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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2020年9月の記事一覧

超高齢化時代の社会資本の在り方

髙橋 知道 論説委員 NEXCO東日本取締役兼管理事業本部長  日本ではWHOが「高齢者」と定義する65歳以上の人口比率が28%を超えた。2位のイタリアが23%、米国16%強なので群を抜いて高い。2040年には35%に達する見込みで、世界に先駆けて超高齢者時代を迎える。このような社会では高齢者が可能な限り健康的に社会・経済活動に参加し、「支えられる側」ではなく少なくとも「自立」していくことが求められる。また、私生活においても生き甲斐を持って豊かな時間をすごせることが重要であ

2040年-2050年のインフラ整備 ー「塗り絵の世界」から「白地のキャンバスに絵を描く世界」へのパラダイムシフトー

大津 宏康 論説委員 松江工業高等専門学校  インフラ整備は、マスタープラン策定後から供用に至るまでに長時間を要する。例えば、日本におけるインフラ整備の根幹をなす道路ネットワーク整備は、主に1988(昭和63)年に策定された第四次全国総合開発計画に基づき事業が進められてきた。それから30数年経過した現在では、いわゆるミッシングリンクと呼ばれる未整備区間が存在しているものの、かなり高い整備水準に到達している。また、海外の事例としてバンコク地下鉄建設事業を例に挙げると、マスター