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そもそもSDGsとは? ~ ゴール13,14,15 ~

今回は、主に環境問題に関する3つのゴールを紹介します。
地球の環境は、私たちのあらゆる活動の基盤で、「一人ひとりの心がけで大きな効果につながる」分野でもあります。日々の生活を見直し、かけがえのない地球を大切にする方法を考えていきましょう。 

【ゴール13:気候変動に具体的な対策を】


正式には、「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を実施する」で、タイトルに、緊急性が入っているのはゴール13だけです。

地球上に、気候変動の影響を受けない人はいません。
日本でも異常気象や災害の深刻化など、影響を実感している方も多いのではないでしょうか。

この目標には、すべての国で災害に関するレジリエンスと適応力を強化すること、対策を国の政策、計画に盛り込むこと、気候変動への啓発、組織の対応能力改善など、問題解決のための項目が並んでいます。

また、産業革命前と比べ地球全体の平均気温を+1.5℃に抑えつつ今世紀後半の温室効果ガスの実質排出量をゼロにするというパリ協定との関連も記載されています。 

*国連「SDGs報告2023」によると、このままでは、世界の気温上昇は2035年までに+1.5℃を超え、2100年までに2.5℃上昇するとし、まず2030年までに温室効果ガス排出量を2019年比で43%削減することが必要としています。

また、海面水位の上昇スピードもこの10年で2倍になっています。

気候変動に伴って自然災害は頻度を増し、より深刻になっていますが、脆弱性が高い地域では、災害による死亡率が15倍も高かったとし、気候変動対策にはさらに多額の資金が必要だとしています。

  【ゴール14:海の豊かさを守ろう】

海は地球の表面積の70%を占め、地球の生命維持システムにとって不可欠なものです。
産業廃棄物や、鉱業・農業、車の排気ガス、漂流ごみによる水質汚染を防止し、海やその沿岸の生態系を回復させる取り組みが求められています。

乱獲による水産資源の減少も深刻な問題ですが、97か国が違法・無報告・無規制漁業に関して初の拘束力を持つ国際協定「違法漁業防止寄港国措置協定」に署名をしました。

美しい海と、その海がもたらしてくれる豊かな恵みのために、私たちは陸上においても、ライフスタイルの見直しが必要です。 

*数年前、英国エレンマッカーサー財団が「2050年には、海洋中のプラスチックが魚の量以上になる」という報告書を出して、衝撃を与えました。

太平洋の真ん中に「太平洋ゴミベルト」といわれる場所があるのはご存じですか?膨大なプラスチックごみが海流の影響で集まり、日本の倍もの大きさに広がっています。
海にさらされた細かいプラスチック片を魚が飲み込み、食物連鎖で人間に戻ってきます。2018年のG7サミット(カナダ開催)で、「海洋プラスチック憲章」が採択され、海の汚染につながる使い捨てプラスチック削減への動きが進み始めました。

 国連「SDGs報告2020・2030」によれば、 海洋の酸性度は、産業革命前に比べ30%増加、2100年までには100-150%の上昇が予想されています。

酸性化は、海が大気中のCO₂を吸収して起きますが、海洋生物への影響だけでなく、CO₂の吸収能力が落ちることで地球温暖化が進む恐れがあります。

さらに、沿岸の富栄養化、魚の乱獲やプラスチック汚染も進み、海という地球最大の生態系を守るには、緊急行動が必要だとしています。 

【ゴール15:陸の豊かさも守ろう】

森林は、全陸地面積の約3割を占め、数百万の生物種が生息しています。また、きれいな空気と水の供給源であり、気候変動の影響を緩和します。

ゴール15では、生物多様性条約会議(2010年、名古屋開催)の愛知目標に基づき、持続可能な森林育成や生物多様性の保護など、2020年を目標とするターゲットが複数あります。

しかし、2020年までに生物多様性損失の阻止はできず、約3万種が絶滅の危機に瀕しています。
地球上の豊かな生態系は私たちにとって不可欠ですが、地球史を通じ、人間の活動によって種の絶滅が通常よりも1000倍の速さで進んでいるという報告もあります。

森林破壊を遅らせる努力も進めてはいますが、いっそうの持続可能な資源管理が必要です。
砂漠化や干ばつがもたらす結果は、飢餓、貧困であり、難民を生み出してもいます。 

*世界では、農地拡大のため、この5年で毎年1,000haもの森林が破壊され、減少しています。ブラジルのアマゾン熱帯雨林では、昨年から火災が頻発し問題となっています。

自然火災ではなく、農業や牛の放牧等のための野焼きや開墾が原因といわれ、開発重視で地球温暖化対策や環境軽視の当時のボルソナロ大統領は、国際的に批判を浴びました。

オーストラリアでは、熱波と乾燥により、2020年に大規模な森林火災が起き、火傷を負ったコアラやキウイの映像が流れたことは、記憶にあるでしょう。

哺乳類、鳥類、爬虫類など10億以上の野生動物の生命が失われ、絶滅も危惧されています。

*2022年12月には、新たな生物多様性に関する世界目標として「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。2050年ビジョンを「自然と共生する世界の実現」とし、2030年ミッション「自然を回復軌道に乗せるために、生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる」を掲げ、23の目標が定められました 。

次回が「そもそもSDGsとは」 の最終回となります!

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(前回リンク)
そもそもSDGsとは?~ゴール10,11,12~|公益財団法人 日本生産性本部 (note.com)

日本生産性本部のSDGsへの活動はこちら
SDGsへの取り組み | 日本生産性本部について | 公益財団法人日本生産性本部 (jpc-net.jp)

すぐそこにある「地球の限界」 清水 きよみ SDGs推進室長(2023年4月25日号) | サーキュラーエコノミーを創る | コンサルティング | 公益財団法人日本生産性本部 (jpc-net.jp)

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