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2023年のギフテッド・サマースクールの様子

2023年、日米ギフテッド教育協会では、熊本県にあるオルタナティブスクールWING SCHOOLの主催で、「ギフテッド教育の始め方」という7回に渡る講座を開講しました。講座はアメリカのギフテッド教育の教員指導の専門家のシャロン・マエダ先生の監修の元、私こと大石貴子が日本語で指導するもので、約30名の方の出席がありました。

その講座を受講されていた元中学校教員の泉泰子先生と、大学教員の松行輝昌先生が、ギフテッド教育個別最適化初級の資格を取る過程で、福岡県の宗像大島で、ギフテッド・サマースクールを開催。ここではその様子をお伝えします。

スイッチ「時間と共に起こる変化」のページに思い思いに感じたことを記入する姿。

泉先生と松行先生は、まず、講座で学んだDC思考スイッチ(Depth and Complexity)を子供たちに教え、探究学習に取り組まれました。

PROMPTS OF DEPTH AND COMPLEXITY 
日米ギフテッド教育協会では、2024年からは絵文字をつかってDC思考スイッチを教えます

DC思考スイッチ(PROMPTS OF DEPTH AND COMPLEXITY)

DC思考スイッチとは、子供たちに深く考えたり、複雑なものについての考えを促すためのツールです。英語名が日本語にした時に馴染みにくいとのことで「ギフテッド教育 個別最適化初級」を取得された一期生の方々と、日本の子供がピンときやすい名前を考え、アイコンを見るとすぐに脳が回転し始めるイメージでDC思考スイッチと名づけました。

これはアメリカの学者サンドラ・カプラン博士が考案したもので、11個のイラストとキーワードと解説でできており、アメリカ中の学校で広く使われている教育ツールです。特に、ギフテッドの子供と一般の子供が混じるクラスで、個別最適化をするときに使われます。

このDC思考スイッチの優れているところは、シンプルなコンセプトなので、どの年齢の子供にも使えて、先生たちもすぐに学べる割に奥が深く、何年使ってもあきが来ない所。

また、アイコンのおかげで、直感で何を言わんとするかがわかるので、低学年の子や、外国から来ている言葉がまだ不便な学生にもすぐにピンときて使いやすいところです。日米ギフテッド教育協会では、教員研修で積極的に日本の教師にこのDC思考スイッチの使い方を教えています。

DC思考スイッチ自体はオープンソースですが、アイコンの絵だけは著作権があるため、2024年からは利便性と著作権に配慮し絵文字に置き換えて指導しています。このDC思考スイッチの使い方を学びたい方は、日米ギフテッド教育協会までご連絡ください。

ギフテッド教育を学んで企画したサマースクールは大成功。
子供たちはDC思考スイッチを使いこなし、大いに学び、楽しみました。

「資料館を見終わり島の散策をしているBグループ。

二人は最初に使うスイッチを決めてスタートしたが、島を散策中に、この小夜島がどのようにして海の真ん中に現れたかなぞに思い「なぞ・疑問」のスイッチを使うことに変更したとのこと。つまり使おうとしていたスイッチ以外の思考スイッチも頭に入っていたということがわかり成果を感じた。」

シャロン先生は、これは、子供たちが思考スイッチを自分のものにしている証拠で、思考スイッチを教えるゴールであるといっています。

泉・松行レポート
子供たちが今日の発見や学びを各々の制作をし発表する

子供たちの制作物に自由をもたせ、粘土で表現する子、新聞のようなものを作る子などさまざまです。シャロン先生は「最後の制作物の形態を子供達に選ばせることは、個別最適化に欠かせない要素」だとし、とても高く評価しました。

ギフテッド児の様子。インスピック(写真プリンター)で小夜島の今昔の写真を印刷し、床に寝そべって写真を模造紙に貼るなどし、一人で黙々と新聞を仕上げた。彼女は普段学校ではほとんど授業に参加できておらず、学校に行かないこともあり半不登校状態で、唯一参加できている図工の時間でも文字を書くことを極端に嫌がり、提出プリントはいつも白紙で出すことから、今回の制作で新聞という書く手段を自ら選んだことに驚いたし、環境作り、安心できる指導者と子どもの関係、手段の選択制、個別最適化など条件が整えば、これだけ積極的に学べるとわかり、その効果を非常に実感した。

泉・松行レポートからの引用

ギフテッド傾向の3年生がいたが、声掛けにより個別最適化が図れ、他の子よりも多くの思考スイッチを使うことができたため、退屈することなく積極的に参加することができた。

具体的には新聞形式でDC思考スイッチ「言葉」「詳細」を使い島の特産品を紹介し、「傾向」を使い人口の推移に触れ今後の人口を予測し、「時間と共に起こる変化」を使い名所小夜島の今と昔の写真を比較して紹介し、「傾向」「オリジナルアイディア」を使い、みあれ祭〔地元のお祭り〕の参加人数が減少傾向にあることから対策として祭りを盛り上げるため参加を呼び掛け、コメント欄を掲載したりした。

このお祭りの件に対し、シャロン先生がこうコメントしました。

自分が社会に対してどのような変化をおこせるのかというのが、多くのギフテッドの子供のモチベーションになる。

なので、この祭りへの人集めをプロジェクト化し、彼に実際にコミュニティーに関わらせるなどして学びを継続させてもよいかもしれない

泉・松行レポートからの引用

2024年は、このサマースクールが先生6名を迎えて大幅にパワーアップして福岡に戻ってきます!
九州でアメリカのギフテッド教育を受けられる、視察できるチャンス!ぜひお見逃しなく!

Thinkers Thinkers サマーキャンプ 2024 in 福岡


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