JFLと地域リーグの間について

 今回はJFLと地域リーグのお話です。
 かねてからTwitterでは発言しておりましたが、現在日本サッカー界のピラミッドは少々歪です。
 最大20クラブとしているJ3の下のJFLは16クラブと少数であり、そのすぐ下には9つの地域リーグが存在します。
 このため、地域リーグからJFLに昇格するには、「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」(通称:地域CL)という12チームが出場する大会で、上位2位までを勝ち取らないといけません。この大会は4チームずつに分けた1次ラウンドを3日間で3試合行い、4チームが勝ち上がった決勝ラウンドを5日間で3試合を行う非常に過酷な大会。
 それ故「日本で最も過酷な大会」とも言われています。これは9リーグからいきなり1リーグになっている構造によって生まれているものであり、年間成績によって昇格・降格が起こるリーグ戦の構造としては健全とは言い難いです。 
 実際、実力がありながらこの大会に何度も跳ね返されるチームも数多くあり、それによってチーム解散やチーム規模縮小になったチームも多々あります。もちろんその中には「身の丈に合ってなかった」クラブもあり、そういったクラブが解散や縮小に追い込まれるのはクラブによる責任が多大にあることは理解しておりますが、昇格を決める大会としてはあまりにも残酷かつ過酷なレギュレーションであることは間違いありません。

 「地域CL」に関して言えば個人的にも毎年楽しみにしている一人でもありますが、毎年惜しくも昇格を逃したチームに心を痛めているのも正直なところ。自分自身もサポーターとしてこの大会を経験しており、決勝ラウンド初戦で敗れたときのことを非常に良く覚えているので、毎年繰り返される“悲劇”には心が痛みます。
 現在はこの大会を遠くから見守るものとしても、これを発展的解消してJFL以下のリーグを改革すべきだという思いが強くなりました。

【 案1:JFLを東西分割 】

・JFLを16チームずつ東西に分割
・リーグ終了後にチャンピオンシップ開催
・下位2チームずつ計4チームが降格
・地域リーグから4チーム昇格

 東西に分けることにより、地域リーグからの昇格が4チームに拡大。
 現在のような過酷な6試合を戦わずに済み、大会方式にもよりますが週1試合の3試合でも大会の実施が可能。
 ただネックとしてはJFLクラブの中には「全国リーグだからスポンサードしてる」企業もあり、Honda FCやソニー仙台などの企業チームは全国リーグを望んでいると思われるので、そういったクラブとしては東西分割は受け入れられないと思われる。
 ただし、世界的には「4部相当リーグの全国リーグ」は極めて稀であり、現在のJFL自体がかなり異質な存在であることは明記しておきたい。

【 案2:JFL2部(仮称)設立 】

 ・JFLの下に新たなリーグを設立
 ・東西分割、将来的には3分割
 ・リーグ初年度は12チーム1リーグ
 ・2年目に12チーム×2リーグ
 ・3年目に16チーム×2リーグ

 「JFLの全国リーグ維持」が揺るがないのであれば、その下に新しくリーグを作るしかない。これが「JFL2部」である。
 名称はどうでもいいし、別にJFLが管轄する必要もないとは思いますが、これが今までなぜできなかったが不思議。
 FC今治の岡田オーナーが提言するまで、地域CLの日程改善(決勝ラウンドの3連戦廃止)も行われなかったし、ちょっとJFAはこの辺のこと放置しすぎではないかと思う。
 別にJFL所属クラブへの忖度も必要ないのに、Jリーグが出来て20年以上経つのになぜ作らなかった?という思いは強いです。
 地域リーグは概ね4月~10月初旬で多いところでも年間18試合なのに対し、JFLは3月~12月初旬まで行われ、年間30試合。ホームゲーム換算でも9試合から15試合に増えます。
 更にアウェーがいきなり遠くなり、ホームゲームも有料試合が必須。
 地域リーグまでは「観客席のない人工芝でも可」だったのが「有料試合が可能な天然芝」が必須項目になってくるので、昇格したらいきなりその壁にも直面することになります。
 そういった意味でも「その間のリーグ」というのは必要不可欠であり、上を目指すチームとしても組織を段階的に整えていけるので助かると思います。

 現在、J3リーグは16クラブであり、残りの枠が4クラブ。
 このままいくと、早ければ2022年には20クラブとなり、また「JFL降格」が始まることになります。
 JFLは下位2チームが降格となっていますが、しばしばJ3新規入会クラブが誕生するので降格を免れるケースが多いんですが、J3枠が埋まるとそうはいかずに「毎年2チームが地域リーグに降格する」ことになります。
 JFL昇格後1年で降格というのは近年ではコバルトーレ女川が経験していますが、地域CLが厳しすぎるのでこれもまた“悲劇”と言えます。

 そういった事情から「J3が20クラブになる前にリーグ改変を!」というのが今の願いです。未だに地域リーグには「Jリーグ参入」を目標に掲げるクラブが数多くあり、年々地域CLは厳しさを増しています。特に関東リーグの厳しさは群を抜いておりますし、「JFL2部」を今設立してもJFLと遜色ないレベルのリーグは作れると思うので、なんとしても実現して欲しいところです。

 少なくとも来年末あたりにはJリーグから「JFLとの入れ替え」について言及はあるでしょうし、それに伴ってJFAがどういった動きをするのかに注目していきたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?