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出荷金額20万円で輸出を計画してみよう

ビジネスではどの分野にも「大きなスケールでドラマチックにチャレンジするギャンブラー気質の人」と、「目立たず小さなことを堅実に積み重ねて成果を出す人」がいます。

「輸出」という言葉は海外を連想することから規模の大きさやスリリングな展開をイメージしがちですが、現実的に考えれば、「海外を望むこと」自体がフロンティアへの挑戦で、海外市場に期待するほど国内事業に危機感を抱いているのは地方の会社が多いので、輸出は「新しい商品を新しい市場に小さな規模で」となるのが自然です。

しかし、地方の小さな会社には輸出経験や知識が不足しているので、輸出と聞くと「コンテナで輸送」、「商社が絡んで国際送金」、「数量が対応できない」と反射的に連想し、また、中には「少量じゃ輸出とは呼べない」、「小規模じゃ価値がない」と言う企業もいて、誰のために、また何のために輸出をやろうとするのか、解せないことがあります。

例えば、「海外向けのMOQ(最低出荷数量)が500万円で、利益が100万円の加工食品」の国際取引を探そうと思ったら、それだけのMOQとFOB価格を初取引から承諾するバイヤーを探すのはギャンブルであり、時間の無駄であり、勉強にさえなりません。

無謀で非現実的な商品設計、価格設定、数量設定、条件設定は、一目見ただけで買う気を失わせるに十分ですが、未熟な日本企業は「たまたまそうだった」というだけのパレット積載数量、コンテナ容積、国際送料から算出した数値を組合せただけで、相手の買いやすさへの配慮を欠いたまま商談に臨み、「海外営業は厳しいね」とこぼします。

それよりも、「MOQ=19.8万円」と提示したほうが、バイヤーは自国での売り方に幅が生まれ、安心して余裕も生まれ、買いやすくなります。

EMSで課税対象となるのは「20万円以上の海外向け出荷」で、20万円に満たなければ通関手数料を支払わずに済み、売り手にもお得です。

「20万円の取引を100万円に育てた」は再現可能な努力ですが、「100万円買える客を探す」という販路開拓は偶発性に依存した再現不能の博打です。

少額・少量出荷からのスタートは、「製品を正確に理解し、価値を認めて購入する客層」を作るうえで必須かつ現実的で、発展性継続性があり、初期段階のこの情報共有と関係構築を経なければ、取引が大きく、長く育つことはありません。

「買いやすさへの配慮」でバイヤーを味方に変え、販路よりも能力を獲得しましょう。



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