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【漫画】兄嫁と結婚します 34

大正時代の東京・上野を舞台にしたマンガを描いています。
侯爵一家は避暑のため那須の別邸に滞在中。
突然、華枝のお化粧教室が始まりましたよ。


【蛇足】完徹と侯爵に額の傷を見せても大丈夫だったのと、ラブ方面のあれやこれやのおかげで早朝からテンションが高い華枝。義理であれ近い将来自分の娘になる七緒と八重にも傷を見せることにしました。家族になればいつか見られるだろうという諦めもあるかもしれませんが、侯爵のように、七緒や八重も傷を嘲笑するようなことはないという信頼があるからかもしれません。

このマンガを描くにあたって、紅ミュージアムに行きました。

↑サイトに、玉虫色に輝く紅や素敵な紅板の写真がありますので、ぜひご覧ください。
手持ちの資料やネットではよくわからないことが多かったのですが、当時の化粧品やパッケージの展示を見ることができたのがとても嬉しく、大いに刺激を受けました。資料も購入。係の方に展示の案内もしてもらい、たくさんの情報が手に入りました。どうもありがとうございました。

大正時代は着物の女性が多いのですが、髪型は日本髪から束髪になり、大正後期から昭和(戦前)になると洋装の女性が増え(モダンガール、モガ)、断髪や洋髪、パーマネントの人も増えていきます。
化粧も、江戸時代から明治の頃の白粉をしっかり塗る方法から(現代の舞妓さん、芸者さんのようなお化粧)、西洋風の化粧の影響を受け、よりナチュラルな化粧に変化していきます。

資料を見ていると、化粧品も化粧法も急激に変化していく時代だったのがよくわかりますが、現代の化粧品や化粧法のルーツを感じます。棒状の口紅が登場したり、もう少し先の時代だとマスカラが登場したり、基礎化粧品をつける順番が決まっていったり、現代のレトロコスメ(ロングセラー)が発売開始した時代とか、調べてみると面白いです。
ファッションとメイクが大好き、外国語ができ、しかも裕福な家の娘の華枝であれば、欧米の最先端の情報と化粧品を仕入れて日々研究していることでしょう。

華枝が紅板(携帯用の紅)を使っているのは、彼女は国や銘柄にこだわらず、自分が試して一番良いと思ったものを使うはずだ(侯爵に会うならなおさら)と考えたからです。紅板はコンパクトで、紅はつけ方(重ね方)で濃さを変えられるので、旅先に持参するのに都合がよい。華枝はそういう合理的な考え方をするところがあると思います。
ゲランの香水「ミュゲ」(フランス語でスズラン)は現在も販売されていますが(容器はもちろん、アレンジが昔とは少し違うかもしれませんが)、さわやかでフローラルな香りが基調とのこと。当時の香水としては「ヘリオトロープ」などもありますが、華枝なら甘い香りよりは花の香りを好むような気がしてミュゲにしました。両方持ってるかもしれませんが(笑)。

私は普段全然化粧をしないので(化粧水とリップクリーム程度)、化粧品の名前や、使う順番、使い方などよくわからなくてイメージするのが大変でした。バニシングクリームって何…? コールドクリームって何…?(笑)
調べたものを使って話を作ることができて、書き手としての手ごたえを感じました。
本当に、勉強になりました!!

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