1年働いてわかった、ライブ配信市場が盛り上がる3つの秘密
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1年働いてわかった、ライブ配信市場が盛り上がる3つの秘密

坂口淳一@ライバー事務所PRIME

2021年7月1日で、現在働いているライバー事務所「PRIME」に入社してちょうど1年が経ちました。

※ライバー:ライブ配信をする方の総称

実は入社当時、私は日本でライブ配信市場に可能性を感じてはいたものの、成長し続けるのか疑問を持ちながら働いていたんですね。

入社前にライブ配信市場を調べたとき、中国で恐ろしいほどの市場規模になっているのは知っていました。

2019年中国国内ライブコマース市場の規模は、4338億元(約7兆円)、2020年には9600億元強(15兆円強)になるといわれている。2020年3月時点での利用者は5億5982万人に達し、中国のインターネット利用者の62.0%を占めている。
引用:DIGIDAY

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(引用:拡大する中国のライブコマース市場

ただ、中国と同じことが果たして日本で起こるのだろうか?ライブ配信は日本で受け入れられるのだろうか?と心配していた時期があったんです。

しかし1年働いて解像度が上がり、今では「ライブ配信市場は伸びる」と確信しています。

一方、知り合いにライブ配信業界にいると説明すると「最近、広告多いよねー!」「なんか伸びてるよねー!」とポジティブな反応をもらいつつも、なぜ伸びるのかについてはあまり良くわかっていない、まさに1年前の私のような人がまだまだ多いことを痛感する日々。

こんなにライブ配信業界は面白いし可能性に満ち溢れているのに、伝わってないのがくやしい…!!くやしいです!!!

というわけで、1年前の自分に伝えるつもりで、ライブ配信市場が伸びていくと確信できる3つの秘密をお伝えしたいと思います。

前提:ライブ配信サービスごとの違い

「ライブ配信サービス」と言っても、多様なサービスが存在しています。

それらを「ライブ配信サービス」と一括りにするのは非常に違和感がありまして、秘密を明かす前にライブ配信サービスごとの違いを最初に説明させてください。

まず違いを分かりやすく整理するために、2つの「軸」をご紹介します。

※あくまでこのnote用の分類で、業界で一般的に言われているものではありませんので、悪しからず!

▼ライブ配信は「コンテンツ型」と「コミュニティ型」がある(軸1)

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ライバーになった方にお話を伺うと「ライブ配信は配信中に面白いことやスゴイことをしなきゃいけない…!!」と思っているかたが多いです。

実際、YoutubeやInstagramはコンテンツ力のある方が配信する傾向が強い(例:ひろゆきさん、Daigoさん、有名芸能人、インスタグラマー等)ですし、「ライブ配信といえば?」と聞いて思いつきやすいサービスもこの2つが多いので、そう思ってしまうのは仕方がないかとは思います。

しかし、ライブ配信サービスを広く見ると、コンテンツを提供するような配信とは別に、ライバーさんとリスナーさんの相互コミュニケーションをメインとした配信も多いです。

配信内のリスナーさんのコメントをほぼ全てライバーさんが読み、逆にライバーさんが質問してリスナーさんが答えるといったやり取りがメインになり、自然と配信の中で会話が生まれ、コミュニティができていきます。

こういったライブ配信サービスを「コミュニティ型」と分類しています。

特にPocochaや17Liveに代表されるようなライブ配信サービスは、コミュニティ型の傾向が強いです。

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(引用:Pococha Apps Store

もちろん「このライブ配信サービスはコミュニティ型しかない!」と極端なものでもなく、あくまでその傾向が強い、といった話です。

▼ライブ配信は「ステージ型」と「ネットワーク型」がある(軸2)

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ライバーとリスナーの関係性でも2つに分類ができて、それぞれ「ステージ型」と「ネットワーク型」と呼んでいます。

「ステージ型」は、1人のライバーのコンテンツを多くのリスナー(数十〜数万)で見るタイプの配信です。

いっぽう「ネットワーク型」は、ライバーとリスナーだけではなく、リスナーとリスナー同士で関係性を作って交流していくような配信で、同時に配信に参加するリスナー数も1名〜すごく多くても数百名程度と、ピラミッド型に比べて少ないです。

この分類も「このライブ配信サービスはステージ型しかない!」というほど極端ではないのですが、ステージ型の配信が多いサービス、ネットワーク型の配信が多いサービス、と傾向が分かれます。

▼ライブ配信サービスを分類してみると・・・?

