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一見さんお断りのお店って実は親切?

はじめの小咄

ようやく涼しくなってきて、
夏に引きこもっていたネモトも少しずつ外で活動をし始めました。

健康のために歩いてみようと思って歩いてみたら、
秋花粉で喉がやられました。

なんて日だ!!


本題!「セルフうどん屋素人事件byネモト」を考察した話

さて、今回は、とあるうどん屋に行ったネモトの恐怖体験をお話ししたいと思います。

ホラー話ではありません。ネモトに霊感は1ミリもありません。

むしろ、目に見えない幽霊やお化けなどの怖さではなく、人間の冷たい視線や耐え難い沈黙、それによる強烈な焦りなどのなんとも言えない怖さについてのお話です。。(ほーら、段々背中が寒くなってきたでしょう、、?)

そんな恐怖体験を、マーケティング視点から、ペルソナの設定や、ブランディングなんかの話をお伝えしようと思います。

最後まで読んでいただければ、もう、うどん屋は怖くない☆


・恐怖のセルフうどん屋体験

というわけで先日、ネモトは息子2人を連れて、とあるうどん屋さんに行ったんですよ。
いわゆる、セルフ型のうどん屋さんだったので、子供たちに先にメニューを決めさせてからまとめて私が注文しに行くことにしたんですね。一緒に並んでると邪魔なので。

息子たちにヒアリングした結果はコチラ。
・冷たいうどんがいい
・天ぷらはいらない

シンプルイズザベスト。
炭水化物オンリー。
栄養バランスとは?という疑問は子供たちに対しては愚問です。
むしろ覚えやすくてサンキューベリーマッチ。

早速、席に息子たちを座らせ、母ネモトは単身で注文へ向かいます。

ちなみにネモトは、あたたかいうどん派。
なので、あたたかいうどんに、万が一息子たちに「やっぱり天ぷら食べたい」と言われた時用に、多めに天ぷらをお皿に盛り、
いざ、うどんの注文をする番が回ってきた、その時。

事件はおこりました。。


・日本語ムズカシイ!”かけ”と”ぶっかけ”ってドウチガウノデスカ!?

ネモト「えっとー、冷たいうどんを2杯と、あたたかいうどんを1杯でお願いします!」

うどん屋のおっちゃん「かけ?ぶっかけ?」

、、今なんて?

ネモト「え、、(よくわかんないけど)じゃあ、、かけ?で。」

うどん屋のおっちゃん「かけはひやないよ、ぶっかけならあるけど。」

ネモト「!?」

はい、パニック。
今のはニホンゴデスカ?
カケハヒヤナイヨ、ブッカケナラアルケド?

待って、”かけ”と”ぶっかけ”ってどう違うの?
その2文字の差で、一体どんな違いが生まれているの?

ただただ、注文をしたいだけなのに、うどん屋のおっちゃんに謎の用語で問い詰められ、大パニックのネモト。

席ではお腹をすかせた炭水化物モンスターが二匹待っている。

スピード命の注文行列からは、何をもたついてんだと言わんばかりの冷たい視線が注がれている。

この際、かけだろうがぶっかけだろうが、関係ない。
要するに冷たければいいし、あたたかければいいのだ!!

ネモト「ぶっかけの冷たいの2杯と、かけのあたたかいのを1杯で!!」

ようやく注文に納得したうどん屋のおっちゃんから、光の速さでうどんが3杯提供され、
ここぞとばかりにスマート&スピーディに決済を終わらせて、ネモトはそそくさとその場を離れました。


これが事件の全貌です。

ちなみにオチとしては、次男に、上に乗っている青ネギはいらんと言われて取り払った挙句、
ぶっかけうどんは汁が少なくて食べたいうどんと違うと言われてかけうどんを奪われ、
更にはやっぱり海老天が食べたいと言われ、、

ネモトは、無駄に青ネギがマシマシになった冷たいぶっかけうどんに、
タンパク質のエビを奪われ、なす天だけを噛み締めていただきましたよ。
(秒でお腹空くラインナップ)


さて、もう皆さんはお気づきでしょう。
ネモトは、セルフ型うどん屋の初心者です。
全く経験がないわけではないのですが、子連れで行ったことはなく、
一人で頼むときはカレーうどんとか季節限定メニューとか肉うどんとか、割とわかりやすい注文しかしたことがなかったんですね。

日常的にも気軽に家で食べたりしますよね、うどん。
こんなにスタンダードで食べ慣れていると思っていた料理で、こんな大パニックに陥ると、誰が予想できたでしょう、、

しかし、ネモトはうどんが好きなのです。
そばかうどんかの二択なら、脊髄反射でうどん派なのです。
だから悔しいじゃないか、、こんなに好きなのに食事を心から楽しめないなんて!!!

