マガジンのカバー画像

土木学会『論説・オピニオン』

93
土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

2050年に向けて、長持ちする土木構造物を建設する意義を考える

岩城 一郎 論説委員 日本大学 教授 総務省によると、2050年におけるわが国の人口は1億人にまで減少するとされている。労働生産人口は約5000万人となり、65歳以上の高齢者人口は4000万人近くに上るとのことである。また、地震調査研究推進本部地震調査委員会では、南海トラフ地震について、30年以内の発生確率が70~80%、首都直下型地震について、30年以内の発生確率が70%程度(いずれも2020年1月24日時点)と予測している。 さらに、2020年10月に菅義偉元総理大臣

建設材料におけるGXとDX

石田哲也 論説委員 東京大学 地球上で水の次に使用量が多い資源はコンクリートと言われている。構成材料であるセメント、骨材、水は、地球上のどこでも入手が容易であることが理由の一つである。一方で、カーボンニュートラルに大きく舵を切った昨今の流れから、セメント製造由来のCO2排出量を減らすことが強く求められている。また、自然の浸食作用により生み出される砂の量よりも、都市やインフラ建設のための需要量が増大し、砂の枯渇が問題になっているという報道も耳にする。限りある資源を有効に使用し