見出し画像

ボードゲーマーのTRPG制作0話【TRPGを作りたい!】

久しぶりの投稿ですね。こんにちは、Yukoです。初めての方に自己紹介、現在大学生で、ボードゲームを作っています。過去作に「Catchy!」と「ハートオブヴェネツィア」があります。

今回、ふと思い立ってTRPGを作り出し、テストプレイができる段階になりました。今回からいくつかに分けて、構想からシステムの一応の完成までのプロセスを書いていきたいと思います。

私自身TRPGデザイン初心者なので、用語や考え方に疎い部分があると思います。できるだけ面白く書こうと思うので、読んでいただけたら嬉しいです。

テストプレイの結果、様々な改善点が出てくると思います。この改善の様子もシリーズ後半で随時挙げていけたらと思います。

今回は0話ということで、自分なりにTRPGとはなんぞや?ということを、ボードゲームを作っている身から話したいと思います。

TRPGとは?

「あなたは怪しげな家を見つけました」
「ゲームマスター、家の周りには何がありますか?」
「まず家自体が真っ黒に塗られています。そして、門のところになぜかバットを持ったたぬきの置物があります。」
「なんで?」
「なんででしょう。あなたはそれを調べるためにこの家に近づくこともできるし、避けて通ることもできます。」
「んー、そしたら近くを少し散策して、あの家について誰かに聞いてみたいです」
「わかりました。じゃあ、向こうの方から散歩中のおじさんが歩いてきます」
「ジャンプしながら手を振ります」
「なんで???」

TRPGはTabletop (もしくはTable-talk)Role-Playing Gameの略で、ほとんどの場合ゲームマスターと呼ばれる「進行役」の人と、ゲームを実際にプレイする「プレイヤー」の人に分かれて行います。

進行役は「シナリオ」と呼ばれる物語を描写し、プレイヤーはその物語の主人公となって彼らが物語の中でどのような行動をするのかを選択します。

ここでプレイヤーは「ロールプレイ」を行ったり、サイコロやカードといったランダマイザを用いて難しい行動が成功するかどうかを「判定」したりできます。こうしたプレイヤーの行動に応じてシナリオは進み、やがて結末を迎えます。

ほとんどのシナリオが問題提起とその解決という流れに沿っており、解決までの道筋で一悶着も二悶着もあります。問題解決はボスの討伐でも、どこかからの脱出でも、事件の真相を解き明かすことでも構いません。どのように問題を解決できるか、その自由さを活かしていかにその物語を紡げるかが、TRPGを奥深いものにしていると考えています。

TRPGの自分にとっての面白さ

私は「自分で選択しながら物語の中を冒険できる」というのが、TRPGというジャンルの根幹にある強みだと思っています。そしてその中で起こる様々な問題や葛藤を、運要素も絡まりつつ収束させていくことが、充実感のあるストーリーを作り出します。

TRPGの具体的な面白さは人によって様々です。世界を歩き回って謎を解くのが好きな人もいれば、サイコロを振って壮大な戦闘を繰り広げるのが好きな人もいます。私は世界を隅々まで想像し冒険できることと、シナリオごとに一期一会の会話が生まれることに大きな楽しさを感じます。

いずれにせよ、TRPGは進行役とプレイヤーの掛け合いからなる物語だからこそ、柔軟性がありのびのびと想像できる懐の深さがあるように思います。その一方で、明確な判定による運要素もその想像力を際立たせるために重要な要素だと感じます。

TRPGにおけるルール(システム)は、ゲーム性を持たせるとともに世界観を共有するのに必要不可欠な存在です。例えば「宿屋を想像して」と言われるより、「ここはヴェネツィアです。旅に疲れたあなたは、一晩休む宿を探しています」と言われた方が、場面の縛りがあるにもかかわらず想像が膨らむはずです。むしろ縛りがあるからこそ、それを土台にしてどれだけ妄想できるか、シナリオに問われることが顕著になるのだと思います。ルールも同じで、プレイヤーの行動を完全に許すのではなく、例えば「判定で成功したら攻撃ができる」とした方が、戦いに対する臨場感やその場限りの会話が発生します。そのため、想像に必要かつ丁度いい量のデータとルールを与えることが、TRPGを良い物語にする肝だと考えています。

TRPGを作りたい

ボードゲームデザイナーとして面白いTRPGを見ると、そのルールの美しさに惹かれます。というのも、前述のようにルールはゲームの進行を規定するものでありながら、決してプレイヤーの行動を無理に制限することなく自然に世界観を演出しているからです。

終着点が未定(少なくともプレイヤーは知らされていない)という点において、ボードゲームに比べてTRPGは発散的です。それなのに、ゲームが壊れることは(プレイヤーがあまりにも突拍子のないことをしない限り)ほとんどありません。こうしたデザインをしてみたいと思いました。そして何よりも、今まで真面目に触れたことのないTRPGデザインというものに飛び込んでいくことにワクワクしてもいました。

デザインをすることを考えた時「シンプルなものにしたい」というのは決まっていました。私自身多くのデータを参照するゲームはあまり得意ではなく、単純な仕組みが生む思考性の美しさが、私がゲームデザインをするときの目標になっているというのが大きいと思います。

そんなこんなで、かなりぼんやりとした「シンプルな仕組みのTRPGを作ってみたい」という気持ちが、これからお話しするHel Blud TRPGのデザインのスタート地点でした。

次回は「1話【発想と骨組み】」をお届けします。お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?