というわけで、遅ればせながら、”かけ”と”ぶっかけ”についての違いを調べました!!
もう、うどん屋のおっちゃんからも、後続のお客さんからも冷たい視線を浴びるようなことは二度と起こしてはならない、、いや、起こさせない!!

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かけうどんとは、、
イリコや昆布、かつお節などでとっただしにしょう油やみりん、塩、砂糖、酒などで味付けした、透明なつゆにうどんを入れたもの。

ぶっかけうどんとは、、
醤油の味が強く濃いつゆを、少量うどんにかけたもの。
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つまり、ラーメンとつけ麺みたいな違いで、
ぶっかけは、つけ麺の濃いスープを麺にかけたもの、という理解に近いかな。
ちなみにこれは、うどん県こと香川県の讃岐うどん文化がベースになっているらしく、地域が変われば多少の違いはありそう。

調べてみた結果、ちょっとやそっとでは全貌を知り尽くすことのできない、実に深い世界だったのです。

庶民の味方だと思っていたのに、まさかこんな複雑怪奇な食べ物だったとは。。

そんなわけで、セルフうどん屋で惨敗してしょんぼりしていたネモトが、
なぜこんな悲劇を巻き起こしてしまったのか。
どうしたら、こんな悲劇は防げたのか。

生意気ながら、分析していきますよ。
タダでは転ばないのがネモトです。


今回の件、「セルフうどん屋素人事件」と名付けてまして(雰囲気作りって大事。)
ポイントをまとめてみると、、

・「ソト」からはわかりづらい独特の文化
・”うどん”という大衆的な食べ物であるという消費者側の思い込み
・ブランディングのために顧客教育を行う重要性

こんな課題がみえてきました!!
それぞれ深掘りしてみましょう!!


・「ソト」からはわかりづらい独特の文化

突然ですが、日本文化とは、「ウチ」と「ソト」という価値観が色濃い文化です。

「ウチ」つまり身内であったり、付き合いの深い関係だったり、
今回の事件で置き換えるなら、「常連客」=「ウチ」ということになります。

対して、
「ソト」は他人、あまり付き合いのない関係、
つまり今回で言うと「初心者(ネモト)」=「ソト」ですね。

この「ウチ」と「ソト」に消費者を分けてサービス展開をするというのは、つまり、
そのお店がどのようにお客様と付き合いたいと思っているか
というブランディングの基本なんですよね。

例えば表参道にズラリと並ぶ、高級ファッションブランドの路面店。
ガラス張りで美しい店内が外から見られるようにしてあるにもかかわらず、
ドアはきっちりしまっていて、なんなら正装したドアマンが張り付いていらっしゃる。
とても、入りづらい。
お呼びでない感。

「ソト」の人からみたら、なんだか高飛車な商売してますねぇなんて思っちゃったりしません?

でも、逆を考えてみて、もし自分が「ウチ」の立場だったら?

行きつけの居酒屋。そこはもはやホームグラウンド。
自分にとってお気に入りの「いつものやつ」があって、それを頼むのにツーカーでわかる合言葉がある。店長と仲良くなっちゃったりなんかして。

「ソト」の人間には侵害されない、わかってる人しか踏み入れられない「ウチ」の世界。

居心地よくない?
エンドレスリピートしない?

もちろん高級ファッションブランドだって、そこを「ウチ」と感じる方々はいらっしゃるわけで。
顔見知りの店員さんがいて、自分の好みも知っていて、
ネモト様が以前から気になっていらした商品がついに入荷いたしまして〜なんて言われて、あら〜嬉しいわ〜ホホホホ〜なんつって(※フィクションです。)


つまり何が言いたいかと言いますと。

「ソト」からはみえないけれど、
阿吽の呼吸というか、お店と「ウチ」の人しか知らない用語やルールがあるからこそ、
そこに信頼関係が構築されて、常連客も特別感を味わうことができるわけです。
その特別感、ホーム感があるからこそ、店にとっても優良なリピート顧客になるという大きなメリットが得られるんですね。


・「ウチ」も「ソト」にも対応するスターバックス戦法

ちなみに、その「ウチ」と「ソト」を絶妙に抱え込んでいる場合もあって、
ネモトの身近なところで言うと、みんな大好きスターバックスですね。

スタバに初めて行って、どう注文していいかわからないってことはないですよね?
レジに行けば、写真や絵でわかりやすくデザインされたメニュー表があり、
店員さんも聞けば丁寧に説明してくれます。
とても気持ちよく、美味しいカフェインと糖分の盛り合わせが手に入ります。

