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[BKK通信06] バンコク「ワイ」事情 ワイをされたら微笑する

ワイ

手を鼻の前で合わせてちょっと頭を下げると、タイの挨拶「ワイ」である。最初は何だか拝まれているようで落ち着かなかった。慣れてしまうとこれもいいもので、ワイをすると気持ちが穏やかになる。

タイの人が明るくにこやかなのはこのせいだろうか。ちなみに親指あごの高さに手を上げるのが標準で、それより上になると自分より目上、合わせた親指をにつけるとこれが最上級の挨拶となる。合わせた手を少し膨らませるのは、蓮の花を形取っているからだ。

ワイはあくまでも若年者が年長者や目上の者に対して行うので、先方が明白に年下だったり、店員だったりする場合はこちらからワイをするべきではないという。相手からワイをされたら微笑するか、軽いワイと会釈をして返す。

相手によってワイをいかに使い分けるかがむつかしいんだ。タイでは礼儀上非常に重要視されており、社会的地位が低い者、相手との関係(年齢・収入・学歴など)によってワイの作法も異なってくる。いかにすばやく相手との関係性を見抜くのが大事なのだ。子供たちは幼稚園の頃からワイのやり方をしっかりしつけられるという。

横座り

タイの正式な座り方は横座りである。正座からお尻を横にペタッーと落としたもの。なよっと座るあの座り方である。重心が不安定だから腰に無理が来る。足はしびれるわ腰は痛いわお腹の皮はねじれるわで、三重の苦しみである。正座もきついけどこれも大変なのよ。正座で苦しめられている日本の外人さん、ご苦労さまです。ご同情申し上げます。

横座り

会社が新しい事務所に引っ越すことになり、その事務所開きが吉日を選んで行なわれた。九人のお坊さん(ここでは九がラッキーナンバー)をお招きして、幹部社員一同お坊さんの前に敷き詰めたゴザにじかに座ることになった。当然横座りで合掌である。

仏像に巻きつけた一本の糸を全員のお坊さんが持ち、お経が読まれる。一人がリードし、二人、三人と唱和し、九人の合唱になる。高く低く、強く弱く、荘厳にして華麗。まったく見事である。

ここから苦行が始まった。その間、40分。いや、長かった。しかし、タイトスカート姿のわが女性社員は平気だったもんなあ。すんなり投げ出された足にちらちら目をやりつつも、しびれつつある足にわが身のいたらなさをしみじみ感じたのであった。

ちなみに長いお経のあと、お坊さんに早めのお昼ご飯を差し上げる。僧侶は戒律で一日二回午前中にしか食事ができないためだ。食事の後、会社の入りロ、社長室の扉の上におまじないを描いてもらい、金箔を貼る。花を浮かべた聖水で部屋を清めて儀式は終わり。これで会社も家内安全商売繁盛というわけだ。




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