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【飲食店】不動産情報の面積から客席数の算定方法

初めて手にする不動産情報のまとまった資料から単価と客席数から算定する「売り上げ」を算定したいと思いますよね。また、飲食店の出店を考え、スケルトンから厨房をつくるときに、厨房の大きさに悩みます。そうした客席数と厨房計画の初期計算法をまとめました。
これは飲食店の不動産を算定するときに使う簡易計算方法です。間取りによって実現の可不可があるため、実際に不動産契約する前に必ず専門家(インテリアデザイナー・設計事務所・飲食店工事に優れた工務店)に確認をしてください。


超ざっくり計算する方法!

出店を検討される際、客席を最大限確保したいのは利益計算をよくするための当然の思考です。しかし厨房が小さすぎると食事供給能力が低くなり、店舗として回りにくくなります。一方レシピによっては小さい厨房でも最大限の能力を発揮することができたりもします。こうした調整余力があるものの、一般的な店舗設計お作法をつかってざっくり計算するのがよいでしょう。

①【30坪以上の飲食店】面積は按分計算でざっくり算出!

「客席2/3の法則」 
客席と他部の面積比率はおよそ2:1で計算
をします。つまり全体が30坪(100㎡)であれば、20坪(66㎡)が客席面積となります。

とても簡単でしょう!例えば以下のレイアウトで考えてみましょう。

32坪程度の飲食店例

この図での客席面積は63.75㎡です。全体レイアウトとしてこのように按分計算することができます。実際に厨房面積が21.25㎡では足らない運営方針もありえます。そのときは待合スペースを減らすなどを考え、全体として計画を修正していきます。

客席面積=面積x2/3

一般的な飲食店の面積から算定する方法

②【小規模飲食店】客席面積は必要厨房を引く

一方で狭小飲食店を計画する場合は厨房側の下限値で設計し、最大限客席を設ける計画をします。
各デザイナー担当者によって考えは多少異なりますが、私の考える下限目安は以下となります。よりコンパクトな小規模飲食店を出店される場合は綿密にデザイナーや設計者と打合せをすることをお勧めします。

キッチンを先行して計画する例

キッチンの設備はある程度の規格が決まっており、必要設備リスト化できればレイアウト案を検討することができます。こうしたキッチンのレイアウトを検討することで、トイレやバックヤードを除き、残りの面積を客席用として考えることができます。しかし、この検討を行うには専門の知識が必要です。30坪以上の飲食店のような簡易的な面積按分はできないものでしょうか?

…できます。目安として厨房対その他の面積比率を1:2で算定しましょう。例えば図のような10坪(33㎡)の店舗であれば3.3坪(10.89㎡)をキッチンとして考えましょう。残りの6.6坪(22.78㎡)からトイレなどの面積を引くことで客席の面積を算定することができます。

客席面積=テナント面積 x 2/3−トイレなどの面積

小規模飲食店の場合

ただしキッチンの最小面積についても考えておきましょう。焼き鳥屋やカウンターバーなどの「ワンオペによる狭小飲食店」は1:1になる場合があります。以下リンクにその詳細をまとめます。


③客席数の目安

さて、客席面積が算定できました。次は客席数です。デザインや厨房計画によってレイアウトができる場合とできない場合がありますが、事業の検討をするための計算として以下の計算式を活用しましょう。

  • 密集型大衆飲食店 1.0~1.2席/㎡(6人~8人席を中心に計画、カウンター席を中心に計画)

  • 一般的な飲食店 0.6~0.8席/㎡(2~4人席を中心に計画)

  • ゆったりとした飲食店 0.3席/㎡(1人席を中心に計画)

客席を将棋やチェスのマス目のように合理的に配置したファストフード店やファミリーレストラン的なレイアウトも考えらますが、それは専用の新築などをもとにデザインされるロードサイド店などの考え方となります。
一般的にはテナントの形をもとに相違工夫しながらレイアウトしていきます。まずは上述の「一般的な飲食店」の按分で試算するといいでしょう。

先ほどのレイアウト例

このレイアウトでは44席あります。44席/63.75㎡とすると0.69席/㎡になります。一般的な飲食店 0.6~0.8席/㎡に合致する数字となります。座席レイアウトは客の予約状況によって変動することが多々あります。そうした変動余力をもつレイアウト設計も重要となります。図を見る限り2人から4人レイアウトを調整するようなことが可能なキャパシティをもっています。

一般店舗
客席数=(テナント面積 x 2/3) x 0.7

小規模店舗
客席数=(テナント面積 x 2/3−トイレなどの面積) x 0.7

とにかくやってみよう!

まとめ

詳細の計算はデザインと設計にて進めていきましょう。ただし、上記のような計算方法を知っていればざっくりと出店に向けて不動産情報から利回り計算することができます。
ここまで試算し、問題がなければ物件としては事業採算性の合格ラインを突破した規模になるかと思われます。ただし以下のときには気を付けましょう。

  • テナントの内法形状が理想的な矩形でない場合(台形平面の店舗等)

  • 倉庫・控室・更衣室やバックオフィスを広く要する場合

  • 動線にこだわりがある場合

  • 座席レイアウトが特殊な場合

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https://note.com/jshirai/m/m5641a5a5937c


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