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第10回 拒絶する子に愛情を伝えるには

こんにちは。
伊藤 幸弘です。
本日も僕の記事を読んでくださりありがとうございます。

子育ての悩みから、ひきこもりや非行など、子供の問題行動に悩んでいる親御さんに役立つ情報をお伝えしたいと思います。


前回のおさらい

◎最初から読む場合はコチラからどうぞ↓
第1回 なぜ子どもは荒れるのか?

◎佐々木正美先生との対談を最初から読む場合はコチラからどうぞ↓
第4回 本当は人一倍優しい子どもなのに

前回は2つの実話を紹介しました。

・拒食症になっていた女の子
・髪を金髪にして不登校になっていた女の子

2人とも親の愛情不足を常に感じていました。

どちらの問題も、解決したのは子どもが親の愛情を実感したときでした。
子どもの心は、親の愛情を感じて初めて安定するのです。

「ぜひあなたも、子どもに対して愛情を注ぐことを意識してみてください」
ということを前回の最後にお話させてもらいましたがいかがでしょうか。

その後、親子関係に何か変化は生まれましたか?
「一朝一夕にはいかない」
というのが、もしかしたらあなたの本音かもしれません。

信頼関係の回復はそれほど簡単なことではありません。

本日のテーマ:
「拒絶する子に愛情を伝えるには」

そこで本日は、また別の事例を紹介しながら、
「子どもに愛情を伝えたいのに拒絶されてばかりで全然うまくいかない」
というお悩みに答えるようなお話をさせてもらいます。

どんな瞬間に子どもは愛情を実感するのか?
具体的なお話を通じてぜひ理解を深めていただければと思います。
それでは本日も前回に引き続き、佐々木先生との対談をお送りします。


■伊藤:
結論から言えば
思春期の子もそうだけれど
子どもが望んでいるものはやっぱり愛情なんですよね。
とくに荒れている子どもは。

じゃ、荒れて問題行動を起こしている子を立ち直らせていくには
具体的にどういう愛情を与えたらいいんでしょうか。

●佐々木:
30年余り前にカナダに留学したとき
あるグループホームを訪ねたことがあるんです。
グループペアレンツがいてね
数人の子どもを絶えず自分の家に住まわせてケアしているわけ。

単純に親がいない子
非行少年や拒食症の少女など
いろいろな子どもたちをケアしているんだけれど
そこのグループペアレンツ、とくにお母さんが素晴らしかった。

とにかく、よく子どもたちを抱っこしていました。

大きな少年や少女を暇さえあれば抱っこしていた。
グループペアレンツですから実の親ではないのですが
そうやって親として
荒れている子どもたちを立ち直らせていましたよ。

こうしたことを本当は実のお母さんがしてあげるといいんですね。
けれど、どうしてもできないという時でも誰かが代行して
ある程度の成果をあげることはできるんです。

不十分ではあるけれども。

■伊藤:
日本では、よくおんぶをするけれど・・・

●佐々木:
抱っこもおんぶも同じですよ。
おんぶという発想は、我々日本人のほうが豊かにもっているけれどね。

■伊藤:
逆に、こっちからおんぶを要求するっていうのがいいんでしょうね。
そうすると子どもは喜ぶ。

●佐々木:
そのグループマザーはね
イスに寄りかかって
自分の膝の間に子どもを後ろ向きに座らせて
後ろから抱っこをしてあげていました。
これって
ちょうど大人が子どもにおぶさっているような格好になるでしょう?
大人がおんぶしてもらっているのと同じ。

その姿勢がいちばんいいんだって。
目が合わないから子どもが恥ずかしがらない。
照れが消えて、素直に抱っこされるのだそうですよ。

■伊藤:
確かに荒れた子ほど照れが強くなってくるような気がする。
だから面と向かって「抱っこ」なんて言わないでしょ?
そういう場合はどうすればいいんでしょうね。

●佐々木:
後ろから抱きしめてあげる。

■伊藤:
身体に触れる。

●佐々木:
そう、スキンシップ、愛撫をしてあげるということです。
これをセラピストがやる時の難しさはね
第三者からは時としてセクハラのように
見えることがあるってことなんです。
なかにはそういう不埒(ふらち)な奴がいるかもしれないけれど
でもスキンシップをしてあげるというのは本当に大事なんだよね。

これも30年前のことですが
カナダのバンクーバーでやっていたブラウンキャンプ
というものによく参加したんです。
ここは非行少年のためのキャンプで
チャイルド・ケアワーカーとかユース・ケアワーカーの人たちが
少年、少女を抱っこして哺乳瓶でミルクを飲ませてあげるんです。
スキンシップですよ。

