マガジンのカバー画像

土木学会『論説・オピニオン』

93
土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
運営しているクリエイター

#インフラ整備

土木のビッグピクチャーに寄せて

水谷 誠 論説委員 (一社)日本建設業連合会 土木学会は2022年6月6日、「Beyondコロナの日本再生と土木のビッグピクチャー[提言]」を発表した。本提言は、厳しさを増している今日の日本の危機に立ち向かうため、土木学会100年ビジョンを踏まえ、今後土木が実現すべき未来像を全体俯瞰図として示したものであり、筆者も委員として策定に加わらせていただいた。 本提言には、二つの特徴がある。一つ目は、「ありたい未来の姿」として夢と希望の持てる社会を構想し、その姿に如何に近づけるか

着実なインフラ整備・大阪港夢洲の場合

徳平隆之 論説委員 阪神国際港湾株式会社 大阪・関西では2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)やその後の地域開発を見据えたインフラ整備が本格化しており、今年度中には、万博用地の埋立・盛土が終了し、来年からはいよいよ万博関連工事が始まります。さらに、増大する自動車交通に対応するための夢舞大橋の6車線化拡幅工事も今年度に完了するとともに、大阪メトロ中央線の延伸となる臨港鉄道・北港テクノポート線の工事なども本格化しています。 また、これら夢洲周辺の開発に加え、関西広域での

2040年-2050年のインフラ整備 ー「塗り絵の世界」から「白地のキャンバスに絵を描く世界」へのパラダイムシフトー

大津 宏康 論説委員 松江工業高等専門学校  インフラ整備は、マスタープラン策定後から供用に至るまでに長時間を要する。例えば、日本におけるインフラ整備の根幹をなす道路ネットワーク整備は、主に1988(昭和63)年に策定された第四次全国総合開発計画に基づき事業が進められてきた。それから30数年経過した現在では、いわゆるミッシングリンクと呼ばれる未整備区間が存在しているものの、かなり高い整備水準に到達している。また、海外の事例としてバンコク地下鉄建設事業を例に挙げると、マスター