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ロイロノートで動画実験ノート

ICT教育アプリ、ロイロノートは、インタラクティブな授業を可能にするアプリです。そこで、ロイロノートの特徴を活かした使い方のひとつとして、動画実験ノートを提案したいと思います。この動画を活用した使い方は、すべての学習法で適用できますので、ぜひチャレンジしてみてください。

見直せるメリット

 動画はいつでも見直すことができるメリットがあります。実験では、起こった出来事を観察する必要があります。しかし、重要な出来事は得てして瞬間的に訪れるため、見逃してしまうこともあります。そんなとき、動画を撮影しておけば、いつでも見直すことができます。

記録できるメリット

 動画の撮影時に、条件や起こった出来事を声に出すことで、記録することができるメリットがあります(実例は後に動画を載せています)。理科の実験では、実験ノートもしくはワークシートを使います。しかし、観察と記録のバランスを取るのは、なかなか大変です。観察に集中すると記録をするのを忘れてしまいますし、記録に集中すると観察が疎かになってしまいます。そんなとき、条件や起こったことを声に出して読み上げて動画を撮影すれば、実験ノートに記録するときに困りません。

失敗の原因を分析する

 実験が失敗したと思うとき、どこに原因があるのかを動画を見直すことで分析できます。実験では失敗は「悪」だと思われがちですが、失敗からはたくさんの学びがあります。極端に言えば「なぜそうなるのか」を解明できれば、実験は失敗しても問題ないのです。
 なぜうまく行かなかったのでしょうか。その失敗は、誰もがやりがちな失敗なのかもしれません。だとすると、失敗を防ぐための対応が必要になります。そうではなく、一見失敗に見えますが、うまく行っているのかもしれません。反応時間や反応のみやすさは、ちょっとした条件で変わることもあります。もしかしたら、装置の組み方を間違えているのかもしれません。
 しかし、普段の実験ではうまく行かなかった理由の検討はなかなか大変です。そこで、動画を見直すことで、どこに問題があったのかを検討しやすくなります。

みんなで比較しよう

 実験の結果を比較するのではなく、過程を比較することで、「なぜそうなるのか」の重要性がよりハッキリします。科学で、もっとも重要なのは情報の共有です。実験で得られた情報は、全体の一部分かもしれません。他の班と情報を共有し、情報のダブルチェックや補填をすることで、全体像が見えることもあります。しかし、実験ノートやワークシートは、書くべきことが定められているため、それらを比較しても違いがわかりません。そこで、動画を共有し、他の班と比較することで、実験の全体像を把握することができます。

参考例:中学生のメタン発酵菌の燃焼試験

 どんな風に使うかの一例を、メタン発酵菌の燃焼実験の動画で紹介します。

 動画の内容を以下に説明します。ロイロノートで動画を撮影すると、以下のようにノート上に動画が並んでいきます。つぎに、たくさんある動画を整理していきましょう。

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 ロイロノートでは、カードの上にカードを載せることができます。動画でも同様に、上にカードを載せることができますので、たとえば実験条件や結果をカードで書き込んでおけば、あとで混乱することがありません。

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 動画をカードの上に移動して、動画を使った実験ノートを作成することができます。動画は再生可能ですので、文章と動画で説明することでイメージが共有しやすくなります。

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紙とペンではできないことを

 ロイロノートを使った動画実験ノートは、紙とペンではできない新しい教育を実施できます。
 科学では、何をどのようにしたのか、その結果、何が得られたのかを共有することが重要です。動画を使うことで情報の共有が容易になり、また、どこに注目すべきかを学んでいくことができます。たとえ実験に失敗したとしても、その原因を探り、新たな学びに役立てることで、失敗≠悪であることを学ぶこともできます。
 今回は、私の専門の科学についてご紹介しましたが、同じことはあらゆる教科で導入可能です。そして、先生がこうした動画教材を用意することで、予習や復習、答え合わせでの概念の伝達も用意になります。新たな時代に則した新たな学びの手法について、ご検討いただければ幸いです。

解説記事:ロイロノートを活用しよう!


いつもより,少しだけ科学について考えて『白衣=科学』のステレオタイプを変えましょう。科学はあなたの身近にありますよ。 本サイトは,愛媛大学教育学部理科教育専攻の大橋淳史が運営者として,科学教育などについての話題を提供します。博士(理学)/准教授/科学教育