見出し画像

『がん』5年生存率

当マガジン(本連載)「なぜ『がん』に振り回される???」全体の目次はこちら

『がん』イコール『死』のイメージ

前回は、日本における『がん』検診受診率について、見てきました。諸外国に比べ、受診率の低さが、日本で『がん』が減らない理由だと、国は考えています。

⇩⇩⇩ 「前回の投稿「『がん』検診の受診率」はこちら

今回は、とはいえ

『がん』になってしまった後

に関するデータを、見ていきたいと思います。

多くの日本人にとって、『がん』は、まだまだ絶望的なイメージがつきまとう病気なのだと思います。

実際、日本人の死因の1位は、昭和56年以降、ずっと

『がん』が1位

ですし、

年間40万人近くの方

が、『がん』でお亡くなりになっています。

最近は、著名人が自らの『がん』体験を、テレビやネットなどを通じて、一般に公表することが多くなっています。その中で、初めて告知を受けた時は、

『私死んじゃうの・・・?』

と思った、といったニュアンスのコメントを目にすることがあります。私は、自分自身の経験はありませんが、家族の

『がん』の告知

には、立ち会ったことがあります。

当時は『がん』のことなどまったく勉強していませんでしたし、自分や自分の身近なところで、『がん』になる人が出るとも思っていませんでしたので、告知を受けた時は、

一瞬、固まり

ました。そして、患者ではない私は、本来患者本人を支える立場であるのに、自分も絶望的な気分になったことを覚えています。

『がん』5年生存率

2020年4月15日(水)の新聞各紙に、

『がん』5年生存率 64.1%

という記事が出ていました。その前日に

国立がん研究センター

が、発表したものです。

2009年~2011年に、『がん』と診断された患者さんの5年後生存率ですが、4年前の調査(2006年~2008年)より、

2ポイント上昇

したそうです。

様々な要因があっての結果だと思いますが、国立がん研究センターでは、

・診断技術が向上し、より早く『がん』を見つけられるようになった
・患者により合った治療法の選択肢が出てきた
・負担の小さい手術方法ができた
・ピンポイントで放射線治療ができるようになった

といった、医療技術の向上

がん検診受診率の向上

という政策効果が合わさっての成果であると述べています。

『がん』は治る病気に

ちなみに、この5年生存率は、『がん』の種類や、性別によっても数値が大きく違っています。

例えば、今までのイメージどおり、り患してしまうと5年生存率が低い部位としては、

すい臓

が代表的で、5年生存率が男女とも

8%台

で、最も低い数値となっています。すい臓については、

早期発見

が難しいということが言われています。

一方、男性で今後り患者が増えていくと言われている

前立腺がん

の場合、5年生存率は

99.1%

ですし、女性でり患者が非常に多い

乳がん

の場合、

92.3%

と、5年経過後も、かなりの確率で生存しているというデータが出ています。

また、『がん』の進行度3段階に分けた場合の5年生存率は、

早期(『がん』が臓器や組織にとどまっている)

の場合、全体で

92.4%

であるのに対し、

中期(周辺へ広がっている)

であると、

58.1%

で、

離れた部位にも転移した段階

だと、

15.7%

に下がってしまいます。

つまり、『がん』が見つかって、治療を行う場合

早く見つければ、助かる確率が高くなる

ということが言えます。

これが、国のがん対策基本法で、

早期発見、早期治療

をかかげている根拠なのだと思います。

『がん』には、時間的猶予はある

近年『がん』でお亡くなりになられたで、

樹木希林さん

がいらっしゃいます(2018年)。非常に多くの方に愛された女優さんであったと思いますが、発表されている情報によると、あの方は乳がんでお亡くなりになりました。

お亡くなりになったのちに、本がたくさん出版されて、生前の樹木希林さんのお話がたくさん掲載されておりました。私も何冊か拝読いたしましたが、その中に印象に残ったものがありました。それは、

『がん』は亡くなるまでに準備ができる

といった意味合いのお話しでした。生前にこのような言葉を発することは、かなり人格が優れていないと難しいのかもしれませんが、この内容は私たちも覚えておいて損はないことだと思いました。

『がん』もたしかに発見されたときに

手遅れ

という話しもゼロではないと思いますが、心筋梗塞や脳卒中のように、一刻を争う病気でもないのだと思います。

ですから、仮になってしまったからと言って、その時点で

すべてがおしまい

というような、過度な心配をする必要はないのかと思います。

ただし、やはり

日本人の死因の1位

であり続けているという事実もありますから、

『がん』を知り

『がん』にならないように、

予防

に努めていくことを、合わせて行っておくことが大切なのだと思います。

敵を知り、己を知れば百戦して危うからず

孫氏の兵法にある言葉ですが、『がん』に関しても、敵(『がん』)を知って、正しく恐れる(予防に努める)ことが大切なのかもしれません。

⇩⇩⇩ 当マガジン(本連載)「なぜ『がん』に振り回される???」全体の目次はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?