、、と同時に、
スタバに出没するのが、以下のような呪文の使い手。

「ショートソイオールミルクアドリストレットショットノンシロップチョコレートソースアドホイップフルリーフチャイラテ」

えーーーと。。

スターバックスでものすごく細かくカスタマイズオーダーができる、という都市伝説は皆さん一度は耳にしたことがあるかと思いますが、
ミルクをソイミルクやオーツミルクに変えるくらいはまだ序の口で、
エスプレッソのショットを追加してみたり、クリームやらなんやらを追加してみたり?
アドなんちゃらってのは多分追加って意味だと思うんですけどね、、

、、ごめんなさい頭が追いついてませんが、
とにかく色んな「ジブン仕様」が作れるサービスのデザインなわけです。

自分がこれだ!と思えるカスタマイズを見つけたり、
「ウチ」の人たちにしか通じない呪文を駆使しながら、別の呪文を教えあったり。。
そこにもやはり「ウチ」の特別感は演出されていますよね。

初めて行っても迷わず注文できるし、常連は呪文を覚えることで魔法使いにも昇格できる。
このスタバの「ウチ」と「ソト」の絶妙な共存というブランディングも、
ペルソナとなる顧客の層が何層にもデザインされている、
スタバが考えるお客様との付き合い方なのだといえます。

ちなみに、このカスタマイズのメニューも、
メニュー表にちゃんと載ってるというところもネモト的にはゾクゾクします。
隠してないから、「ソト」の人も視力3.0くらいのポテンシャル発揮すれば、片隅に書いてあるカスタムの詳細を知ることができる!!
そう、「ウチ」への門戸は常に開かれているのです!!

だがしかし、その必要性を感じないネモトのような一般客は、全く気づかない文字の小ささ!!
この記事を書くためにスタバのメニュー表を検索するまで、こんな詳細に載せてあるなんて知りませんでした。一般客の視力と注意力なんてそんなもんです。

こうやって並べてみると、面白いですよね。
お店のブランディングによって、お客様との付き合い方にも色々あるわけです。


・”うどん”は大衆的な食べ物であるという消費者側の思い込み

この「ウチ」と「ソト」文化に今回のセルフうどん屋を当てはめて考えてみます。

例えば、お店がみるからにおしゃれで高級な価格帯であれば、
そもそも炭水化物モンスター二匹を連れて入ろうと思いもしないですが、
一見してとても庶民的な店で、しかも扱っているのは庶民の食べ物、うどん。

この外観や商品から受けるイメージから、
「ソト」の消費者であるネモトは「ウチ」の存在を想像できなかった!

しかし実際は、
スタバのカスタムメニューがデデーンとでっかく写真付きで掲げてあるのに、
その名称からは実態がわかりづらい、という状況でした。(伝わってる?)

上のメニュー看板にでっかく写真付きで「エスプレッソ追加可能です♪」って掲げてあって、
あーエスプレッソ追加できるんだ〜私濃いの好きだから追加しよ〜と思って、
エスプレッソ追加で!って言ったら、
すごい職人風のスタバ店員に
「エスプレッソ?リストレット?」って聞かれたみたいな感じ。(しつこいけど伝わってる?)

つまり、
扱う商品の一般的なイメージが大衆的、身近なものであればあるほど、
消費者側の思い込みからギャップが生まれる可能性が高いということ!

ここに、盲点があったとネモトは考えます。

では、どうすればこの問題に対策ができるのか?
勝手に考えてみます。


・ブランディングのために顧客教育を行う重要性

きっとマーケティングのプロからはたくさんの改善提案が生まれてくると思いますが、
ネモトは、、
明確なペルソナの提示」と「顧客教育」にポイントをおきたいと思います。

“ぶっかけ”と”かけ”という、文字的にも混合しやすい、初心者にはその文字をみただけてどんなものなのかわかりづらい名称。

誰にでもわかりやすいように名称を変えたらいいのか?というと、、

絶対NO!!!

かけうどん、ぶっかけうどん、というのは、名称というだけでなく、
もはや文化です。
伝統文化なのですよ。(知らなかったくせに熱弁!)

全てを消費者に合わせることで、引き継いできた歴史や文化を曲げるのではなく、
むしろその文化を知ってもらって楽しんでいただけるようデザインする
それがマーケティングの醍醐味なわけで。

そこで思い出すのは、京都の一見さんお断りという文化。

すでに行ったことある人の紹介じゃないと、入店どころか予約もできませんよっていう、
マクドナルドに慣れ親しんだネモトからするととんでもないルール!!

