女医下美月

色んな人にいちいち送るのめんどいからここから読んで。

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  • 運命の恋、お届けします。

    略称は「うんこ」でお願いします。

  • 女医下美月

    お久しぶりです。2年くらい前からひっそり書いてた作品です。面白いからみせてあげます。

最近の記事

女医下美月㊻

「そらちゃん、年始は実家帰るの?」 美月はキッチンでお昼ごはんの準備をしながら、顔だけリビングのソファーに座ってスマホを触っている僕の方へ向けた。 M-1グランプリもクリスマスも終わって、今年も残り僅か3日。あとはゆっくりと新年を迎えるだけというタイミングだった。 「うん、そのつもり。美月もそうでしょ?」 僕らが同棲し始めてから二度目の年末年始を迎えるわけだが、前回はお互い時期を合わせてそれぞれの実家で年始を過ごした。 なので、今回も同様にして両親に会いに行こうと思

    • 女医下美月㊺

      Instagram、TikTok、YouTube… 様々な媒体で若者から支持を集める「バズ」クリエイターの素顔に迫るWeb連載記事「Buzz Youth」。 今回はゲストに、現役女子医大生YouTuberとして先日チャンネル登録者数100万人を突破した『みーちゃんねる』さんを迎えた。 一本日はよろしくお願いします! (みー)よろしくお願いします! 部屋に入ると、みーさんの隣に見覚えのある人物が… 一あれ?お2人で来られたんですか? (そら)あ、すみません…。〇〇

      • 運命の恋、お届けします。14

        やはり僕らは、どうしようもないインドアカップルだった。 7月連休、当初は旅行でもしようかと、行きたいところややりたいことをあれやこれやと列挙していたものの、互いに仕事が忙しく、また面倒くさがりなところがあって、具体的な計画は何一つ決まらない。 挙句、連休初日の朝、暑すぎて家から出たくないという理由で、僕らは旅行するのを頓挫した。 「あっはっは!さいっこー」 「飯野くん、ザコシって天才だよね。あっはっはっは!」 山下さんがドキュメンタルを見て大笑いする声だ。 この4

        • 運命の恋、お届けします。13

          都内から電車で約1時間。 時刻は午前10時を少しすぎたところ。 僕らは今日のデートの目的地へ辿り着いた。 「今日はオシャレなデートにするからね!」 と張り切った様子の山下さん。 僕は、想像よりも大きな駅舎に驚きながらも、彼女のあとを着いて行った。 西武新宿線 本川越駅。 関東有数の観光地として有名なこの地に、僕らは初めて降り立った。 「やっぱ雰囲気あるねぇ」 駅の外へ出て、山下さんが一言。 同時に、雲ひとつない青空と、うだるような暑さに歓迎される。 「ほ

        女医下美月㊻

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        • 運命の恋、お届けします。
          14本
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          運命の恋、お届けします。12

          「あっつ〜…」 ベッドに全身を突っ伏した山下さんの、苦悶の声が聞こえてくる。 「暑いですねぇ…」 対する僕は、彼女が占領するベッドの側面に背中を合わせ、同じようにこのうだるような暑さに辟易していた。 電気代を節約するためと、エアコンは効かせておらず、部屋の隅で回る扇風機が時折僕らに風を運んでくれている。 しかしそれもたかが知れており、部屋中にジメジメ、ムシムシとした嫌な空気が充満していた。 7月10日、夏本番である。 「飯野くんは寮でエアコンつけっぱなんでしょ?

          運命の恋、お届けします。12

          運命の恋、お届けします。11

          金曜日の夜、この瞬間のためなら、僕はどんな辛いことだって乗り切れる。 なぜって、山下さんに会えるから。 まだ山のように残っている仕事から目を逸らして、僕は退勤した。 うん、これらは来週やれば良い。今週はもう疲れたからね。 会社を出るやいなや、山下さんにLINEを送る。 [ 会社出ました! ] 本当は歩きスマホをするのは良くないんだけど、はやる気持ちを抑えられないのは、付き合ってしばらく経つ今でも変わらないこと。 [ Mizuki:お疲れ様😆 私ももうすぐあがるね

          運命の恋、お届けします。11

          運命の恋、お届けします。10

          昼休み、例の喫茶店。 今日でちょうど1ヶ月間、毎日久保ちゃんとランチをともにしている。 「そっかぁ、結局付き合うことにしたんだ」 コーヒーカップを置いた久保ちゃんが、ゆっくり口を開いた。 「うん。なんか、勢いだったかも」 私はそう答えながら、あの夜のことを思い出す。 そして、大学生みたいなやり口だったなと、反省する。 「良いじゃん、久々の彼氏」 「まぁね…」 彼氏ができた、それは確かに喜ばしいことだ。 ただ、私の脳裏には、どうしたってあのときのことが思い出

          運命の恋、お届けします。10

          運命の恋、お届けします。9

          「おはよ」 山下さんの声で目が覚める。 彼女はもう既に起きていて、キッチンの辺りからは、朝を思わせる良い匂いが漂っていた。 「おはようございます…」 対する僕はまだ少し寝ぼけていて、目を擦りながら、そう返事する。 「顔洗っといで。新品の歯ブラシあったから、使って良いよ」 「ありがとうございます」 山下さんのベッドから起き上がった僕は、洗面所へ向かい、顔を洗って歯を磨く。 鏡に映る自分の首の付け根、鎖骨あたりには昨日の情事を思わせるそれが、くっきりと刻まれていた

