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オードリー若林さんの魅力を語らせて欲しい

『オードリーの若林さんは、少年マンガの主人公なのだ』

私がオードリーの若林さん好きになった理由を考えてみると、この結論に至ります。

私がどれくらい好きかというと…(熱狂的なファンには絶対劣るのですが…)

・若林さんと南海キャンディーズの山里亮太さんのユニットライブ「さよなら たりないふたり」を見るためにHuluを契約
・noteにある若林さんの有料マガジンを購買
・人生で1度も「エッセイ本」を買ったことがなかった私が初めて買ったのが若林さんのエッセイだった

ってくらいです。逆に分かりづらいですかね笑

世の中的にはすっかり売れているイメージかもしれませんが、他の芸能人とは違った魅力があります。

若林さんの魅力をまだ知らない方にぜひ知ってほしい!

すでに魅力を知ってる人と魅力について語り合いたい!

そんな思いで「なぜ私がこんなに若林さんに惹かれてしまったのか」を語ったこのnoteを書き始めました。

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最初に若林さんが好きになったきっかけは、テレビ東京の番組「あちこちオードリー」でした。

これはオードリーの2人がゲストをお呼びして、仕事観や人生観について深ぼって聞いていくトーク番組です。

事前アンケートや打ち合わせなしでいきなりゲストの方と撮影の現場で話すスタイルが特徴で、「これを話さなきゃいけない」といった縛りがないため、ゲストの方ものびのびとトークをするので、他の番組ではなかなか出てこないエピソードが飛び出してきます。

その時に若林さんがゲストにいろんな角度から質問をするのですが、それが番組だからしょうがなく聞いているのではなく「若林さんは心の底から聞きたいんだろうな」と伝わってくるんです。

例えば「自分はMCの時に、ゲストにナメられるのが悩みなんですが、お二人はどうですか?」と、芸能人にとってリアルな疑問を直球で投げかける。

芸能人がこんなにも悩んでいる、そして他のゲストも同じように悩んでいる、その人間味がたまらなく好きで、初回から欠かさず見ている番組です。

次に気になったのは、ラジオ番組ながら武道館に1万人以上を動員したライブ「オードリーのオールナイトニッポン 10周年ライブ」です。

もとは、毎年楽しみにしているテレビ番組の1つ「爆笑問題の検索ちゃん ネタ祭り」で披露されたオードリーの漫才があんまりにも面白くて、どこで披露してたネタなんだろうと探してたら行き着きました。

その漫才は、オードリーの発明した「ズレ漫才」と、2人から滲み出るキャラクター、歳を経て熟成した漫才スキルが相まって、とんでもない高みに到達していたように素人ながら感じました。

ネタを書いているクリエイターとしての若林さんに惹かれてしまったのです。


そして若林さんへの注目を決定づけたのは「さよなら たりないふたり」です。

2012年に深夜でやっていた番組「たりないふたり」が元になっていて、番組自体は南海キャンディース山里亮太さんとオードリー若林さんの2人で漫才を作って披露する、といった内容です。

人見知りで社交性・恋愛・社会性の”たりない”ふたりが、コンプレックスを生かして漫才を作り上げるのですが、その内容に強い共感が集まり、ファンが多くいました。

番組自体は2014年に終わっていたのですが、「さよなら たりないふたり」として復活ライブを2019年の11月に行っていたのです。

前提を言うと「たりないふたり」で実施する漫才において、ボケ&主導権は若林さんが取り、山里さんがツッコんでいくスタイルに”今は”なっています。

ただ山里さんには「蒼井優さんとの結婚」という強いテーマがある状態でライブに臨んだので、それをどう漫才に生かしていくのか、数年ぶりの漫才でどう若林さんがイジるのかに注目が集まっていました。

内容はHuluで配信されているのですが、この時の若林さんは「狂って」ました。

ライブ中に漫才の内容をすり合わせ、良いタイミングで壇上にあるボタンを押し、衣装に着替えて漫才がスタートするシステムになっていたのですが、若林さんはここで、想定外の行動をとります。

