おしっこの気持ち
今回は放射線科医ネタ
臨床医が急性腹症で尿管結石を疑った場合、腹部単純CTを撮る。
【尿管結石】
これはマジで地獄の苦しみである。3大激痛の一つとも言われる。
救急外来で初めて見た時、びっくりした。患者さんは痛みで悶絶して嘔吐を繰り返したりしている。この人痛みで死んじゃうんじゃないかと思った。
その尿管結石の腹部単純CTレポートはどこにどれくらいのサイズの結石があり、水腎症・水尿管になっているかを主に記載する。
放射線科医の負担は少なく、比較的短時間で読影できる検査だ。検査を開いて【尿管結石疑い】を書いてあると、思わずガッツポーズをしたくなる。
結石が膀胱に近づいていると、「もう少しの辛抱です」と書きたくなるが、そんなレポートは受け入れられないため、グッとこらえる。
放射線科になりたての頃、尿管を見失いがちだった私。結石でつまって、尿管が拡張していたら余裕だが、そうでもない場合、ひょこっと現れた石灰化が尿管結石なのか静脈結石なのかわからないことがあった。
困った私は上級医に尋ねた。
「尿管の走行が追えなくて、見失ってしまうんです、どうしたらいいですか?」
上級医は答えた。
「おしっこの気持ちになるといいよ。」
ええー、何その教え!?
ちょっとだけ考えてみた。でも私にはちょっと難しそうだった笑
というわけで、その方法は却下。
私のオススメは造影CTで排泄相を見る機会があった時に尿管の走行をよく観察しておくことである。造影剤で腎盂-尿管-膀胱は染まっているため、ぺらっぺらっでも走行は確実に追える。
でも何年も読影を続ければこの石灰化、尿管結石か静脈結石かわかんない、という悩みはなくなる。
したがっておしっこの気持ちは今もわからないままであった。
でも尿管結石のCTを読んでいて、尿管を追っている時に今でもそのアドバイスを思い出し、クスッとなることがある。
後輩にそんなずっと覚えておいてもらえるようなパンチのきいたアドバイスを1回くらいしてみたいものである。
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