          運命の恋、お届けします。9

          運命の恋、お届けします。8

          新宿から中央線で10分、荻窪駅からさらに徒歩7分。 山下さんが住むワンルームマンションはそこにあった。 「ほんとに散らかってるけど良い?」 「あ、はい、全然」 5階建てのマンションの3階にある部屋に入ろうとして、鍵を回す直前、山下さんは何度目かの同じ質問をする。 僕はといえば、すっかり酔いも覚めていたが、今度は違う意味でいつも通りというわけにはいかなかった。 「どうぞー」 「お邪魔します…」 山下さんに誘導され、玄関に足を踏み入れる僕。 よく考えたら、女性の

          運命の恋、お届けします。8

          運命の恋、お届けします。7

          「もう付き合えよ!!」 「や、だからね」 久保ちゃんが場所も選ばず大声を出すので、慌てて制した。 なんか、前にもこんなやり取りがあったような気がする。 「そりゃ、付き合うぐらいなら、なんの問題もないよ。飯野くん、すごく良い人だし」 私はそこまで言って、言葉を切る。 「だけどさ、もう学生じゃないんだし、そんなんで良いのかなって」 「まぁねぇ…」 私の言葉に、考え込むような表情を見せる久保ちゃん。 さっきから何回も同じこと言ってるんだけどなぁ。 …会社帰り、今

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          運命の恋、お届けします。6

          横浜駅から、みなとみらい方面へ歩き出した僕ら。 僕にとっては、見慣れた風景だった。 「意外と距離あるね」 隣を歩く山下さんは少し疲れてそうだった。 「やっぱり電車で行きましょうか?」 歩くのが好きな僕からしたらちょうど良いぐらいの距離感だが、確かに電車で2駅ほどというのは、そこそこ遠いと感じる人もいるだろう。 「いいよ、歩こうよ」 山下さんは気にしないで、と表情でそう言い足して、僕の前を歩き始めた。 気が遣えて、優しい人。言葉にするとありきたりだけど、結局のと

          運命の恋、お届けします。6

          運命の恋、お届けします。5

          「もしもし?どこ?」 「西口の方です!山下さんどちらですか?」 「反対方面出ちゃったかも」 「あ、じゃあ僕がそっち行きますね」 「えー、ごめんね。ありがと」 電話はその言葉を最後に切れた。 本当はヨドバシカメラには西口から行かないと結構遠いけれど、山下さんと少しでも長く話したかったから、僕が東口まで移動することにした。 歩くこと約3分、山下さんはご丁寧に中央の改札口まで来てくれていた。 柱によっかかり、スマホをいじっている。 「おはようございます」 「あ、

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          運命の恋、お届けします。4

          「お疲れ様です」 19時26分、今日は結構残った方だ。 僕の挨拶に、上司の藤原さんが「おつかれさん」とぶっきらぼうに返す。 最近は藤原さんも忙しそうだ。時間が合えば一緒に帰って飲みに行ったりもするけど、ここ最近はそれもご無沙汰。 だけど今の僕には、楽しみがある。 [ 今は川越の方とか行きたいと思ってるんですよね〜 ] 会社を出てすぐにスマホを開き、山下さんにそう返事する。 現在の話題は、1人おでかけの行先について。 僕も彼女も、週末にフラっと1人でどこかへ出か

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          運命の恋、お届けします。3

          土曜日の朝、ゆっくり午前10時前に目が覚めると、山下さんから謝罪のメッセージが届いていた。 [ Mizuki:飯野くん、昨日は色々とごめんなさい😭 運んでもらった上に、急にお邪魔して、大変ご迷惑おかけしました…! お酒は飲んでも飲まれるな、だね。。。反省します(。-_-。) ] きっと久保さんに怒られたんだろうなと思うと、クスッと笑ってしまった。 僕はといえば、昨日のうちに2人に対してメッセージの1つも送らなかった無神経さを悔いつつ、それでも山下さんから連絡が来たことを

          運命の恋、お届けします。3

          運命の恋、お届けします。2

          あれは確か、1週間ほど前のこと。 仕事から帰宅し、社員寮の自室で体を休めているときだったと思う。 怪しげな広告のボタンを間違えて押してしまうことはよくあるし、大体はすぐにブラウザバックするのだけれど、今回はしかしその限りではなかった。 『運命の恋、お届けします。』 こんなふざけた文言に思わず反応してしまったのは、仕事で余程疲れているのか、それとも、余程「それ」を欲しているのか。 いずれにせよ、僕はそのまま広告の内容に目を向け続けた。 『Destinyは、新感覚のマ

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          運命の恋、お届けします。1

          「オクフェス?」 キーボードをカタカタ走らせながら、小さい声でそう呟いた。 業務中だというのに、定時で上がってオクフェスへ行こうという旨のメールが、同期の高橋から届いたのだ。 確かに、今日は誰もが待ちわびたフライデー。 季節も10月に差し掛かり、ちょうど今が1年で一番過ごしやすい時期。 最近忙しくて、あまり飲みにも行けてなかったし、ちょうど良いかもしれない。 一斉メールで同時に送信されていたもう1人の同期・川崎も乗り気みたいだし。 『いくか』。短くそう返して、目

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