なんと漫才の内容をほぼすり合わせず、山里さんが制止するなか笑顔でボタンに近づき、押してしまったのです。

何の準備もなく漫才がスタートすると決まり、高笑いをする若林さん。

震え上がる山里さん。

最高に「狂った」若林さんがそこにはいました。

・・・そして漫才がスタート。

しかし実際に始まってみると、圧倒的なクオリティの漫才が披露されていくのです。

生々しい2人の感情がぶつかり、笑いへと昇華していく様は圧巻の一言。

蒼井優の結婚をスカし、イジり、笑いを生み出していく。

時々「あ、伏線張らないと終われないなぁ」と、漫才を「演じる」2人が「作る」2人に成り代わってメタ視点の笑いを生み出す。

終盤に差しかかり、おそらく誰しもが刺さった「山里さんの結婚と芸風」についてのくだりがもう胸熱で。

もともと山里さんは「ワイプの技術を偉そうに話す女性芸能人」や「ゴルフに行くモデル」に対する負の感情を言葉巧みに投げつけて笑いを取っていました。

しかし若林正恭は(またしても「狂った」笑顔で)こう突きつけます。

「ライオンがウサギに噛み付いて、果たして誰が笑うかねぇ?」

山里さんは、今や10本以上のレギュラーを抱え、MCとしての地位も確立しつつある「売れっ子」です。

しかも男性であれば誰しもが憧れるであろう蒼井優さんと結婚。

いわゆる「スペック」で比較したら”ライオン”と化した山里さんと比較して「ワイプの技術を偉そうに喋る女性芸能人」や「ゴルフに行くモデル」は、芸能人としては明らかに小物。

獣で言えば”ウサギ”に噛みつく”ライオン”の様子は、さながら弱い者いじめにもなりえます。

それをお客さんは求めているのか?

確実に芯を食った指摘に、山里さんの顔がみるみるうちに真顔になっていきます。

そこからの山里さんの語りは見ものなのでHuluで是非とも見ていただきたいのですが、この時に若林さんの観察力や俯瞰力に度肝を抜かれました。

そして山里さんの語りの後に若林さんは言います。

「結婚、おめでとう!」「俺は初めて、人の結婚に対しておめでとうと心から思えたよ」

このライブの10日後、若林さんは結婚。その事実がなんともドラマチックなのです。

もはやお笑いライブを超えた、ドキュメンタリーとしての迫力すらも纏ったこの「さよなら たりないふたり」は、2時間ほどのライブですが3周してみるほどお気に入りコンテンツになりました。

こんな流れで、若林さんのことが気になってしかたなくなったのです。

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そんなさなか、若林さんが2016年に発売した旅行記「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」が文庫本になり、またnote内での投稿企画「読書の秋2020」の対象作品として選ばれているではないですか!

普段の私はビジネス本以外をほとんど読まず、ましてや旅行記なんて20年以上前に読んだきりです(前に読んだのはおそらく学校の読書感想文に選ばれていたので親に買ってもらった「ドクトルマンボウ航海記」)。

ただ、これだけ私がハマってる芸人さんの旅行記とあらば、読まないわけにもいきません。

そもそも、私はnoteで若林さんが有料マガジンをやっているのですが、いつも更新を楽しみにしてるんですよね。

なんか文章に魂がこもってるというか、ありのまま感がたまらなく好きで。

それなりに長めのnoteがアップされてますが、いつもあっという間に読んでしまう。

そんな若林さんの文章が詰まりに詰まった本なのであるから、読まないわけにはいきません。

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旅行記の中で大半を占めているのは、若林さんがキューバで過ごした5日間についてです。

キューバは社会主義国であり、日本とは異なるルールで動いています。

なぜ若林さんがキューバに行ったか。

それは日本の「新自由主義」に嫌気がさして、異なるルールで動いている国はどうなっているのか、肌で感じたかったから。

社会的市場経済に対して個人の自由や市場原理を再評価し、政府による個人や市場への介入は最低限とすべきと提唱する。1970年以降の日本では主にこの意味で使用される場合が多い。
(参照:Wikipedia「新自由主義」)

