従業員エンゲージメントをどのように計測すべきか
従業員エンゲージメント調査(いわゆる、ES調査)をどのように設計し、自社の従業員のエンゲージメントを測るかをまとめていきたいと思います。
従業員エンゲージメント調査のフレームワーク
「従業員エンゲージメント」とは、従業員が所属組織の成功に対して主体的に関与していきたいという心理的なロイヤリティ(帰属意識/貢献意欲)を有していること、です。
また、旧来型の「従業員満足」は、従業員個人が自分自身の仕事に満足しているかという一人称視点に着目しがちですが、「従業員エンゲージメント」は従業員が所属組織に対してどのように関わり合いたいか、そして、それは所属組織が目指しているものと合致しているかという双方向性に着目している点にポイントがあります。
よってJSPでは、「従業員が組織に求める要素」と「組織が従業員に求める要素」をそれぞれ規定し、従業員エンゲージメントを測定するフレームワークを開発しています。(上図)
具体的には「従業員が組織に求める要素」は、マズローの5段階欲求説をベースに、エンゲージメント調査に即した形での読み替えを行なっています。
生理的欲求:働く上での基本事項
安全欲求:業務遂行に必要な環境
社会的欲求:組織としての居心地
承認欲求:目標と評価、育成に関する制度と運用
自己実現欲求:仕事のやりがいと自己実現
そして、「組織が従業員に求める要素」は、従業員エンゲージ面を高める上で必要な3要素である理解・共感・行動となっていて、組織と従業員の関係のあるべき状態を規定していきます。ここでは回答者自身の心理状態を答えるのではなく、組織と従業員の関係がどのように映っているかを答えてもらうことになります。
エンゲージメントを測る個別項目の設定
では、エンゲージメントを測定するときの個別の質問項目はどう設定すべきでしょうか。
上図は、監査法人業界において実際に毎年利用している従業員エンゲージメント調査のフレームワークと個別質問項目です。
・働く上での基本事項:ワークスタイル、ワークライフバランス、働くことの安心・安定感、報酬水準、行事・福利厚生
・業務遂行に必要な環境:役割浸透度、職場環境、情報共有、仕事上のルールやツール、適切な人員配置
・組織としての居心地:理念への共感度、風通しの良さ、人間関係、チャレンジの機会、仲間の受入環境
・目標と評価、育成に関する制度と運用:ロールモデルの存在、目標設定の適切さ、評価方法・プロセス、フィードバックと処遇、教育・育成の機会
・仕事のやりがいと自己実現:仕事のやりがい、仕事に対するモチベーション、能力適性、成長実感、キャリアパス
・組織と従業員の関係:プロフェッショナリズムの追求、顧客志向の浸透、社会貢献意識の定着、ブランド向上にむけた活動、コンプライアンス遵守
働く上での基本事項〜仕事のやりがいと自己実現までの個別項目は、どのような会社でもある程度汎用的に使えますが、組織と従業員の関係の個別項目は、その会社次第なので、会社ごとに検討・具体化が必要です。
ここから、具体的に従業員エンゲージメント調査の質問文の作成に入っていくのですが、質問の仕方(言葉選びやニュアンス)によって回答結果のブレは当然でてきますので、どのような質問文にするかも大切です。
回答者に対して、バイアスをかけないように、かつ、質問の意図が正しく伝わる質問文にすべきでしょう。
従業員エンゲージメント調査の実施
従業員エンゲージメントの調査票の設計が完了したら、実際にアンケート調査を行いましょう。
今の時代は、WEBアンケートが楽ですし機能的なので、使い勝手がよさそうなセルフ型アンケートASPを選びましょう。
私は、クエスタント (QUESTANT)かサーベイモンキー(Survey Monkey)をお勧めしています。
実際に、エンゲージメント調査を行う上で、良く聞かれるのが「記名式」にするか「無記名式」にするか、です。
これは一長一短あるので、その会社の置かれた状況や考え方で決めれば良いのでどちらが正解というのはないのですが、私は基本的には「記名式」の方がよいと考えています。「記名式」ですと、回答に対して無責任にならないですし、離職リスクなども検知しやすいため、メリットが大きいです。
※この記事はJSPコラムの転載です。
# ジャンプスタートパートナーズの従業員エンゲージメント調査
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