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【投資メモ④】地道に稼ぐ:POと立会外分売について

 スミスです。普通の人です。5千円~20万円くらいのお金稼ぎが専門です。何千万とか何億とかは稼げないです。あまり夢がないです。そんな人の日記兼忘備録です。

スミスはなぜPO・立会外分売をするのか?――地道に利益をあげられる

 PO(公募増資・売出し)は、IPO(新規公開株)とは違います。POは、すでに上場している企業が、増資(新しい株式を発行し、資金を追加調達する)または売り出し(大株主の株式売却)を行うことです。後者の例としては、2017年9月に行われた日本郵政の例があります。この時は日本政府が7億3115万100株の売り出しを行いました。こんな量の売り出しを通常の取引時間中に行うと、買い手がつかず、正常な価格形成ができません。ですので、PO(あるい立会外分売)の仕組みがあるわけです。

 さて、増資、つまり新しく株式を発行する場合は、「株式の希釈化」といって、株式が増えた分だけ1枚当たりの株式の価値が下がることになり、企業価値が一定と仮定すれば理論的には株価は下落します。また、売り出しの場合も、大株主の固定株が流動株として一気に株式市場に流入するわけですから、需給バランスが崩れて短期的には売りが優勢になりがちです。

 増資や売り出しにはこのように株価の下落を伴う可能性が高いです。ですので、POや立会外分売では購入希望者にアドバンテージが与えられています。ディスカウント(割引)です。購入希望者は、POも立会外分売でも、発行日または決定日の終値から2%ほど引かれた値段で購入を申し込むことができます。購入希望者が多ければ抽選になります。

 例を挙げましょう。2018年7月、スミスは「ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人」のPOに、SMBC日興証券と東海東京証券から購入の申し込みをしました。ディスカウント率は2.5%~5%の中から選んで申し込みをするのですが、スミスは2.5%で申し込みました。
 申し込みの締め切りと発行価格の決定日は7/24~7/26の予定で、実際には7/24になりました(ある程度人気のあるPOでは、ふつう最初の日が決定日になります)。ディスカウント率は2.5%に決定した(ふつうは下限のディスカウント率で決まります)ので、2.5%以下のディスカウント率で申し込んだ人(今回なら2.5%で申し込んだ人だけ)が抽選に参加できます。
 抽選の結果、スミスは東海東京証券で当選し、1株の割り当てを受けることができました。購入手数料は無料です。このPOでは、実際の株式の受け渡しは8/2に行われたので、8/2の取引開始時から売却が可能になります。

 さて、発行決定日(7/24)の終値は165,100 円でした。この案件は少しややこしく、発行日から受渡日までに分配金の配当日をまたいだため、予想分配金分の4,032円がひかれた上で(配当などの権利確定日の翌日の株価は、理論的には配当分だけ下がるからです)2.5%を引いた価格、157,047 円で発行されることになりました。その後、受渡日(8/2)の初値は163,500 円になりました。受渡日に初値売りした場合の利益は+6,453 円でした。

 POや立会外分売は、最初からディスカウントされた価格で購入できる、つまりアドバンテージを持った状態で売買することができるので、普通の株取引より利益が出やすいです。もちろん、発行価格以上に値下がりした場合は赤字になります。けれども、一般的にはPOも立会外分売も利益が出やすいです。
 また、POも立会外分売も、IPOと同様、「はずれ」銘柄はある程度回避することができます。うまくいきやすいPO・立会外分売と、そうでないものがあるからです。

○勝ちやすい案件の特徴
・貸借銘柄(空売りができる)
・大型、企業規模に対して売り出しの比率が小さい(需給が悪化しにくい)
・取引量が多い(需給が悪化しにくい)
・一部上場などの目的がある(中長期的に株価上昇が期待される)

△負けやすい案件の特徴
・信用銘柄(空売りができない)
・小型、企業規模に対して売り出しの比率が大きい(需給が悪化しやすい)
・取引量が少ない(需給が悪化しやすい)
・大株主の単なる換金目的

※株価が下がることが分かっているのなら、売ればもうかります。ですので、空売りができる銘柄の場合、下落前に空売りして、受渡日に買い戻せば利益が出ると予想されます。ですので、空売りができる銘柄では「前もって」売りが入れられることが多いです。そしてその売りは受渡日に解消される(買いが入る)ので、受渡日までに下落しにくくなります。
 それならば自分で空売りすればいいのですが、逆日歩(空売り株不足時に発生する金利のようなもの)などの予測が難しいため、スミスはやっていません。空売りは誰でもできます。スミスは、誰でも参加できる儲け話には参戦しない主義です。POの購入は抽選なので、誰でも参加できるわけではありません(もちろん抽選自体は誰でも参加できますが)。
 なお、公募増資株取得(買い)後に空売りを入れて「売りと買いの両建て」の状態にし、実質的にポジションを解消する行為(つなぎ売り)は2011年以降、法的に禁止されています。

