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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2020年11月の記事一覧

山岳トンネル工事における女性技能者活躍の可能性

阿部 友美 論説委員 株式会社奥村組 東北支店土木部 女性の坑内労働は、1947年に制定された労働基準法で全面禁止となったが、1985年の同法改正で、医療や取材、高度の自然科学研究業務について、臨時的な入坑が認められるようになり、2006年には、技術上の管理業務および指導監督の業務について、就業制限の範囲から除外された。こうした法改正の経緯について、さほどの知識も持っていなかった私が、2013年、山岳トンネル工事の現場に配属されることとなる。これまで現場監督としてトンネル工

公平な負担という理念と道路利用のDX

三浦 真紀 論説委員 (公社)日本道路協会 舗装委員長 費用負担を再考する移動に要する費用はどのように負担されるべきなのか、この稿は、その一考察である。人の移動に要する費用は、鉄道がそうであるように多くの場合、移動する者が料金を支払って負担している。ただし、道路は別である。一般の道路は無料で利用できる。しかし、無料だからと言って建設・維持費がかからないという訳ではない。それらは誰かが負担しなければならないが、誰が負担すべきなのか。道路特定財源制度が廃止されて10年以上経つが