観光型越境ECの時代が来る!
新型コロナウィルスの影響により、インバウンドの売上が減る一方、中国のECへ進出する海外企業が急増しています。2019年アリババ独身セール日に参加した海外ブランドは約2,000個に対し2020年は31,766ブランドで、昨年の14倍になりました。
新型コロナウィルスで国境の移動ができなくなった今こそが越境ECの時代だと考えます。
ではタイトルの観光越境ECはなんでしょうか?初耳の方もいるかもしれません。
従来の越境ECは国境を超えた国際的にアイテムの販売を行うこと言います。今までは化粧品や一般貿易の流通しにくい健康食などの小売商品が多かったですが、新型コロナウィルスの関係で、打撃を受けた観光業を復興するために、中国はライブで旅行商品を販売することになり、観光型越境ECはライブで旅行ツアー、ホテル、ご当地お土産など旅先と関わるもの販売のことを言います。
新型コロナウィルス第一波のピークを過ぎた3月に中国の旅行業を復興させるために、中国No.1旅行OTAプラットフォームであるCtripが「旅行復興V計画」を立ち上げ、中国海南島三亜市と提携し、創業者・元CEOの梁建章が自らライブコマースのライバーを務め、旅行商品を販売しました。1時間で合計2000万元(約3億円)の売上を上げ、初の旅行ライブコマースを実現しました。その中半分の売上1000万元(1億5千万円)は1泊110,000人民元(約176万円)、広さ340平米の海南島で一番高いホテル部屋と言われているアントランティス三亜の販売結果となりました。
以前のブログにも書きましたが、2003年のSARS時も今回と同じく中国経済は大きな打撃を受けました。経済活動何ヶ月が止まった後に開放的な消費をしていたことがわかります。その開放的な消費動向は「SARS後の復讐式消費」と呼ばれています。ですが、2003年の時はネット普及率が低く、ウェブショッピングも始めたばかりの頃でしたので、家に引きこもっているとやることなもく、とても退屈だったこともあり、SARS後に復讐式な消費に至りました。
コロナの場合は、1月末からコロナの影響で、旅行、飲食業への打撃が大きいですが、ネットコンテツの多様化、またネットショッピングの普及により、自粛していた日でも家でいろんなことを楽しめていました。コロナが終わった後に、ある程度の消費は上がりますが、SARSの時と比べるとあるいは復讐式な消費行動の期待はないだろうと言えるのでしょう。
一方、2013年から中国の海外旅行人数は右肩上がりに増えていて、2019年の海外旅行人数は1.6億人を超え、同期比14%の成長率でした。2003年と比べて、モノより自己表現できる旅行を我慢している人が多いので、「復讐式な旅行」が待っている可能性が高いと予想されています。このあたりは既に2020年の国慶節に6億人の中国人が国内旅行していたことから証明されています。
SARSの3年後にCtripなどのOTAプラットフォームが生まれ、旅行商品は新しい形で販売することになり、今回のコロナ後もこれらのプラットフォームから「モノ消費」から「コト消費」へ変換する新たなビジネスモデルが生まれてくるではないでしょうか。ピンチの時は必ず新しいチャンスがやってくることは間違いないと思います。このコロナでさらに中国人の旅行スタイルも変わっていくのでしょう。
2021年オリンピックのために、旅行インバウンドの再開時期はまだ不透明なところありますが、再開してからの発信だと情報が遅くなります。また、従来の旅行ブロガー、SNS発信のみのやり方だと時代遅れになります。いかに消費につながるかが一番のポイントになるかと思います。一方的に発信していたコミュニケーションと旅行商品販売を守株待兎の受け身から主動的に販売を行っていくライブコマースできるように、仕組みを作るべきです。
観光型越境ECの販売は旅行に関わるもの全般のことを指しますので、ツアー、ホテルはもちろん、ご当地商品などの販売も可能になります。旅前の情報拡散+旅行商品やホテルの販売し、旅中の観光地情報シェア、旅後にご当地商品の購入もできるようになります。ユーザーとのコミュニケーションができるタッチポイントが増え、今までより経済効果が上がるはずです。
2021年のインバウンド復活に向けて、JTB北海道は既に富良野市と提携し、観光型越境ECを試みようとしています。誘致施策として従来の発信以外に、ぜひ観光型ライブコマースの活用をしていただきたいと思います。
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