしてます。色々な所へ行ってみています。

 そうすると、音楽室では見えない子供の様子が見られたりとか、ちょっとした立ち話をする中で、この子ってこういう子なんだなということを知ったりすることができる感じです。

教師として大切にしていること

ジャック:ありがとうございます。校舎内を回って1人1人に寄り添うことを大事にされているとのことでした。また、附属小学校に行く前は学級経営を大変頑張っていらっしゃったということですが、教師として大切にされてることはなんでしょうか。

納見先生
:これも3つあります。

 1つ目は、自分自身が学び続けること。

 2つ目は、同じ教材であっても、クラスが変われば同じように授業しないこと。

 3つ目は、一人の人間として子供に関わることです。

 1つ目の「自分自身が学び続ける」これはもう、そのままです。常に世の中は様々なことが変化していると思います。社会の中に出ていく子供たちを育てると考えたときに、まず自分自身が社会がどういうものかということを知っていたいなと思います。

 もっと狭い意味で言えば、今、文科省はどういうことを言ってるんだろうとか、どういう情報が今、教育界で流れているんだろうかっていうことのアンテナを張るということです。

ジャック
:やはり、アンテナを高くするっていうことが大事ということですね。

納見先生
:はい。二つ目に同じ教材であってもクラスによって授業を変えることですが、指導案を書くときに、最初に児童の実態を書きますよね。児童の実態がこうだからこのような授業をしようということを考えて授業を組み立てます。

 なので、例えば、2クラス並行の場合、A組とB組が全く同じ実態のはずはないです。なので実態に合わせて、クラスにあったルートや方法で進めてくという感覚です。

 あとは、毎年音楽を中心にやってると教材研究をしなくても「この曲はこうやればいいのよね」と、なりがちなのですが、もっといい方法ないかなと探ったり、指導要領が変わったり教科書が変わったりしたときに、どうやってこの教材を自分が解釈して、どういう事業組み立てていくかを考えたりしていきたいなと思ってます。

ジャック
:もう毎年、これでいいよとなってしまいそうですが、そうではないよということですね。最後の「一人の人として付き合ってく」についてはどうでしょうか。

納見先生
:これも言葉通りなのですが、子どもであっても一人の人間として関わっていきたいと思っています。

 例えば、大人同士での関わる時は、いろんなことを考えて配慮しますよね。言葉一つとってもそうですし、バックグラウンドを考えることも絶対必要だと思うのです。子供であっても、対等の人として関わりたいというのはすごく思っています。どうしても仕事として叱らなきゃいけないっていうことはあると思います。

 ただ、その中でも感情的にならないことです。先生の言うことが絶対ではないっていう感覚です。自分の考えを子どもたちに押し付けたくないですね。

今後の展望

ジャック:ありがとうございます。では、最後に今後、納見先生が目指していきたいものや、教師としてこうしていきたいななどの、今後の展望を聞かせてください。

納見先生
:これは2つあって、

 1つ目は、日々の授業が目の前の子供たちにアジャストしてるかを常に見極められる教師でいたいということです。

 2つ目は、自分がずっと音楽科における知識を研究してきたので、その研究を深めたいなって思ってます。


ジャック
:日々の目の前の授業にあわせて、自分の授業よくしていくということと、音楽の知識をさらに深めていくということですね。これだけ音楽の授業に長けているのにすごいです。

納見先生
:いえいえ、こういう話をすると、音楽のことばかり一生懸命やってる人間に思われると思うのですが、そうでもないですよ。休み時間はおにごっこ等の外遊びも本気やりますし、休日は学校とは無縁の場所へ行って遊ぶことも多々あります。

 学校内のことに限って言えば、最近一番楽しいのは、校内をウロウロしてるときですね。授業も楽しいのですが、この子って教室ではこういう雰囲気なんだなとか、この子って、音楽全く発表しないけど算数では生き生きしてるんだなとか、音楽の授業では見られない一面が見えて面白いです。

ジャック
:いろんな顔がありますよね。子供も。

納見先生
:そうですね。一人の人間ですからね。

ジャック
:納見先生、本日は、プライベートのことから、仕事に対する熱い想いまで聞けて、たいへん勉強になりました。また、たくさんのことを学ばせてください。本日はどうもありがとうございました。

納見先生
:こちらこそ、ありがとうございました。

インタビューを終えて

 インタビューを振り返ってみると、納見先生の音楽に対しての思いや、また、1人1人にあった方法を絶えず学んでいこうとする姿勢を感じることができました。
 私自身、納見先生からフォーマンセルで学ぶ前までは、「音楽はなんとなく」やっていました。しかし、音楽の授業のポイントなどを学ぶ中で、やり方や子どもに身につけさせたいことななんなのかがはっきりしてきました。以前、フォーマンセルで「1、2年生の音楽はとても大事です。1、2年生の指導事項をしっかりと教えていないと、3年生の時に非常に大変です。算数に例えると、足し算、引き算がわからない状態で掛け算を教えるようなものです」と言われました。やはり、教えるべきものをしっかりと教えることの大事さ、そして、レッスンだけにならずに学ぶ面白さを伝えていく必要があると感じました。
 これからも納見先生から多くのことを学んでいきたいと思いました。納見先生、今回は本当にありがとうございました。

 今回、インタビューさせていただいた納見先生が8月11、12日に行われる「磨け、授業力。ALL HAPPY」の講師として登壇されます。ぜひ、皆さんのご参加、お待ちしています。

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