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なぜ「確定『給付』型」から「確定『拠出』型」の流れ???

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アメリカにならった制度の導入

前回退職金制度に大きく2つの種類があることをお伝えし、わからない方は早急に会社で確認されることをお勧めしました。

⇩⇩⇩ 前回の投稿『確定給付?確定拠出?
あなたの退職金の種類は???』はこちら

その中で、実は今

「確定『給付』型」から「確定『拠出』型」へ

制度変更の流れになっています。ということをお伝えしました。

また、従業員さんのために福利厚生として、新規に退職金制度を設けようとした場合にも、様々な検討をしますが、

「確定『拠出』型」を選択

する企業が多いと思います。ここには企業の事情と国の政策的な意図があると思われます。確定『拠出』型は、平成14年1月から制度が導入されました。これはアメリカの制度をならって取り入れたのですが、逆に言うと、それより前には、退職金制度はたいてい「確定『給付』型」であったわけです。

なぜ変化の流れに???

なぜその流れができたのか?

「確定『給付』型」の場合、企業は従業員の将来の退職金支払いのために、規定に定められた一定の金額を、事業に使うお金とは分けられた、外部に積立をしています。その積立金額は、その方の職位級役職等の条件から変わってきます。

その分けたお金を退職金として支払いするまでの間、当然

運用

をして、増やしていきます。その際あらかじめ

一定の利回り(利息や運用益など)

が得られる前提で、積立額を計算しています。ただ実際の運用結果は、必ずしも予定通りにはいきません。ほぼ必ず

予定してた利回りとの差

が生じます。予定以上に増えたならばいいでしょう。ただ、逆の場合であった場合、

その時期に退職金を払う(普通は必ず誰かいますよね)

となったら、

支払うべき金額と準備(運用)してきた金額に差

が発生します。その足りない金額は

どこから埋め合わせすると思いますか?

当然企業の事業資金から埋め合わせします。

運用悪かったから勘弁してくれ!!

って会社に言われても従業員は困ってしまいますし、そうできないよう規定でしっかり定められています。

また、若い方はイメージが少ないかもしれませんが、

以前(昭和の好景気の時代)は金利が高かったため

預けて置いておけば、たくさん増えた

のですが、今は

ゼロ金利

などという言葉も聞くかもしれませんが、

ほとんど増えない

ため、その分、同じ2,000万円の退職金を払うために、企業が

積立なければいけない金額

が、昔と比べて大幅に増えています。これが、企業の経営に負担になってきます。特に体力の小さい会社ほど、その影響は大きくなってきますから、

やむを得ないが制度を変更しよう!!

という動きになっています。

どう変わったのか?

では、「確定『拠出』型」の制度にすると、

企業にはどんなメリットがあるのか?

お伝えしていきます。

以前からあった、「確定『給付』型」を丁寧にお伝えすると、

「確定された『給付金額』型」

ということになります。つまり簡単に言うと、

23歳で入社 ⇨ 40歳で課長 ⇨ 50歳で部長 ⇨ 60歳で退職

というキャリアであれば、

あなたの退職金は、2,000万円です!

と、規定で定められています。なので、景気がよかろうが悪かろうが、会社はそのタイミングで、

必ず2,000万円払わなければなりません。

一方の「確定『拠出』型」ですが、正確に読むと

「確定された『月々の拠出金額』型」 

ということで、もっと言うと

毎月会社は決められた額を積立します。それは約束しますので、あとは自分で運用を考えて、『給付金額』は、従業員各自の自己責任でヨロシク!!

という制度なわけです。あとの補填までは面倒見ませんという制度です。

いかがですか?

ずいぶん違いがあると感じるかもしれません。ただ、もし「確定『拠出』型」が導入されているのであれば、必ずそのルールになってますので、文句を言っても仕方ありません。

自分の将来のために考える

必要があります。

いい機会にしましょう!!!

ちなみにこの制度の移行には、

貯蓄から投資へ

を訴えている国(金融庁)の思惑も絡んでいると思います。制度を入れることで、日本国民が投資に対し正しい知識をつけ、国の年金に過度に期待しないようにしてもらいたいという思いがあると思います。

ただし、この制度を導入する場合、会社に従業員に対する

その方のレベルに応じた投資教育

を行う義務があります。この制度がある会社にお勤めの方は、会議室に集められて、運用会社の人から制度や投資に関する説明が行われているはずです。

ただ、

これが日本の特徴だな・・・

といつも思ってしまうのですが、この制度の浸透度ですが、

『仏』作って、『魂』込めず

状態になってしまっています。なんでもそうですが、

制度を導入したらOK!

ということが、日本では多いと思います。

もちろん、当然意識の高い方は、自分の老後のために、しっかり運用に対して考え、アクションを起こしています。

一方、

よくわからない・・・運用は怖い・・・

ということで、放置してしまっている人が、たくさんいらっしゃるのも事実です。

繰り返しになるかもしれませんが、

これはあなたの退職金

です。

ご自身の将来の安心のため、まずは確認することから始めてください。

そして、これを資産運用の第一歩ということで、前向きにとらえていただきたいと思います。

そして、なんらかの対応をした後は、半年に1回届く『運用レポート』で、成果を定期チェックするようにしましょう!!

いずれ、その運用に対するアドバイス的なこともお伝えできればと思います。

ちなみに以前、「確定『拠出』型」を放置したまま、会社を中途退職した時の問題について、以前投稿いたしました。ご参考まで。

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