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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

東日本大震災と技術者~後世へ伝えていくことと土木の役割

島村 亜紀子 論説委員会 幹事 前田建設工業株式会社 経営革新部付 主査 東日本大震災が発生した2011年3月11日、最初はなかなか情報が入って来なかったが、徐々に入り始めた映像の中では、「土木がつくったもの」がことごとく津波の破壊力に負けてしまった様子が映し出され始めた。その現状を技術者として自らの目でみなければならないと被災地へ向かった。 見渡すばかりに広がるがれきの山に、いったいどれだけの年月をかければ片付けることができるのだろうかと、どうして私たちの造ったものが無

あらためて復旧と復興を考える

淺見郁樹 論説委員 東日本旅客鉄道株式会社 常務執行役員 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は巨大津波を伴い、尊い命をあまた奪うなど沿岸各地に未曽有の被害をもたらしたほか、福島第一原発に深刻な事故を生ぜしめた。JR東日本の鉄道路線も7線区、延べ約400kmが長期間の不通を余儀なくされた。 あの時から9年余の時を経て、2020年3月14日に常磐線が全線で運転を再開し、被災した全線区を運行再開することができた。多くの方々に並々ならぬご理解ご支援ご協力をいただい