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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2024年3月の記事一覧

ポルトランドセメントの200年とこれから

小林孝一 論説委員会幹事長 岐阜大学・教授 何の断りもなく「セメント」と言う場合には、ポルトランドセメント(Portland cement)のことを指すことも多いが、2024年はイングランドのLeedsのJoseph Aspdin(ジョセフ・アスプディン)によって出願されたポルトランドセメントの特許が成立して200周年の節目に当たる。彼のセメントは現在のポルトランドセメントとは大幅に異なるものではあるが、その原型と製法を開発したことは賞賛されて然るべきであろう。我々の快適で

科学映像と土木

久米川 正好 依頼論説 明海大学 名誉教授 NPO法人科学映画館を支える会 理事長 私が骨の研究を始めたのは、48歳の時だった。1980年代、細胞レベルのメカニズムが不明な時代に骨の科学映画を撮っていた小林米作氏が、私を訪ねて来られたことから研究生活が大きく動いた。「科学映画の父」といわれた小林氏が、熱意をもって顕微鏡下の撮影を行った映画『The BONE』は、骨の形成を鮮明に示した作品で、国内外の学会で大きな反響があり、続編はメディキナーレ国際医学科学映画祭秀作賞・優秀撮