しかし、これは、「ウチ」の常連客との関係性を究極的に密にした、「ウチ」最優先モデルの最上位なんですよね。

調べてみたら、お客さんは全て常連客だから、仕事や役職だけでなくその人の自宅までちゃんと把握していて、
お店でかかった代金はその場ではやりとりせず、後日お店が自宅まで代金を取りに行くんですって!!

お店にいるときはお店で過ごす時間をただ楽しみ、その余韻のまま帰宅できるわけです!!
なんてスマートで、お互いの信頼関係の元に成り立つ形態なんでしょう!!

ちなみに、常連客の紹介できた人がもし代金を踏み倒したら、その人を紹介した常連客のところに請求がいくというシステムにもなっているらしいですよ。

だから、常連客も、下手な人を連れていけない。

お店と常連客の信頼関係、常連客と紹介客の信頼関係があって、上質な「ウチ」の世界が守られているんですねぇ。

少し話がそれましたが、ここから何を思うかというと。

「ソト」の客からしたら、”一見さんお断り”なんて掲げられて拒否されたら、
疎外感を与えられて不快に思うかもしれない反面、
この店は「ウチ」との信頼関係に基づいた独自のルールで運営しているので、
入店したかったらそのルールをちゃんと理解している常連客に信頼されてから来てくださいね、という明確なペルソナの提示をしているわけです。

この断りがなく、うっかりネモトがそんなお店に入ってしまったら、、、
想像するだけで恐ろしい。

一見さんお断り!と明確に示してくれることで、
ネモトのような一般客が紛れ込んで恐ろしい思いをすることもなく、
お店もブランディングを守ることができるわけで、
実はとても親切な看板だったんですね!!

ターゲティングを明確にしているということは、私たち消費者側にも、
自分がその店のターゲットかどうかを明確に判断することができるというメリットがあります。

では今回のセルフうどん屋のペルソナは?と考えたら、
実はネモトのような至って一般的な庶民だと思います。
しかし、その先にさらに、「独自の文化を知っているかどうか」という関門があるため、「常連」と「初心者」に別れる。

ペルソナに入っているはずなのに、「初心者」にはわかり辛い独自文化が存在する。
そこで、必要になってくるのが「顧客教育」です。

具体的には、たまに見かけますが
「当店が初めての方へ」
というチラシ、もしくは立て札、ポスターを入り口付近に設置します。

食べ方にルールがあるような飲食店で、店員さんがオーダーを席に取りに来てくれるスタイルの場合は「当店のご利用は初めてですか?」と聞かれることがありますよね。
しかし今回についてはセルフ注文なので、注文の列に並ぶ初心者客が、自ら気づいて目を通す場所に設置する必要があるわけです。

このような対策をすることで、ペルソナとなっている客層の中で、
さらに常連客だけでなく、初心者客にも快適にサービスを受けてもらえるよう「顧客教育」をすることがサービスレベルの向上にもなり、
さらには一回目の来店で得た知識で「ソト」から「ウチ」の客へとステージが変わり、リピート来店へつながる可能性も上がると思います。



結論!そして、うどんチェーンへの提言。

色々と言いましたが、今回のネモトの反省点としては、
消費者側としての事前勉強が足りなかった!!ということです。

セルフうどん屋の注文スピードは認識していましたが、事前に子供たちから希望するメニューの詳細をヒアリングして、その店にある商品を調べてみる、という事前準備が足りてなかった。

店のサービスを適切に受けるというのは、
消費者側の、その店を理解しようという姿勢も必要だとネモトは個人的に思うのです。

その上で、あのセルフうどん屋さんへ一つ提言をするとすれば。

脳裏から離れないあの職人風のおっちゃんたちの顔を思い浮かべるにつけ、
いっそ、そのスピード感と味と価格への自信は失わないで欲しいと思うわけで。

ぜひ、「一見さんお断り」の札の勢いで、
こんな札を入り口の目立つところにかけてはいかがでしょうか。

「”かけ”と”ぶっかけ”の違いがわかるようになってから出直してきな!」

今日の学び
・ブランディングやターゲティングが「ソト」からみて明確であることは、サービスを選択する消費者側にも実は親切な仕組み
・「ソト」をリピート客にするためには顧客教育の仕組みが重要
・消費者側も、その店を理解しようという姿勢が大切


おわりに

以上、今回の記事ではネモトの失敗談をマーケティング視点で分析した結果をお伝えしました。
いかがでしたでしょうか??

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それではまた次回の記事もお楽しみに♪

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