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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重… もっと読む
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2022年12月の記事一覧

越境しあうインフラガバナンスへ向けて

多々納 裕一 論説委員 京都大学 少子高齢化に伴う労働人口の減少は、インフラ部門においても人材不足を招きつつある。一方、情報通信技術やIoTの発達により、仕事の仕方そのものを見直すインフラDXの流れも進みつつある。人材が減少してくれば、従来に比べて少人数でより広い範囲の対象を管理することが必要となる。これをIoTの力を借りて達成しようというわけである。 このような管理の対象は、インフラ管理の個別領域の中での対象領域の広域化・広範化という形で表れてくることになる。市区町村

健全な水循環・水環境に向けて

古米 弘明 論説委員会委員長 中央大学研究開発機構 健全な水循環の確保は、国土保全や水資源・水利用において省庁を超えた重要な施策課題である。その施策検討を横断的に始めるきっかけは、第5次全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」の閣議決定(1998年3月)であろう。 そのなかで、流域圏における健全な水循環の保全、再生や国土の管理水準の向上に向けて、横断的な組織を軸として地域間や行政機関相互の連携を図ること、対策を充実することが謳われた。そして、1998年8月に設