 極端な例では、2018年6月1日に行われた「清和中央ホールディングス」の立会外分売の場合、発行価格5,635円に対し、分売当日の初値は5,310円となりましたので、1口につき3万円を超える損失になります。しかしこの銘柄の場合、信用銘柄、小型、取引量が異常に少ない(「一週間」の売買が100株しかない)、大株主の換金目的など、負けやすい要素をすべて満たしていました。なおこの「清和中央ホールディングス」は、現在のところ2018年の分売ワースト案件として名を刻んでいます。

 さて、いろいろと述べましたが、結局のところ、POと立会外分売は銘柄を選べば、まあかなりの確率で勝つことができます。その理由はディスカウントです。元々の株主はディスカウントをして損をしますが、大量の株を処分する時には必然的に発生するコストですので、仕方ありません。POや立会外分売で儲かるのはこうした(まともな)背景があります。

POと立会外分売の特徴

 さて、これまではPOと立会外分売はだいたい同じものとして扱ってきました。それで間違ってはいないのですが、違いもあります。

・規模が大きい(PO)か小さい(立会外分売)か
→POの方がふつう規模が大きいです。

・購入日から売却可能日までの期間が長い(PO)か短い(立会外分売)か
→POは購入日から受渡日まで1週間ほどかかります。この間に市況の変化などで株価が急変する可能性があります(プラスにもマイナスにもなりえます)。立会外分売は、分売実施予定日の朝8時~8時30分くらいまで申し込みができ、8時50分~9時ころには受け渡しが行われます。非常に短いので、この間に市況が急変するということは起こりにくいです。また、朝8時以降は株式の板(予約されている注文)を見ることができるので、立会外分売では当日の板情報を確認してから申し込むことができます。短期的に確実に利益を上げるうえでは、POよりも立会外分売のほうが優れています

・増資が行われることがある(PO)か行われない(立会外分売)か
→POでは増資(新規株式の発行)が行われることがあります。増資は株式の希釈化という面では株価にマイナスですが、株価は期待で動くことがありますので、積極的な目的の増資はむしろ株価にプラスに働くこともあります。立会外分売では増資は行われません。ただ、立会外分売やPOが市場変更の要件を満たすために行われる場合、近いうちに市場変更が行われるという期待から、株価にプラスに働くことがあります。

・取り扱う証券会社が違う
POは、IPOと同じように幹事と配分数が事前に決められており、幹事になった証券会社で申し込みます。配分数は固定ですので、申込の倍率のことを考えた方が当たりやすくなります。
 一方立会外分売は、つねに決まった証券会社(SBI証券、マネックス証券、松井証券、ライブスター証券、楽天証券、丸三証券、野村證券)を通して申し込みます。証券会社は自社の申込数を取りまとめた後、申込数に従って株が各証券会社に比例配分されます。その後、各社で抽選が行われ、配分されます。ですので、申し込む証券会社による当選確率の差は(あまり※)ありません

※厳密には差があります。立会外分売では、なるべく①1口をなるべく多くの人に配分しようとする証券会社(マネックス証券と松井証券)と、②単純に申込数に比例して当選しやすくなる証券会社(それ以外)があります。
 たとえばA証券では1人が5口、45人が1口、合計50口申し込み、B証券では5人が10口、合計50口申し込んだとします。配分予定量が40口だったとすると、A証券もB証券も申込数は50口で同数ですので、それぞれの証券会社に20口ずつ株が割り振られます。
 A証券は①のタイプの証券会社だとすると、20口を46人で分け合うので、当選確率は「1人当たり約43%」です。一方B証券は②タイプの証券会社だったとすると、20口を50口で分け合うので、当選確率は「1口当たり40%」です。A証券に1人でも2口以上申し込む人がいれば、その分だけA証券では「一人当たり」当選確率が上がります。ただ、A証券では2口目以降は、よほど人気のない銘柄でなければ無駄になってしまいますが、B証券にはそれがありません。
 この注釈を真面目に読んでくれている人のために小声で言っておきますが、最適な戦略は、①まず松井証券とマネックス証券で1口だけ申し込み、②余った資金を手数料が安い証券会社に順番に上限いっぱいの口数で申し込む、というものになります。ちなみに手数料が安いのは、ダントツで楽天証券です。楽天証券は日計り取引ならば(つまり購入日中に売却した場合は)返済(売り)手数料が無料になり、また立会外分売はもともと購入手数料が無料ですので、手数料が一切かからないことになります。楽天証券は客寄せのためにそうしているのでしょうが、立会外分売だけに利用されれば、楽天証券はまちがいなく赤字です。

 以上のような理由から、スミスは立会外分売を優先して申し込み、遊休資金があるときはPOにも手を出す、ということをしています。どの銘柄に申し込むべきかについては、以下のサイトが参考になります。

 立会外分売やPOでは手数料が重要になります。手数料についてのまとめは、また別の機会にでも。手数料の一覧表は以下のサイトで見ることができます。

それでは、また。                               J. S.




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