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由井薗学級で2週間過ごして

2019年、私は市の研修制度を利用して、筑波大学附属小学校の由井薗健先生の学級で2週間を過ごしました。普段見られない授業以外での由井薗学級を紹介したいと思います。写真は貴重な帰りの会のワンショット。宿題が書いてある隣には、翌日が遠足だったので、「お約束」が模造紙に書かれています。

朝の会

スピーチの時間があります。一人目は深川めしについて調べたことを発表していました。投影機で、写真を見せながらの発表です。調べたことを、わかりやすく、笑顔で話す子供…朝から知的な始まりです。
なんと、スピーチ最後はレトルト深川めしのプレゼント!!由井薗先生に笑顔で渡していました。
「先生やっててよかった。」
と泣いて喜ぶしぐさの由井薗先生。感情をはっきりと見せるので、子どもたちも一緒に笑顔になります。私自身、こういう教師になることが夢だったのに、いつの間にか忘れていることに気づきました。「いつも笑顔で、元気で、感情豊かな先生」に、自分もなりたいと思って先生を始めたのです。初心忘れるべからずだと気づかされました。
次に駄菓子についてのスピーチです。元気いっぱいの男子が発表します。とにかく子供らしいのです。話すぞ!というスイッチもありません。さきほどまでと同じです。また、聞く子どもたちもいつもと同じ自然の姿のままなのです。みんな笑顔で素の反応をしています。
研究授業で見ることができる子どもらしい筑波の子は、このような日常から生まれるのだとわかりました。初対面の私にも、子どもたちはみんな親しくしてくれました。背中に乗ってくる子。名前を教えてくれた子。4年生自体がかわいい、ということもあるけど、由井薗先生がこの学級の子どもたちをかわらしく育てているのだとわかりました。

給食の時間

その日の給食では、焼いた豚肉と野菜スープがでました。私が勤務する青森でも出るような、一般的なメニューです。おいしくいただきました。
一緒に食べた班は野性味があふれていました。まず、まじめなAちゃんが、さらっとB君に「これあげる」と言って、豚肉をあげてしまいました。ほかの子は、もう「俺も欲しい」「私も欲しい」と大騒ぎになりました。それを聞いてA君は箸に唾をつけて、さっと豚肉につけたのです。「これで、おれしか食べられないよ!」ということですね。昭和の子供じゃん!!これが子供の世界じゃん!!と心から笑いました。あとくされもなく、その後も楽しい時間は続きました。

お昼休み

休み時間になると、全員が元気よく遊びます。外に出て庭で生き物を探す子もいるし、校庭で鬼ごっこをする子もいます。教室の中では、ペットボトルのふたに回転をかけて投げる遊びが行われていました。非常に楽しそうに、投げ方を研究しながら遊んでいます。
私の学級では、「教室の中で物を投げるのはダメです!危険です」と言って叱ってきました。でも、こうしてみてみると、人のいない場所で上手に遊んでいるのです。私はハッとしました。教師から一方的にルールを決めることで、子どもが遊ぶ力を奪っていたのかもしれません。実際に、自分の教室に帰った時に私はこのルールをやめました。やはり、子どもたちは上手に遊んでいました。自由の中でしか学べないことが多々あるのです。

夜。由井薗先生と飲みながら教育談義

夜は一緒に飲みました。2週間で5回も飲んで、最高の学びの機会となりました。こんな贅沢なこと、ありませんね。本当に由井薗先生は、人間性も素晴らしい方で、拝みたくなるほどです(^O^)
私が感じた、子どもが自由であること。このことについて聞いてみました。「子どもの個性を受け入れるということは、そのまま、指導にも反映されなければならない。子どもには叱られる権利があるから、自由にさせておいて、指導をする。そういうタイミングが大切。そのタイミングがずれて、必要のないときに伝えると、この先生は何だ、と不満になる。そのタイミングをとらえて伝えるためには、逆に言うと、悪いことをする子も大切なのだ、ということになる。そういう悪いことができるような環境を整えておくことも重要。水は飲みたいときに飲ませなければ、水のありがたみがわからない。のどが渇いていないと、水を飲もうとも思わない。やはりタイミング」
と教えていただきました。この話を聞いて、私は、学校で子どもたちを縛り付けていたのかもしれないと思いました。子どもの中にあるエネルギーをそのまま引き出しながら指導する。それが、その子らしく育てるということではないでしょうか。
実際に、由井薗先生は怒ります。ダメなことは、ダメと言います。でも、由井薗先生は、こうおっしゃいます。
「子どもを叱ったら、絶対に笑顔にして帰す」
その言葉の通り、叱った後は、また優しい由井薗先生に戻ります。

続きはまた今度。

                          三浦健太朗


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