この2つの軸で分類をしてみると、下記の図のようになります。

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「コンテンツ型xステージ型」としてはやはりYoutubeが圧倒的です。同時接続数も数十万人になることもあるほど。

「コミュニティ型xネットワーク型」ではDeNAさんのPocochaが強いです。 アプリ内に「ファミリー機能」というグループチャット機能もあって、配信に来ている人同士の交流が活発になるような仕組みがあり、ネットワーク型になりやすくなっています。

「コンテンツ型xネットワーク型」は、ゲーム系のライブ配信サービスである「Mirrativ」が分かりやすいです。ゲームをしている様子を流すのですが、友達と一緒にゲームをするような感覚で、リスナーと一緒にゲームをすることも多く、その様子をみんなで見るという意味で「コンテンツ型xネットワーク型」にできるかと思います。

以上の分類を前提としてお話していきます。

ちなみに私はPocochaのライバーさんに特化してマネジメントをしているのですが、ライブ配信サービスの中でもPocochaも含まれる「コミュニティ型xネットワーク型」の領域にとても可能性を感じているため、ここを中心にお話していければと考えています。

秘密1:ライブ配信は「孤独」を解決する

ライブ配信のビジネスは、配信をする「ライバー」とともに、配信を見る「リスナー」が必要で、リスナーさんが「投げ銭」をすることで、お金が初めて発生します。

では、そのリスナーはどんな人で、なぜ投げ銭をするのでしょうか?

理由は1つではないのですが、主な理由は「孤独」を解決しているからだと考えています。

まずリスナーさんの年齢と性別なのですが、40〜60代の男性が非常に多いです。

公式データではないのですが、会社でリスナーさん50名ほどにインタビューした際に、圧倒的にこの年代の方が多かったんですね。

そしてそんなリスナーさんの多くは「普段、誰かとしゃべる機会がない」と言うのです。

例えば地方に住んでいて独身だったりすると、仕事場でも年次が上の方になるので親しげに話しかけられることも少なく、近所に飲み屋さんもないしコロナもあるので家に帰るしか無く、家に帰っても誰もいない…。

もちろんその状態でも大丈夫な方はいるかも知れませんが、寂しさを感じる方も多いなか、その解消方法を見つけることが難しい現状があります。

実際に「誰かと喋りたいから、車で30分のところにあるコンビニまでわざわざ行った」なんて話もインタビュー中に伺いました。

マクロのデータで見ても40-60代男性の孤独は増えていることがわかります。

国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(独身者調査)」では、「交際相手がいない」と答えた18歳以上の未婚男性は61%に上る(11年11月25日)という結果が発表されましたが、40~50代で見ると、それを上回る結果となっています。
(引用:パートナーエージェント
さらに『平成30年高齢社会白書』によれば、夫婦のみ世帯や二世代世帯、三世代世帯では、9割以上の人が会話の頻度は「ほとんど毎日」となっていますが、単身世帯では54.3%にとどまっています。
そして単身世帯を男女別でみると、「ほとんど会話をしない」という人の割合は、女性単身世帯では2.2%でしたが、男性単身世帯では11.7%に上っていました。
(引用:みんなの介護

世の中の孤独が増えていけば、おのずと孤独を解消するニーズも増えていくでしょう。

そんな中で、特に「コミュニティ型xネットワーク型」のライブ配信は、ライバーさんがリスナーさん1人1人と会話をしたり、リスナーさん同士で会話をすることで孤独を癒やす、いわば「スナック」のような役割を果たしていて、だから40-60代の男性が多いのです。

