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【出張講演】第34回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー~これが噂の病院総合診療医!~

第34回 学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーにて、『これが噂の病院総合診療医!』と題して講演を行いました。前半はチームメンバーの天野より「総合診療の全体像」と題してレクチャーを行いました。

家庭医を「家庭医療学に基づいた診療を行う医師」、病院総合診療医を「病院を軸に総合診療を実践する医師」と定義すれば、両者は両立しうることをお伝えしました。(使う人によって“家庭医”の指し示す内容が違うため、前提条件を確認する必要があります。) また、総合診療医は対象は多様でも、基本的なアプローチは共通していることをお伝えしました。

そして、総合診療医を「ピザ職人」に例えると、チーズ職人になってからピザを焼くような遠回りはせず、初めからピザを焼く練習をするのがよいこと。コアコンピテンシーを高め、スペシャルインタレストを広げることで自己研鑽しつつ、最も大切なのは「相手に合わせたピザ(診療)を提供すること」、などを御紹介しました。

続いて、4人の先生方にご登壇いただき病院総合診療医の実践の様子を御紹介いただきました。

①地域中核×離島×総合診療(酒井達也先生、沖縄県立八重山病院)
島にある唯一の総合病院ということで、地域最後の砦として救急・小児・周産期・感染症・ヘリ搬送など様々な役割を担いつつ、自宅で療養や訪問を希望する患者さんの対応もされていて、まさにDr. コトー診療所のようだなぁと感じました(実際は診療所ではなく病院ですが)。
また、最近はコロナ禍でオンラインが発達したおかげで場所に左右されず全国の総合診療医と繋がり学び続けられるというのも、離島で働くことを後押ししてくれる要素だと思います。

②300床規模の市中総合病院(平松由布季先生、東京ベイ・浦安市川医療センター)
同院は救急、循環器、心臓外科などが有名なイメージですが、具体例を交えたお話を伺ってそれを支える総合内科の魅力を知ることができました。また、同院は有名な研修病院ですが、平松先生のように教育に興味を持って精力的に若手と関わってくれる先生がいることも魅力の一つだろうなぁと感じました。

③大学病院×診療所×博士号(大塚勇輝先生、岡山大学病院総合内科・総合診療科)
学生時代は臨床医以外にも多彩なキャリアに興味を持たれていたようですが、熱心に取り組んだ臨床実習での経験を経て臨床のやりがいを感じ、現在は研究と教育をやりながら臨床医としても精力的に活動されているとのことでした。全員が同じキャリアパスではなく、自分の興味があることをそれぞれ伸ばしていけるのも総合診療の魅力だなぁと改めて感じました。

④田舎の地域で病院総合医(深瀬龍先生、山形県立河北病院)
自治医大の卒業生であったため派遣先の病院で必要とされる役割(消化器内科や緩和ケアなど)を果たし、初期研修医時代に出会った「どんな人でも困ってるなら対応する」医師の姿をみて総合診療医を志したとのことでした。まだあまり総合診療が浸透していないという山形県でその魅力を伝えるべく活動されているお話はついつい引き込まれてしまいました。

講師の皆さんに共通していたのは「ひとつの科に決められない、患者さんを全人的に診れるようになりたい」という想いでした。

最後に、小グループに分かれて医学生や初期研修医と講師陣がお話をしました。20分はあっという間でしたが、総合診療に興味を持ってくれている若手とお話できてこちらもエネルギーをもらいました。

今後も『若手病院総合医とゆる~くお話しする会』を不定期に開催しますので、興味がある方はぜひお気軽にご参加ください。

(文責:南奈良総合医療センター 天野雅之、自治医科大学附属病院 平山果歩)

※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。
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