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なんとなく、をしない。

プロ野球が、開幕した。
4年連続4度目の大役となった大瀬良大地投手にとっても、
やはり開幕戦は特別だったよう。
何より求めていた勝利という結果を手にした投球はお見事だ。

あの1勝、もっといえば、あの1球のために、
トップアスリートは、日々の取り組みから常に意識を置いて行動している。自分に置き換えれば、
何となく過ごしてしまって1日なんていくらでもある。
情けない限りだ。

大瀬良君は、後輩とのランニングひとつでも、なんとなく、しない。

自主トレ期間の12月、
大瀬良君を内側に、後輩2選手とポール間のランニングをしていた。
行きは走り、戻りは歩くの繰り返し。
なんとなく見ているだけでは、オフによくみる光景も、
走りだす前に3選手が場所を入れ替わっている動きが気になった。

数本走ったところでハッとさせられた。
フェンス際に沿った走路では、
内側の選手と外側の選手では距離の差が生じる。
わずかな差に見えても、十本以上繰り返せば、その差は広がる。

ただ、自主トレ期間中なら先輩選手がちょっと楽するくらい、
珍しいことじゃない。よくあることではある。
でも、そこもなんとなくやってしまわない。

「僕だけ楽しちゃったらいけないので。みんな平等に。
先輩が楽しちゃう概念があまり好きじゃない。一緒にやるなら、平等に。」

人格者として周囲に慕われるのもうなずける。

どこかでまだまだ特別扱いはいらんという矜持のようにも感じられる。
練習はやらされているのではなく、自ら行うもの。
自分のものだからこそ、そこに意思を向ける。

「何でもそうです。シャトルランの切り返しでも、
右足で切り返すときはプレートを蹴る意識を持って。
ただ走ることも、動きひとつ野球につながるように。と思っています」

投球フォームを大きく変えた昨年は、
フォーム安定のため、大減量しただけでなく、歩き方から変えた。

「目に見えないアップデートもしていかないといけませんから」。

どうしても目に見える変化を求めてしまうけれど、
目に見えない意識が、目に見える変化につながるということか。
そんな意識は、目に見える変化が“太る”くらいだった記者の胸に刺さる

プロ野球選手だけでなく、「なんとなく、をしない」ことが、
人として成長、仕事の成果につながっていく。
分かっていても、人は弱いから、なんとなく、やってしまう。
30歳となった今も進化を続ける姿に、
41歳も「なんとなく、をしない」日を少しずつ増やしていこうと思う。

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