しかもライブ配信はサービスを開けば24時間やっている状態ですし、投げ銭をしなければ無料で楽しめてしまいます。

つまりライブ配信は「スナックのイノベーション」とも言えるのです。

スナックはコンビニよりも店舗数が多いとも言われており、地域に限らず、人間の普遍的なニーズを満たしています。

筆者は、NTTのタウンページに掲載されたデータを基に全国のスナックの軒数の概算を調べたことがあるが、15年時点では少なくとも10万軒超のスナックが日本には存在していた。
(引用:全国商工新聞

ライブ配信のビジネスはまだ始まったばかりで、コロナが落ち着いたとしても、まだまだ伸びる余地がある。

これがライブ配信市場が伸びると確信できる、最大の秘密かもしれません。

秘密2:ライブ配信は始めやすく、成功しやすい

リスナー側のニーズが増えることは分かりました。ではライバー側はどうでしょうか?

さきほど、ライブ配信サービスの分類を説明したときにも書きましたが、ライブ配信においてコンテンツは必須ではなく、コミュニケーションが得意であれば十分にライバーとしてやっていけます。

コンテンツがなくてもライバーとの距離感の近さやリスナー同士の雰囲気が好きで配信を見続ける人も多いのです。

またYoutubeだと企画(=コンテンツ)が必要で、しかも撮影機材(カメラ)や編集機材(PC・編集ソフト)といった初期投資もかなり必要ですし、編集スキルを学ぶ必要もあります。

しかしライブ配信はスマホ1台で始められます。

なので、始めるためのハードルが圧倒的に低いのです。

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ただ「でも始めるハードルが低いってことは、うまくいく可能性は低いんじゃないの・・・?」と思う方もいるでしょう。

もう1つ重要なことがあります。

それはライバーとして成功するのは「夢のまた夢」ではないのです。

分かりやすいのでYoutuberと比較してみます。

Youtubeのみで生計を立てるには、諸説ありますがチャンネル登録が1万人以上は必要で、なおかつ生活費を安定的に稼ぐための再生数を確保することを考えると、ほぼ毎日動画をアップし続ける必要があるそうです。

毎日動画をアップすると言っても、動画の製作コストは非常に高いため、1日〜数日かけて撮影して編集する・・・なんてことが多いと思われます。

しかし、実際にチャンネル登録者が1万人以上いくYoutuberは15%前後。その中でも安定的に再生数を稼げているチャンネルはごく一部だと考えられます。

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(引用:国内YouTubeチャンネルの登録者数の分布【動画でわかる統計・データ】

しかも上記は2019年〜2020年頃のデータですが、現在はコロナの影響で芸能人のYoutube参戦も当たり前になり、チャンネル登録者を集めることがより難しくなっていることが予想されます。

一方、ライブ配信ですが、さきほどお伝えした通りネットワーク型のライブ配信だと、同時に見るリスナー数は数名〜数百名ほどなのですが、固定ファンが30名もいたらちょっとしたお小遣いくらい、60名もいたら生活していけるくらいにはお金を稼げます。

しかも60名程度の固定ファンを獲得するために必要な頻度と配信時間は「週5・1日3時間」程度で、けっして楽ではないですが時間をとることが不可能ではない人も多いのではないでしょうか。

少なくとも毎日動画を編集してアップして・・・という手間と比較すると、圧倒的に少なく済みます。

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この始めやすさと成功しやすさは、職業「ライバー」の圧倒的な特徴です。

秘密3:「働き方の多様化」ニーズの増加にマッチ

ライバーの「始めやすさ」と「成功しやすさ」は、最近の働き方の多様化のニーズにマッチします。

例えば「副業」は、Googleトレンドで見るとここ5年でどんどんニーズが高まっていることが分かります。

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また「在宅ワーク」も、コロナや緊急事態宣言を経てニーズの底上げが起きています。