最初は、どの子もみんな照れちゃうんだけれど
そのうちしがみつくようにして抱っこを求めてくる。
みんながそうしているから、照れが消えるんですね。

■伊藤:
照れという言葉でちょっと思い出したんですが
高校生を相手に講演をするでしょ?
みんな無表情なんだよね。
笑っていいところで誰も笑わないの。
ところがアンケートを読むと
「すごく感動した」
なんて書いてあるわけですよ。

●佐々木:
安心して表情に出せないんだね。

■伊藤:
そう。
僕は、これは照れじゃないかなと思うんですよ。
みんなが笑わないのに自分が笑ったらおかしいんじゃないか
と照れちゃう。
でも、それが無表情、無気力、無感動につながっていくのではないかという気もしています。

●佐々木:
うんうん。
それからね、もうひとつはうれしい時にうれしいと
伝えられなかったり
笑っていい時に笑えないというのは
生活の中で自由に感情を表現する練習をしていないからなんですね。
小さい頃から家族の対話とかコミュニケーションとかが少なかったことは
間違いないんです。
生い立ちの中で、笑ったり悲しんだり、怒ったりがすくなかった。
特に喜んだり、悲しんだりする経験が少ないんだよね。

■伊藤:
だから自分の感情を上手に伝えることができないと。
“超”荒れているような子どもって、とくにそうかもしれませんね。
そういう子たちを立ち直らせていこうとしたら、やっぱり・・・

●佐々木:
抱きしめてあげるのがいちばん。

■伊藤:
抱きしめることもできないような雰囲気がある時は、どうしたらいいかな。

●佐々木:
「本当なら、あなたを思いきり抱きしめてあげたいんだ」
って雰囲気で、どう接するかでしょうね。

■伊藤:
僕の場合
たとえば子どもたちが夜遊びして明け方なんかに帰ってくるでしょ
そういう時はまず
「何やってたんだ!」
って怒ります。

夜遊びに限らず
悪いことをして警察から戻ってきたり
何か悪さをやらかした時もそうだけれど、真っ先に怒る。
そのあと、フォローをするんですよ。

●佐々木:
うん、なるほど。

■伊藤:
こちらがなんで怒っているのかを説明する。
説明しながら怒る。
ただし、相手のことも認めてあげながらという部分が大事だと思うから、
「夜中の時間帯がどういうものか、お父さんは分からない。
けれど経験しているおまえなら
どんなに危険かお父さんよりもよくわかるだろう?
だから本当に心配なんだ。」
と伝えます。

そうやって子どもの自尊心を尊重しながらね
どれだけ自分が心配しているかを訴える。
互いに涙が出てくるんだけれどそこでもう子どもを抱きしめちゃうんです。

●佐々木:
うん。

■伊藤:
こんなふうに、スキンシップをとりながら
真剣に保護しながら干渉しながら接してあげれば
どんなに荒れた子も必ず立ち直っていけると思うんですよ。


本日の対談はここまでです。

本日は、どうしたら子どもが愛情を実感できるのか?ということをお伝えしました。

キーワードは“スキンシップ”です。
いかがでしょう?

あなたは普段、子どもとスキンシップをしていますか?
子どもが大きくなればなるほど
スキンシップをとることが無くなってしまうかもしれませんね。
特に中学生、高校生など思春期の子どもは
親に抱きしめられることを嫌がることが多いと思います。

“照れ”があるからです。

そんな時は無理に抱きしめようとしても逆効果ですよね。
ですから対談の最後にあったようにお互いが涙を流し合っているような
特別なときに抱きしめる
というコミュニケーションもあります。

心の底から子どもに愛情を伝えようとするとき
向き合おうとするとき
子どもだって愛情を感じて
ときには感極まって涙を流すこともあるはずです。

今まで
「自分のことなんか愛してくれていない」
と思っていた子どもが親の愛を感じた瞬間に涙腺が崩壊してしまう瞬間を
私も何度も見てきています。

そんなときスッと抱きしめてあげてください。
心の距離もグッと縮まるはずです。

次回は、スキンシップに加えてもう1つ。
ある重要なことをお伝えします。

実は、本当は親が子供に言わなければいけないのに言えていない
ある一言があります。
これを言えるだけで親子の関係は必ず変わる
そう言っても過言ではない一言です。

何か分かりますか?
言えて当たり前なのに
そして、もしかしたら他の人に対しては普段言えているのに
なぜか多くの親が子どもには言えてない一言です。

ぜひ考えて頂き
次回のコラムで答え合わせをして頂ければと思います。

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コメントはお気軽にしてください。

それでは本日も最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。
1日も早く親子関係が良好なものに改善することを心から願っています。


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