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海外で、産地間競争を繰り広げる日本の農産品

7年ほど前にバンコク出張でBTS(Bangkok mass Train System)を利用したら、「Korea Strawberry」の広告一色の車両に乗り合わせました。

バンコクの空港線(Airport Rail Link)では日本の旅行会社HISの全面広告をよく目にしますが、タイ人比率が高いBTSで日本企業の広告を目にする機会は減り、駅と電車内での韓国イチゴの大々的な宣伝を見て、少し悔しく感じました。

タイで人気を集める韓国産イチゴ(Tridge、英語)
栃木県産のイチゴが韓国で不正使用された疑惑にはここでは触れません。

私が東南アジア香港台湾に行くたびに、各地で繰り広げられる日韓経済戦争を見て感じるのは、韓国産地を前面に出さずKorea〇〇、K〇〇と「国名」で全ての商品の広告宣伝を行っているのに対し、日本店舗でも展示会でも「市町村名」を出したがり、書きたがり、宣伝したがることへの違和感です。

バンコクのアイスクリーム屋やカフェでは「K-Winter Fruit」というPOP広告が店内に並び、タイ人が大好きなインスタグラムで目立つような食べ方、甘さや食感を楽しむ食べ方をおしゃれに演出しながら説明し、「お客様の楽しみと喜び」を軸にイチゴの情報を提供しています。

いっぽう、日本の農産品や食材は、自治体の補助事業の一環で地元の商工会議所か地域商社で地産品を集めて持ってきただけで、なぜかブースや店舗、売り場に産地の観光パンフレットが置いてあるパターンも多く、「ここは、そんなことをする場じゃないだろ」と見ていて情けなくなります。

現地のお客はその食材をいかにおいしく、楽しく味わい、あるいは儲けるかに興味があるのに、日本の生産者や販売者はその重大事には興味がなく、「おらが町の販路と売り上げが広がればいい」という発想が見え見えです。

というより、正確には「海外に持っていく」という作業さえ終われば、あとはどこの国の誰がどう思おうが関係なく、「その先は商社の仕事」と決めつけています。

「相手の問題解決」ではなく、地元の活性化という「自分の問題解決」を軸に海外でも他の自治体と産地間競争を行うばかりの海外展開には、持続性も発展性も期待することはできません。



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