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ライブ配信は週5・1日3時間なので副業にもピッタリですし、家でできる「在宅ワーク」なので、出勤時間も圧縮できます。

他にもメンタル面での病気で体調に波がある方も最近は増えていますが、その波にあわせて配信の時間を決められるのも大きなメリットです。

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(引用:https://www.mhlw-houkatsucare-ikou.jp/guide/h30-cccsguideline-p1.pdf

ちなみにライバーさんには女性が多いのですが、背景には女性特有の事情と仕事環境との関係性もあると考えています。

女性は妊娠・出産といった仕事や生活に影響が出やすいライフイベントが多かったり、生理もあいまって体調を崩しやすくなり、人によってはやむを得ず長期間ないし定期的に仕事に支障をきたしてしまう方がいらっしゃいます。

最近は女性の働き方改革の動きも進みつつありますが、それでもまだまだ世の中の「働くルール」が女性に優しくなく、なかなか女性のライフサイクルや体調に合わせて休めるようにはなっていません。

そういった女性特有の事情で、将来の仕事のキャリアに悩む女性も非常に多いようです。

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今後のキャリアにどんな不安を感じているか尋ねたところ、「ライフステージが変わったときの働き方(結婚・出産・介護など)」が54.1%で最も多く、「フルタイムで働き続けられるか」が49.6%と続いた。(n=270)
(上記引用:@DIME

その点、ライバーは自分のタイミングで休めますし、定期的な配信は必要ですが、ファンの方がしっかりついていたら、休んでいたとしても復活するとまた応援してくれるようになります。

このように、仕事としてのライバーは「働き方の多様化」ニーズにマッチしており、ライバーになっていく人も増えていくことが容易に想像ができます。

私自身もライブ配信で救われた

10年以上前ですが、実は私もライブ配信をやっていたことがありました。

当時、私は大学4年生で、単位も取りきっていたので大学に行く回数も減り、孤独と暇を持て余していました。

そんな時にニコニコ生放送で「生主」(今で言うライバー)をやっていて、今考えればしょうもない配信をしていたのですが、そんな自分にも200人くらいのファンができたんです。

また10人くらいの常連さんができて、その人達と夜中にスカイプで会話をしたりして、「この配信が1日で1番楽しい」と言ってくれるリスナーさんもいました。

今思うと、そのリスナーさんの孤独を救っていたのかもしれません。

当時は生主どうしの交流も多く、自分自身がライバーでありリスナーでもある状態だったこともあり、遊びに行った配信がだんだん居場所になっていて、本当に居心地が良かったんです。

自分がリスナーさんの孤独を救うと同時に、自分自身の孤独も救われていたんです。

社会人になってからは生活サイクルも変わってしまい、ライブ配信とは離れてしまっていて、この業界に入るまでは忘れかけていた思い出だったのですが、仕事をしている中で世の中の孤独と向き合い、ふと思い出したんです。

そして、もっと多くの人が昔の自分のように配信をはじめることで世の中の孤独を救えたら、多くの人が孤独から救われたら、どんなに良いだろうと思うようになりました。

ライブ配信で救われる人を増やしていきたい

仕事の中でリスナーさんやライバーさんと対話をする機会が多くあるのですが、話を聞けば聞くほど「ライブ配信で救われる人が、まだまだたくさんいる」と確信が持てるようになっています。

実際に自分でライバーさんをマネジメントして「生活が豊かになった」「人生が変わった」と言っている方を目の当たりにして、ライバーはもっと広まるべき仕事だと確信していて、入社したときよりも遥かにワクワクしています。


このnoteで、ぜひ一緒に業界を盛り上げてくれたり、興味を持ってくれる方が増えたらうれしいです!

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今年読んだおすすめ本「2020年6月30日にまたここで会おう」
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ライバーさんの事務所「PRIME」で働いてます。 https://primeagain.co.jp/ 趣味はリアル脱出ゲーム。