文化伝承事始

1963年生まれ。ビートルズのデビュー年を起点に生きてきて、心の引き出しに貯めてきたモ…

文化伝承事始

1963年生まれ。ビートルズのデビュー年を起点に生きてきて、心の引き出しに貯めてきたモノコトを書いてみようと思います。ROCKと映画とテレビとマンガと文学で構成されている男です。

最近の記事

行間の文化史〜あしたのジョー2

誰もがヒーローになれる。唯一日なら・・ デビッド・ボウイはベルリンの壁を見つめるスタジオでこの曲(Heroes)を創り上げた。 「僕は王に、君は女王になれるんだ」と・・ 歴史上多くのロックが映画が漫画が「英雄」賛歌を作り上げてきた。 日本漫画絶対的アンセムである「あしたのジョー」は悲劇の英雄談として語られ続けている。 「真っ白な灰に燃え尽きたジョー」 僕はあしたのジョー漫画全巻と2つのTVシリーズDVD BOXも持っている。つまりあしたのジョーが大好きなのだ。コロナの世

    • 「レッド・ツェッペリンを静かに演奏することはできない」

      近所からの騒音通報に駆けつけた警察官に「音量を下げる必要がある」と言われたネイサン・ロック(40歳バンドマン)は「レッド・ツェッペリンを静かに演奏することはできない」と答えたという。 Facebookで見つけた記事。 レッド・ツェッペリンを 静かに演奏する ことはできない まるで聖書の一節のように、 僕は何度も反芻した。 無駄な言葉は一つとしてない。 レッド・ツェッペリンを聴いてきた全ての世代に、 何かを思い出させるフレーズ。 ネイサン・ロックさん 僕もレッド・ツェ

      • 文化伝承としてのパンク・ロック

        始まりは1977年。 中学2年の僕にSEX PISTOLSの『God Save The Queen』はどんな風に響いたのだろうか?思い出せない・・・・ 憶えているのはしょうもないことばかり。 小遣いを貯めて買ったデビューLP「勝手にしやがれ」のタスキのコピー『犯すのは君だ!」が恥ずかしくて親に見られないように隠してた。 扱いはエロ本と同じだった。 生ものとしてのpunk リアルなpunk 同時代のpunk 有効成分は? 賞味期限は? 結局punkは何だったんだろう?

        • 閉塞した時代の空気を入れ替える為に「窓」を開けよう〜佐野元春の40年と僕のメモ書き

          「つまらない大人にはなりたくない」 アルバイトを終えて夜の新宿の街に繰り出す。買ったばかりのWalkManから佐野元春の「ガラスのジェネレーション」が流れていた。自分の前にあらゆる窓が開かれていた1981年、18歳。 佐野元春と聞いて人は何をイメージするのだろうか? 世代によってそれは大きく異なるだろう。 青春=SOMEDAY 思春期=Visitors  社会人=カフェボヘミア 佐野元春自身の成長(老い)とのシンクロ。 10代の20代の30代の40代の50代の60代のSO

        行間の文化史〜あしたのジョー2

          コロナウイルスの世界で生きる     村上龍『ヒュウガ・ウイルス』を読みながら

          「全世界でヒュウガ・ウイルスが猛威を振るうそうです、 いずれニューヨークにも被害が及ぶのでしょうか。  わたしはこれから、圧倒的な危機感を エネルギーに変える作業を日常的にしてきたか、 を試されることになります。自信は全くありません、 多くの人が試されるのでしょう。」物語のラストでヒュウガ・ウイルスに感染したアメリカ人ジャーナリスト、キャサリン・コウリーはこう呟く。 「圧倒的な危機感」小説ではなく、現実にコロナウイルスが全世界で猛威を振るっている。テレビは毎日ヒステリックに

          コロナウイルスの世界で生きる     村上龍『ヒュウガ・ウイルス』を読みながら

          思い出し笑いができるのは 豊かな時間と記憶の 利息なんだなあ

          思い出し笑いができるのは 豊かな時間と記憶の 利息なんだなあ

          映画「ジョジョ・ラビット」君がステキであるように、リアルであるように

          ビートルズ「抱きしめたい」で始まり、デビッド・ボウイ「ヒーローズ」で終わるナチス時代ドイツの物語。 ヒトラーの熱狂(ビートルズ)と壊滅的敗戦(デビッド・ボウイ)の間で 凛とした強さを持つ美しき母、ヒトラーの幻影を抱えるジョジョ少年、匿われているユダヤ人少女、兵士や役人そして市民たちの生と死。 語るべきことはたくさんあるのだが・・・・ とにかくデビッド・ボウイ「ヒーローズ」がフェードインしてくるラストシーンが素晴らしすぎるのだ。ドイツが敗れて自分が自由になったと知ったユダ

          映画「ジョジョ・ラビット」君がステキであるように、リアルであるように

          映画パラサイトを観た。韓国の絶望的貧富格差をポン・ジュノ監督は世界に通用する物語にした。人間の根底にある欲望を一つずつ並べながら。豪雨の水は金持ちの住む高台から貧困エリアへと下って流れ続け逆流する。「半地下の臭い」を撒き散らした復讐の「無計画」なリアルが後味の悪い傑作を生んだ。

          映画パラサイトを観た。韓国の絶望的貧富格差をポン・ジュノ監督は世界に通用する物語にした。人間の根底にある欲望を一つずつ並べながら。豪雨の水は金持ちの住む高台から貧困エリアへと下って流れ続け逆流する。「半地下の臭い」を撒き散らした復讐の「無計画」なリアルが後味の悪い傑作を生んだ。

          マスクは買えなかったけど、素敵な記憶を拾った夜

          新型肺炎感染数が毎日増えていく。 誰かを疑ったり、妬んだりする土壌が育ちそうな空気を感じてしまう。 不自然に空いたドラックストアのマスク売り場を眺めながら、僕はさっきまで田園都市線で読んでいた村上春樹の短編小説の題名をぼんやり思い出していた。 「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」 とても長いタイトルのとても短い物語だ。最初に読んだのは1983年、20歳だった。なぜ今日読もうと思ったんだろう?その時ランダム再生されたiphoneから「少年ナ

          マスクは買えなかったけど、素敵な記憶を拾った夜

          文化伝承事始め 宣言

          『前向きなノスタルジー』と『ポジティブな思い出』。 矛盾している?いやそうじゃない。 流れ続ける時間の中で押し寄せる情報の波に対して、 大切なものだけをポケットに入れるための儀式を始めたい。 『偉大なるもの』を心の大事な引き出しに入れていこう。 「今ここで動け 揺さぶれ 言葉を振り切れ 今のど真ん中にいるために 正しいかどうかなどどうだっていい 感じるべきは楽しいかどうかだ」 <バガボンド32巻より>

          文化伝承事始め 宣言