本を読み終えて私は、今のオードリー若林さんの始まりを描いた、いわば「エピソード0」なのだと捉えました。

noteの冒頭で私は「オードリーの若林さんは、少年マンガの主人公なのだ」と書きましたが、その理由は若林さんは常に大いなるものに抗いながら成長する存在だからです。

「あちこちオードリー」で顕著なのですが、若林さんは番組でMCをやることも多く、テレビのしきたりやルールと真正面からぶつかってるからこそ常に悩んでいて、だからこそ深くて本質を突いた質問をゲストにぶつけていて、番組が面白くなっています。

「たりないふたり」も、元はと言えば世の中の空気や当たり前に抗う山里さんと若林さんが共鳴して生まれた漫才が面白さの源泉です。

ただ、冒頭で取り上げた「さよなら たりないふたり」では、若林さんが世の中の当たり前をかなり受け入れた様子が見て取れます。

そして、当たり前にまだ抗い続ける発言をくり返す山里さんに「もっと大人になれよ」と諭す場面が登場するのです。

そう、若林さんは確実に成長している。

そして今回読んだ本「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」は、成長のきっかけが描かれている、私は読み終えてそう思えたんです。

キューバに行く前の気持ちを、若林さんは本の中でこう表現しています。(※以下、引用はすべて「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」から)

ぼくは今から5日間だけ、灰色の街と無関係になる。

しかし帰ってくる飛行機で気づきます。

そうか、キューバに行ったのではなく、 東京に色を与えに行ったのか。

5日間で若林さんは成長している。

なぜ若林さんが成長したのかは本をぜひ読んでいただきたいですが、読み終えて「やっぱり若林さん最高だな」と、恍惚のため息とともに勇気が湧いてきました。

若林さんは日本のヒップホップやラップが大好きで、ご自身でも時々ラップを披露されてます。

僕はヒップホップについてど素人ですが、精神性として「大いなるものに抗う」姿勢を痛烈に感じるし、それが若林さんにも重なり、だからこそ若林さんはヒップホップに共鳴しているんじゃないかなと考えています。

そして今をときめく日本のヒップホップユニットであるCreepy Nutsはそんな若林さんと山里さんの番組に共鳴して、番組名そのままのアルバム「たりないふたり」を世に生み出すのです。

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」の最後に載っている解説は、Creepy NutsのDJ松永さんが書いていて、さながらラブレターのような内容は、見ていて胸が締め付けられます。

2016年、アルバム「たりないふたり」はリリースされました。俺が音楽だけで生活が出来るようになったのは、そこからです。
俺は誓いました。あなたのように生々しく生きていこうと。自分の為に。ただそれだけ。どんな形であれ、それが回り回って結果的に誰かを救うことがあるかもしれない。誰かの為ではないことが、誰かの為になることがある。俺はあなたから、そう教わりました。

もしかしたら若林さんは、あくまで若林さん自身のために大いなるものへ抗っているのかもしれませんが、その様子に多くの人が共感し、勇気づけている。

若林さんは現在進行形でリアルな物語を生きる主人公で、この生々しい物語が私はたまらなく好きなのだ。

本を読んで再確認できました。

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「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」はたくさんの人にぜひ読んでみてほしい……!

他にもモンゴルやアイスランドで成長する若林さんも読めます。

ついでに、今TVerで誰でも無料で見られる「たりないふたり 春夏秋冬 秋」が公開されているのですが、まさに若林さんの成長(に抗う山里さん)が見られるので、必見です。

このnoteで若林さんのことを好きな人が少しでも増え、若林さん好きの熱量が高まることを願っています。

だいたいスターバックスで、あえてホットティーを飲みながらnoteを書いているので、ホットティー1杯くらいのサポートを頂けたら、こんなにうれしいことはありません。