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病院総合医のキャリア紹介:地域医療を通じて

皆さん、こんにちは。神戸大学地域医療支援学部門/兵庫県立丹波医療センターの合田(ごうだ)です。

現在は卒後9年目です。普段は350床の急性期から緩和ケア病棟まで担う地域の中核病院を中心に診療を行いつつ、敷地内にあるミルネ診療所(市の診療所)では外来診療・訪問診療、また大学にも属しており、医学生の教育等を行っています。

日本プライマリ・ケア連合学会としては若手医師部門 病院総合医チーム以外に専門医部会 キャリア支援部門にも所属しております。

皆さんは「地域医療」と言われて何を思い浮かべるでしょうか?へき地医療や離島医療でしょうか?イメージとは違うかもしれませんが、もちろん都心部でも「地域医療」は存在します。本日は「地域医療」という観点から私のキャリアを紹介したいと思います。

~医学生時代

生まれは愛知県名古屋市、親(会社員)の転勤で小学校2-4年生を東京渋谷区、5年生~兵庫県西宮市と田舎とは違い、交通の便がいい、都会で過ごしていました。

以前「キャリアA to Z~キャリアプランニングの理論と実践」に参加して、人生すごろく「金の糸」をした際に、自分のルーツが多国籍の同級生や、新任だった担任教師も交えて、放課後に遊びまわった東京での小学生時代にあることに気が付くことが出来ました。

 以前紹介したキャリアプランニングも参考にしてください。

医者といえば、近くにいた「かかりつけ医」のように「なんでも健康について相談にのってくれる人」というイメージで、多様なコミュニティでも気軽に健康問題について質問されて答えられるようになりたいなと思い、医学部を志望し、神戸大学医学部に入学しました。

 周りの同級生と同じように勉強、部活動、アルバイト、海外旅行などに時間とお金を費やしました。あまりその頃に「地域医療」はイメージできていませんでしたが、初期研修は幅広く、なんでも対応できるような総合病院で研修したいなと考えていました。

レジナビで部活の先輩が佐久総合病院のブースで声を掛けてくれて、見学することにしました。外来研修を見学して、初期研修1年目から主体的に外来診療をこなし、さらに2年目、後期研修医、スタッフと屋根瓦式の診療風景を目の当たりにして、ここで研修したいと考え、佐久総合病院を志望し、長野へ行くこととなりました。

初期研修医時代

 同期は15人、全国各所から様々な年代、経歴を持った人が集まり、多様な価値観に触れることが出来ました。ちょうど、病院が分割再構築(佐久医療センターと佐久病院本院へ分割)の年でしたが、その分、高度最先端医療と地域密着型医療の「二足のわらじ」を実感することが出来ました。先輩や後輩含めて、距離が近く、楽しい研修生活を送ることが出来ました。

 様々な科をローテートしていく中で、どの診療科も「疾患(Disease)」だけでなく、「病い体験(Illness)」も考えて診療していることが感じられ、とても居心地がよかったです。

「医療はすべからく地域医療であるべきで、地域を抜きにした医療はありえない」という言葉をご存じでしょうか。これは佐久総合病院の若月俊一先生の言葉です。研修するにつれて、もう少し佐久の医療を学びたいと考え、佐久総合病院の総合診療科を専攻することにしました。

後期研修医時代

 総合診療プログラムとして、救急科・神経内科・総合診療科をローテートしました。初期研修2年と合わせて、佐久の文化に触れ、長い年月をかけて確立された「地域医療」を味わうことが出来ました。

 子供の出産というライフイベントや違う文化にも触れるいい機会と感じ、兵庫県立柏原病院で勤務することにしました。

 ここは、学生時代に総合診療科の教授だった秋田穂束先生が病院長で、「兵庫県の佐久病院にしたい」と同じ志に感銘をうけ、何か力になれるかもと思い、プログラム移籍しました。

 「内科はひとつ」をモットーに、今まで、他科にコンサルトしていた症例を、自分で幅広く、より深く診療することが出来ました。積極的に学術活動の機会も与えてもらいました。

プログラム一期生として、苦労もありましたが、日本プライマリ・ケア連合学会の専攻医部会の幹事として学会活動に関わることで、同じ志を持ったコミュニティに触れ続けることが出来ました。

日本全国の同年代の同士と関われるのも、総合診療領域の強い一面だと感じております。

6年目~現在

県立柏原病院は柏原赤十字病院と統合し、丹波医療センターとなり、新病院で働くことになりました。市の診療所が併設し、佐久で学んだ「地域医療」を広めたいと考え、地域の「ニーズ」に応える形で、訪問診療の立ち上げを行いました。またプログラム1期生として、総合診療プログラムの教育や病院総合医としても病棟診療のチーム制を整えていきました。

当院のプログラムの紹介もご参照ください。

一方、神戸大学地域医療支援学講座に属することで、医学生教育なども行っています。「医療はすべからく地域医療であるべきで、地域を抜きにした医療はありえない」という言葉通り、総合診療を目指す人だけでなく、どの診療科に進む医師でも「地域医療」を理解し、実践してほしいと考えております。逆に「地域医療」を理解することで、将来どの地域でも活躍できると考えています。

いかがだったでしょうか?「地域医療」という言葉のイメージが変わったでしょうか?どの地域にも「ニーズ」はあるはずです。将来どの診療科に進むにしても、医師として「地域医療」を実践してほしいなと思います。「地域医療」から「総合診療」を盛り上げていきましょう。


文責:合田建 神戸大学地域医療支援学部門/兵庫県立丹波医療センター

※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。

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