5分後に夢を見たい時に考えること-2
おやすみなさい。一番安心できる自分のためだけのベッドに埋もれる。
重たい身体はどんどん沈み込む。もしも、掛け布団か敷布団どちらかしか存在しない世の中だったらどちらを選ぶだろう。私は迷わず敷布団だけの世界を選ぶ。
フッカフカの厚さ2メートルくらいの敷布団に体をすっぽりと埋める。
沈み込むとそこはお腹の中。悩みも辛さも喜びも希望も未来も過去もそう言う概念が存在しない優しくもないし冷たくもないけど寂しさは感じない世界。
お腹も空かないし、沈む前にラーメンを食べた記憶さえぼやけてくる。
カタ麺しか頼まない人間はその唯一のアイデンティティさえ忘れてしまうのか。
では残るものは一体何がある?器の中のわずかな量のスープが答える「残ったところでどうなる?」替え玉を頼むこともできない。目の前に置かれた爪楊枝集合体に手を伸ばすこともプライドが邪魔をする。爪楊枝は盆踊りを踊っている。一緒に踊ろうと思ったけど練習をしていなかったのでついていけない。結局恥ずかしくなって逃げ出した。全て忘れられるお腹の中に帰るのだ。逃げたところで外の祭は終わらない。自己満足にしかならないことを知っていたとしても土に還ることしかできない。
埋もれる。身体はどんどん沈んでいく。体の横に壁ができていく。壁はふわふわなのでこの壁をお腹の上に乗せることで掛け布団にもなるはずだ。
結局、私は敷布団も掛け布団も必要なのである。
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