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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2023年2月の記事一覧

ITツールの活用が求められる建設コンサルタントの人材育成

上村俊英 論説委員 (株)建設技術研究所 多様な働き方への要望の高まりやICTの活用により、OJTが質・量的に減少する傾向にある。そのため、これまで先輩や同僚と同じ実空間で自然的に共有できていた情報やノウハウを、自ら求めていく必要がある。求める情報のうち土木技術に関する内容は企業や自力での対応が比較的容易だが、ITの活用を早期に広げるには、技術者の学びへの動機付けと、指南してくれる相談役の存在が有効ではないかと感じている。以下に、私見を述べる。 多様な働き方への取組が新

環境に配慮した気候変動の新たな緩和策に向けて

中山 恵介 論説委員 神戸大学 気候変動に起因すると推測される豪雨、豪雪などに伴う自然災害が多発している。その結果、防災への意識が高まっており、土木工学に関わる多くの研究者および実務者がその対応、特に適応策の提案・実施に取り組んでいる。近年の頻発する洪水氾濫、高潮および津波被害等に対して、このような適応策の提案および実施は疑いようのない大切な取り組みである。一方で、このように防災強化および災害適応への関心が高まっている中、土木工学に関わる者として、たとえ効果が現れるまでに時